同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四一七話 「規制VS表現の自由──“夢精を描く権利”を巡る海外議会討論」

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 ──その日、某国の国会議事堂は、異様な熱気に包まれていた。

 議題は明確で、しかしあまりにも不可思議。

「少年向け作品において“夢精”を描くことは許されるべきか?」

 スクリーンに映し出されたのは、翻訳版タイトル――
『When My Soul Overflowed in Sleep』

 ──そして、文化展の目玉だった“あの布団”。

 ◆ ◆ ◆

 議場の中央。
 壮年の保守派議員が、演壇で怒号を飛ばしていた。

「夢精!? なんというわいせつな響きだ!!」

「それを“アート”だと!? そんなものは夜の放出であって、芸術などではない!!」

「これは国家の道徳心を揺るがす事態だ!!」

 議場がざわめく。

 しかし、立ち上がったのは若手の女性議員。
 冷静な声で反論する。

「議員、それは古い価値観です」

「“夢精”は、誰もが通る思春期の生理現象であり、
 それを描くことで心の孤独を救える人もいるのです」

「これはただの“放出”ではありません。感情の昇華です!」

「この作品を読んで涙した若者が、どれだけいるかご存じですか!?」

 ◆ ◆ ◆

 そこに、遠隔参加ゲストとしてVTuberことねが中継接続された。

 バーチャル空間に立つ、ことね。
 議場の大型モニターには、和服姿の彼女が淡く微笑む姿が映し出されていた。

「夢精を恥じないでください」

「それは、誰かを思う気持ちがあふれ出た“証”なんです」

「この物語は、恥ずかしい出来事を、愛の形に変えてくれた」

「だから私は、弘弥くんの物語を、世界中に伝えたい」

 その言葉は、
 議事録に全文記録され、永久保存された。

 ◆ ◆ ◆

 その頃、日本。

 自室で議会中継を見ていた俺は、
 ソファの上で膝を抱えながら、ただ震えていた。

「なんで俺の……精通が……国際政治を動かしてるんだよ……」

「ねぇ、これって俺、国家機密にされる流れじゃない……?」

 背後では、ヒロインたちが盛大にポップコーンを撒き散らしながら大騒ぎ中。

「弘弥すごーい!!」「もう国際的童貞!」

「てか夢精で議会呼ばれる人間って何者!?!?」

 ◆ ◆ ◆

 投票の結果――
 可決。

「夢精を描く権利は、文化的自己表現として守られる」

 世界はついに、“夜間発露”に理解を示した。
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