同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第一三五話 桜の余韻と布団の中で──お泊まり編、開幕

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 夜桜の下、心も体も火照ったまま、俺たちは解散せず——自然な流れで我が家に帰還していた。

 「どうせ帰れないでしょ」「泊まってくの当たり前じゃん」「布団、もう敷いといたよ♡」

 というヒロインたちの総意により、当然のように“お泊まり”が決定したのだった。

 俺の部屋は、再び修羅場布団会場と化していた。

「わたし、今回はお兄ちゃんの隣ね」(碧純)
「私も、肩貸してあげます」(すみれ)
「じゃあ私は太もも枕!」(瑠衣)
「枕の裏に隠れようかな……」(ひより)
「この魔法陣の中に誰も入ってはならぬ……とか言って、入る気満々でしょ君!」(ユナ)
「弘弥様……今夜は、とても眠れそうにありません」(イザベラ)
「……一緒に寝ても、いいかな……?」(ユウ)

 全員がそれぞれの“ポジション”を確保し、完全に俺を囲んでいた。

 布団の上はまさに“恋の防衛線”。

「……え、これ……寝られないだろ普通に……」

 夜が深まるほど、ヒロインたちの距離は近づき、体温も視線も熱を帯びていく。

 誰かの指が手に触れる。
 誰かの髪が頬にかかる。
 誰かの吐息が耳を撫でる。

「弘弥くん……さっきのこと、夢じゃないよね……」

 すみれの囁き。

「お兄ちゃん……好きだよ、ほんとに……誰にも渡さないから……」

 碧純の寝言みたいな告白。

「……明日も、その先も、観察したいから……今夜だけは、独占させて」

 ひよりの、静かな決意。

 そして。

「ふふ……今夜、貴様の魂を我が魔導書に刻みつける」

「やめてユナ!!!」

 そんなドタバタと、甘いささやきが交錯する中——
 俺はふと、ふっと目を閉じた。

 この瞬間を、忘れたくないと思いながら。

(つづく)

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