同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第三九三話 「夢精の記憶で文学を語る男──作家・真壁弘弥、文壇を揺らす」

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「え? 文芸誌……? 対談?」

その日の放課後、久遠美月が手に持っていたのは、
大人っぽい装丁の雑誌『現代文藝』。

「もう載ってるから。
しかも結構いいページもらったんだから、読んで泣いて」

「泣く以前に、掲載される前に言ってよおおおおおお!!」

「だって、対談の時は“思春期と性のあり方”みたいな真面目な話だったじゃん?
……ねぇ弘弥、覚えてる? あんた言ってたよね――」

「“夜間の不意な発露”っていうのは、
思春期の心が言葉じゃなく“体で叫んでる”ってことだと思うんです」

「夢精って、恥ずかしいものだけど、
あの瞬間だけは“自分の中の誰か”が、どうしても誰かに触れたいって叫んでる――
そんなふうに、僕は思います」

「俺なに言ってんだよおおおおおおおお!!!」

雑誌を床に投げる勢いで絶叫。

だがもう遅い。

SNSはとっくに炎上(というか神格化)していた。

SNSトレンド
【#夢精文学】

【#青春の発露】

【#性と純粋の交差点】

【#夜の叫びを詩にした男】

【#修学旅行の布団が聖地化】

【#真壁弘弥先生】

「えっ、なんで“修学旅行の布団”が聖地になってんの!?!?!?」

久遠:「取材来るかもね~、旅館の方に♡」

◆ ◆ ◆

そのころ、我が家のリビングでは。

なぜかヒロインたちが、ちゃぶ台を囲んで“何か”の会議を始めていた。

「議題:どの夢精が一番文学的だったか」

「や、やめて!? 本当にお願いやめて!?」

「初夢精=“はじまり”の象徴である点で文学的価値高し」
──すみれ

「“布団に広がった青春”という描写の美しさ、旅館回が至高!」
──ルナ

「いやいや、新幹線だよ。隣に座ってるあたしの手、握ってたんだよ?
愛があったのは“あれ”でしょ?」
──あゆむ

「おむつ回を“文学的遺産”って呼んでるの、私だけなの!?」
──ひより

「“私が横にいた朝”を忘れないで。見た目は事故でも、中身は“意味”があるの」
──ことね

\\\ ざわ……ざわ…… ///

「みんな、落ち着けっ……!? これは地獄会議か!? 人の尊厳どこ行った!?」

「いや、弘弥くんが“文学”にしたからこうなってるんでしょ?」

「夢精をテーマにしといて、今さら逃げようなんて無理だよ?」

「せっかくだから次の作品、『季節ごとの夢精短編集』にしようよ!」

「タイトル案:『春は濡れて始まった』」

「死ぬうううううううう!!!!」

◆ ◆ ◆

その夜、ベランダから空を見上げながら、俺は小さく呟いた。

「……お願い、誰か早く俺の青春止めて……」

だが――
次回、さらなる爆弾が落ちる。

**“直木賞、最終選考へ”**の報せが届くのだった。
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