同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二五三話 「全裸覚醒──王子、朝から絶体絶命」

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その夜は、恐ろしく蒸し暑かった。

 

エアコンはかけていたが、部屋に染みついた湿気が逃げない。
汗ばんだシャツが体に貼りつき、不快感だけが増していく。

 

──そして俺は、寝ぼけながら無意識に決断した。

 

「……暑……ぅ……」

 

シャツを脱ぎ捨て、ズボンを脱ぎ捨て、パンツさえも──

 

そのまま、夢の中へと落ちていった。

 

 

◆ ◆ ◆

 

──翌朝。

 

「……ん……」

 

目覚めの瞬間、まず感じたのは、

開放感。

 

シーツの感触が、肌にダイレクトに触れていた。
布団の中で、俺の“すべて”が風通し良く、自由だった。

 

「……あれ……?」

 

ゆっくりと意識が浮上してくる。

 

視界に入ったのは、
見慣れた天井──そして、隣に眠るヒロインたちの寝顔。

 

碧純。すみれ。ルナ。ひより。りあ。イザベラ。

みんな昨夜の流れで自然と俺のキングサイズベッドに流れ込み、
見事に添い寝ハーレム状態だった。

 

「……え? ってか、ちょっと待って──」

 

俺は、ゆっくりと、そろりと布団の中を確認する。

 

──上、なし。
──下、もっとなし。

 

「──うわあああああああああああッッ!!!??」

 

全裸だった。

完全に、何ひとつ着ていなかった。

 

 

◆ ◆ ◆

 

「……ひろや……?」

 

まず起きたのは、すみれだった。

寝ぼけまなこで俺の方に向き直り──

 

「──っ……だ、脱いでる……」

 

頬がみるみる赤くなり、視線が俺の股間へ一直線。

 

「す、すみれさん!? あの、ちがっ、これは事故で!!」

 

「み、見えてる……じゃなくて、見ちゃった……」

 

すみれは、目をそらすでもなく、顔を真っ赤にして凝視していた。

 

「ひろや、あんた朝から何脱いでんのよ~!?」

 

今度はルナが目を覚まし、布団をガバッとめくる。

 

「ちょ、やめ──ッ!」

 

「ぎゃははっ! マジじゃん!! お兄、全裸寝派!? やばー! 触ってみていいかなぁ~!?」

 

「セクハラ! 完全なるセクハラだから!! ギャルのテンションで押し切るな!!」

 

 

──そして、何も言わずに、記録を取っている者がいた。

 

「角度……37度。硬度、レベル4。記録名:“6月下旬、朝の膨張データ”」

 

「ひよりィィィィィィ!! やめてえええええ!!」

 

「科学的興味に罪はないよ?」

 

「“人として”罪にしてぇんだけど!?」

 

 

◆ ◆ ◆

 

「……まったく……何してるの、ほんとに……」

 

呆れたような声で、布団の一番端にいた碧純が起き上がる。

髪を耳にかけながら、寝癖も直さず、腕を組んでため息。

 

「お兄、あれほど“寝るときはちゃんと着ろ”って言ったのに……」

 

「ちがうんだ、これは……その……自然現象で……」

 

「朝から全裸で、みんなのど真ん中で寝て、
すみれさんにガン見されて、
ルナに触られそうになって、
ひよりにサイズ記録されてる男が“自然”とか言うなッ」

 

「ぐうの音も出ませんッ!!」

 

「ほんと……防犯ベルとか欲しくなる……」

 

碧純の冷たい目が、じわじわと刺さる。

 

「はーい、朝ごはん、全裸は着替えてから来てくださいねー♪」

ルナが笑いながら逃げていく。
すみれはタオルで顔を隠しながらそそくさと後退。
りあとイザベラはまだ熟睡中。
ひよりは相変わらずノートに「肉体観察ログ(再)」とか書いてる。

 

──こうして、俺の一日は。

羞恥と、絶望と、ノーパンの焦りで幕を開けた。
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