同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四二六話 「夢精は世界語──そして、君のために描く」

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 それは、まるで嘘みたいだった。

 ──映画『Wet Dream Warriors』公開、初週興収世界1位。

 ──海外メディア:「夢精は青春の普遍言語」と報道。

 ──世界各地で上映延長・再上映が決定。

 ──SNS:「#MuseiPeace」「#NightEmotion」「#魂の発露」などトレンド入り。

「……なにこの、夢みたいな世界……いや、夢だよねこれ……?」

 ホテルのスイートルームで、俺はコーヒーを握りしめながら震えていた。

「弘弥ぁ……アンタ……とうとう世界変えたんだよ……夢精で……」

 編集者・久遠美月が鼻をすすりながら感涙している。

「……変えたかったわけじゃないんですけど……」

「でも変えちゃったじゃん!」

「出版社から連絡きてるよー!」

 碧純がスマホ片手に駆け込んできた。

「“青春ラブ×性×文芸”シリーズ化企画、立ち上がるって!」

「ってことは……?」

「“夢精三部作”、マジで始まるらしい」

「続けんのかよ!!!!」

「ていうか弘弥、今後どうすんの?」

 ルナがソファに寝転びながら、ポップコーン片手に聞いてくる。

「世界で“夜の代弁者”とか言われてるし、またなんか書くんでしょ?」

「次はどんな“夜”にすんの~?」

「うーん……それがね……」

 俺は、パソコンの前に置いてある、まっさらな原稿用紙を見つめながら、言葉を選んだ。

「──今度は、“君たち”のことを書くよ」

 その瞬間、空気が変わった。

「え……?」

「わ、私たち……って?」

「冗談とか、ネタとかじゃなくて?」

「うん。本気で」

 俺は、彼女たちのひとりひとりの顔を見つめる。

「君たちと過ごして、笑って、悩んで、好きになって、
 ──それで、俺は生まれて初めて、“物語”を書きたくなったんだ」

「だから今度は、“夜”でも“夢精”でも“爆発”でもない」

「──“恋”と“君たち”の話を、ちゃんと書きたい」

「…………っ」

 その瞬間。

 すみれは、目を見開いたまま黙りこみ、
 碧純はぷしゅーっと顔から湯気を出し、
 ルナは「はわぁあっ!?///」と叫んで背中からひっくり返った。

 ことねは赤面しながら「こ、これは収益化対象外発言では……」とつぶやき、
 あゆむは「弘弥……ついに言ったんだね……♡」と胸元を押さえた。

 全員、顔が真っ赤だった。

「な、なによそれぇ……そんな真っ直ぐな顔で……!」

「ずるい! そういうこと言うのはずるいってば!!」

「も、もう一生“夢精”とか言えないじゃん……!」

「ちょっとみんな落ち着こう、これは告白じゃない……多分……いや、告白!?!?(混乱)」

「えっ、これ誰が正妻なの!? ヒロイン全員!? え、ええっ!?」

 俺は、そんな彼女たちを見て、笑った。

(──やっぱり、これが俺の青春なんだな)

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