同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二九八話 「朝の修羅場──夢精の証と騒然の布団」

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朝。

窓の隙間から差し込む陽光。

風鈴の音と、蝉の鳴き声。

そして──

「……ん……あれ……?」

最初に目を覚ましたのは、碧純だった。

「……なんか……しめってる……?」

彼女はぼんやりと手を伸ばし、
布団の上を撫でて──その“ぬめり”に触れた。

「…………」

そして。

「……お兄、やったな」

ピシッ、と空気が割れたような緊張感。

◆ ◆ ◆

「えっ、何? なになに? なにごと?」
ルナが跳ね起きる。

「んぅ……なにか、臭う……」
すみれも顔をしかめる。

「分析中……この成分は──」

「ひろや……」
りあが無言でこちらを見つめていた。

「まさかとは思うけど……」
イザベラが、おそるおそる布団をめくる。

──そこには、主人公の濡れた布団。

「うわああああああああ!!!!!」「ほんとに!? マジで!? 今回はガチ!?」「見事なまでの……夢精痕!」「“記録不能”レベルの現象が現実化……」

「うわああああああああ!!!!!」

「ほんとに!? マジで!? 今回はガチ!?」

「見事なまでの……夢精痕!」

「“記録不能”レベルの現象が現実化……」

「これは……逃げられないね♡」

主人公は、頭から布団を被り、震えていた。

「もうダメだ……俺……ほんとに、もう、お婿さんにいけない……」

◆ ◆ ◆

10分後。

宿の縁側で、濡れた布団が干されていた。

それを見守るのは、浴衣姿の主人公。

「……お兄、ちゃんと反省してる?」
碧純が正座して問い詰めてくる。

「う、うん……ほんと、ごめんなさい……」

「でも、ほんとは夢の中で……誰のこと想ってたの?」
ルナがニヤリと笑ってくる。

「観察対象の“夢精相手”推定アンケート、開始」

「さあ、正直に答えてもらいましょう」
すみれが真剣な顔で迫る。

「も、もうやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

「……ちなみに私は、候補に入ってるのかしら?」
イザベラが純粋な目で聞いてきた。

「入ってなかったら……拗ねる」
りあが無言で背中を向ける。

「心理的包囲完了。ターゲット、逃げ場なし」

──こうして、筑波山旅行の朝は、

◆ ◆ ◆

“羞恥”と“詮索”に満ちた修羅場から始まったのその後、朝食の席でも、話題は夢精一色だった。

「お味噌汁よりも熱かったらしいよ?」
「わたしの抱き枕貸したせいかも~」
「温泉の余韻で脳が溶けたのね、きっと」

「もう許してくれ~!!!」

弘弥の叫びは、筑波山の朝空にむなしく響いた。
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