同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四二八話 「帰国、そして新連載スタート──“恋と性と童貞”の章へ」

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 ──空港。

 到着ゲートが開いた瞬間、フラッシュの嵐が俺たちを襲った。

「うわっ!? ま、まぶしいっ!!」

「夢精作家ご帰国ー!」「“夜の覇者”おかえりー!」「ヒロインたちもお疲れさまー!」

 カメラ、マイク、バナー、サインボード。

【MUSEI IS LOVE】
【童貞の希望】
【#DOTEIforPEACE】

「お、おい、なんだこの異様な歓迎……!?!」

「弘弥ぁあぁ!! 童貞でいてくれてありがとうううう!!!」

「もうそのセリフだけは聞きたくなかったぁぁぁ!!」

 ◆ ◆ ◆

 帰国から数日後、出版社にて。

「おかえりなさい、世界のセンセ♡」

 編集者・久遠美月が、にやにや顔で俺を出迎えた。

「世界で“夢精”を超えた男・真壁弘弥! さぁ次は何を書く!?」

「ちょっと待ってくださいよ、俺まだ時差ボケ中なんですってば……」

「いいから聞いて! 次のテーマは、“恋と性と童貞”」

「……えっ」

 机の上に、どんっと置かれた新企画書。

 表紙には、でかでかと――

『童貞を卒業するまでに君と世界を変えたい』

「タイトルがもう地雷だよ!!!」

「しかも“世界を変えたい”って……童貞で!? 無理だって!!」

「夢精で世界を変えた男が、今度は卒業で世界を照らすの。ロマンしかないわよ」

 ◆ ◆ ◆

 その夜、自宅。

 リビングで新連載発表が配信されるのをヒロインたちと見ていた俺。

 \\速報:夢精文学の新作始動//
【タイトル】
『童貞を卒業するまでに君と世界を変えたい』

 \\トレンド1位//

 \\ハッシュタグ【#弘弥卒業フラグ】爆誕//

「…………え?」

「…………弘弥くん?」

「これ……卒業って、“そっち”の意味だよね?」

「ちょっと待って!? 誰と!? 誰と卒業するつもりなの弘弥!?!?」

「まさか……あのコミカライズの漫画家お姉さんと!?」

「おいおいおい、あたしらどんだけ“前座扱い”なんですか!?」

 ヒロインたちが一斉に詰め寄ってくる。

「こ、これはただの編集部のキャッチコピーで……!」

「言い訳は聞きたくない!!」

「初めては、誰とするつもりなのか、ここではっきり決めなさい!!!」

「ぎゃあああああああ!!!」

 ◆ ◆ ◆

 翌日。俺は自室で、編集部から届いた新しい台本を見つめていた。

(恋と、性と、童貞──)

(俺のすべてを、描けるのか……?)

(……いや、描くしか、ないんだ)

 ページの一番上。まだ何も書かれていないスペースに、俺はボールペンを走らせた。

『僕は、まだ知らない。
 だけど、君となら、知ってみたいと初めて思った。』
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