同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三〇二話 「感動をぶち壊す朝──そして診察室の羞恥プレイ」

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──感動の余韻、静けさ、そして誓い。

そんなものは、朝になれば崩れる。

「……あぁ……また……」

目覚めた瞬間に、布団の中の異変に気付いた。

粘っこい感触。
下半身の湿り気。

「っっっっもうだめだあああああああ!!」

三日連続、いや五日間で四度目の“お約束”。

さすがにおかしい。

羞恥よりも先に、
俺の中に芽生えたのは、本気の不安だった。

◆ ◆ ◆

──その日の午後。

俺は、病院の内科・泌尿器科の待合室にいた。

しかも、
診察に付き添ってくれたのは看護師──篠宮みつき。

「ぷっ……あんた、本当に来たんだ」

「もう笑わないでくれよ……!」

そして、診察室。

白衣の医師が、電子カルテを確認しながら静かに言った。

「で、今日は……夢精の回数が多い、と?」

「……はい」

「大体、どれくらいの頻度で?」

「五日間で、四回……です」

「ふむ……」

医師は眼鏡をクイッと上げ、俺を見た。

「性的な刺激が多い生活をしていますか?」

無言のまま、目をそらす俺。

みつきが口元を押さえてプルプル震えている。

(ダメだ、吹き出す5秒前の顔だ、あれ……)

「まあ、思春期の男性にはよくあることですよ」
医者はあっさりと言い放った。

「性欲が高まっている証拠でもありますし、健康です。むしろ……」

「悩むなら、自分で処理してみては?」

「………………」

診察室に、沈黙。

医者は真面目な顔のまま、さらに続けた。

「自慰行為というのは、決して恥ずかしい行為ではありません」

「むしろ、自分の性欲を理解し、節度を持って付き合う手段のひとつです」

「恥じることなく、自分のリズムで性をコントロールする。
それが大人への第一歩なんですよ」

「胸を張って、しなさい」

「自・慰・宣・言、いただきましたーっ!!」
みつきがとうとう笑いを堪えきれず、診察室の壁に突っ伏す。

「はぁぁぁ!? なんでそんな堂々と言えるんですか先生!?」

「医学的に正論ですから」

◆ ◆ ◆

帰り道。

「で、どうだった? 処方箋、出た?」
みつきがくいっと肘でつついてくる。

「出るわけねえだろ!」

「え~、“ラブグッズ処方箋”とかさ、ないの?」

「黙ってください!!」

──かくして、感動の翌朝は、

羞恥と性欲のトラップにまみれて幕を開けた。

(俺の青春、どこに向かってるんだ……)
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