同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第二九九話 「旅の締め、そして新たな予兆」

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午前十時。

筑波山の宿に、静けさが戻っていた。

浴衣姿のままチェックアウトロビーに集まった俺たちは、
夢精事件の余韻を引きずりつつも、どこか笑顔を浮かべていた。

「……結局、朝食も地獄だったね」

「でも、思い出にはなったじゃん? ある意味、忘れられない旅だよ♡」
ルナが肘で軽くつついてくる。

「うん……本当に、楽しかった。私、また来たいな」
すみれがほほえむ。

「山登り、温泉、夢精事件……情報量過多」
ひよりは真顔で反省会ノートを記入していた。

「……もう一回、布団で一緒に寝るなら……教えて」
りあがぽそりとつぶやく。

「わたくし、秋の紅葉狩りにも興味がありますのよ?」
イザベラが手帳に“次の旅候補”と記す。

「お兄、次の家族旅行、期待してるからね」
碧純が腕を組んでぐいっと寄ってくる。

◆ ◆ ◆

駅まで向かうバスの中。

全員、少し疲れた顔をしながらも、笑っていた。

誰かがうとうとし、誰かが写真を見返し、
誰かがこっそり俺の肩にもたれてきて──

“ああ、俺は今、誰よりも青春してるな”
そんな実感だけが胸にあった。

◆ ◆ ◆

そして、つくば駅に到着。

「じゃあ、ここからは帰宅班と買い物班に分かれますか?」

「駅ビルに寄るなら、私、案内できるよ」

「観察対象、疲労度40%以下。まだ活動可能」

「じゃあわたくし、ジェラートを提案しますわ♡」

「お兄、帰ってから洗濯してよね。布団カバーとか」

「ぐっ……了解……」

そんな会話を交わしていると──
突然、俺のスマホが震えた。

画面には、見慣れたメッセージアプリの通知。

“初めまして。あなたに会いたい人がいます”

差出人不明。
添付された一枚の写真。

それは──

“幼いころ、海で手をつないでいた二人の子ども”

「っ……」

どこか懐かしい。だけど、思い出せない。

写真の中のもう一人の子どもが、
微笑んでこちらを見つめている。

(……この子は──)

──物語は、再び動き出す。

次回、ついに“記憶の扉”が開かれる──!?
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