同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四三二話 「童貞、狙われすぎて壊れる──弘弥、逃亡計画開始」

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 ──午前2時。

 俺は、布団を抜け出し、旅館の裏口に忍び足で向かっていた。

 手にはリュック、スマホ、財布、そして──
 “童貞を守る”という鋼の意志。

「このままだと……やばい。命じゃない。童貞が危ない」

 昨夜の“性描写講習会”で、俺の精神ゲージは完全にレッドゾーンを突破していた。

 すみれの耳元囁き。
 ルナの腰ぴったり密着。
 あゆむの“地雷予告”発言。
 ことねの実況配信とコメント欄の【#弘弥童貞ロックオン】。

「逃げるしかない……童貞は、守るものなんだ……!」

 ◆ ◆ ◆

【AM2:10 逃走開始】

「まさか本当に夜逃げするとは……」

 久遠美月の目を盗んで脱出成功。
 向かうのは、山の中にある合宿施設──“保健部の防災倉庫”。
 俺が個人的に契約していた、秘密の執筆隠れ家だ。

(よし、ここなら……追ってこられないはず──)

 スマホを見ると、未読LINEが178件。

「……ん?」

 ことね《GPSオンになってるよ♡》

「し、しまったあああああああああああ!!!!」

 ◆ ◆ ◆

【AM2:15 地雷追跡部隊、始動】

 ●碧純《お兄ちゃんが逃げてる!? 童貞を守ってどうするの!?》
 ●すみれ《そう……まだ“その時”じゃなかったのね……》
 ●ルナ《よーし、みんなで“脱がしに”行こうぜ☆》
 ●あゆむ《どこまでも追いかけるから♡》
 ●ことね《実況準備完了。逃走劇、開幕です♪》
 ●りあ《逃げても無駄だよ、弘弥くん……私が、全部受け止めるから──“夜も、心も”》

「怖い!!“夜も”って何!? どの口が愛と言ってるの!? もう誰が味方か分からないんだけど!!」

【AM2:30 倉庫目前】

(くそっ……GPSを切っても、足音が……!)

 カツン、カツン、とヒールの音。

「……夜中に逃げるなんて、童貞くん。そんなに初めてを大事にしたいのね」

 そこに立っていたのは──
 神名寺いおり先生(年齢不詳・童貞大好物)

「やめて!あなたの目は童貞の香りに酔ってる目してる!!」

「でも……その“初めて”、
 私がもらっても……構わないでしょう?」

「いやぁぁああああ!!なんでこの世界は初夜を狙う女ばかりなんだああああ!!」

 ◆ ◆ ◆

【AM2:45 さらに追い討ち】

 ピロンッ。

 スマホに新たな通知が。

【企画書】『真壁弘弥“童貞卒業記念本”』
 ・出版社公式イラスト付き記録集
 ・「誰と初めてを迎えるか」ヒロイン投票フォーム付き
 ・イベント開催案:『卒業証書手渡し式(in武道館)』

「待て、公式で卒業式すなああああああああ!!」

 ◆ ◆ ◆

【AM3:00 追い詰められた防災倉庫】

 ドンドンドン!

「弘弥くん!開けて!!みんな、心配してるんだよ!?」

「嘘だ!お前らは“それ”しか狙ってない!!」

「わたしたちは愛してるの!童貞ごと!」

「うわああああああああ!!!!」

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