同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四三三話 「謎の“夢精勇者ファン”美少女、登場──新たな刺客」

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 ──夜明け前。

 俺は、旅館の隠し倉庫(通称:童貞バンカー)に閉じこもっていた。

「……俺は、守りきった。理性も、布団も、童貞も……!」

 昨夜、すべてのヒロインから逃げ切り、
 “自分の初体験を自分で決める”という最低限の尊厳を死守したのだ。

(でも……何かが、足りない)

 感動も余韻もない。ただ、寒い。

「……これ、青春なのか?」

 そんな俺の前に、彼女は現れた。

 ◆ ◆ ◆

「……やっと、お会いできました」

「……誰!?」

 そこに立っていたのは、
 金髪の長い髪に、淡いアメジストの瞳。制服風のドレスとレース手袋。

 異国の雰囲気をまといながら、どこか……“清楚”で、“危険”。

「私は──リアナ・フローレンス。英国から参りました」

「英国!? えっ?旅行者!?観光!?誰か通報してぇぇぇぇ!!」

「違います。私は……あなたの“夜の文学”に救われた一人です」

「え?」

 リアナが、バッグから一冊の書籍を取り出す。

 それは――
『修学旅行は恋と夢精でできている』

「初めて読んだ時……私は泣きました」

「え……?」

「夢精をここまで詩的に昇華できる人が、この世にいるなんて」

「やめて!その称賛、もう胃がキリキリする!」

 リアナは深く、深く礼をした。

「……どうか。あなたの童貞、私にください」

「言い方ああああああああああああああ!!!!」

 ◆ ◆ ◆

 \バンッ!!!/

「弘弥ーっ!!大丈夫!?地雷アラートが反応して──」

 碧純が倉庫に飛び込んでくる。
 その背後からは、当然のように全ヒロインズが雪崩れ込んでくる。

「誰この子!? なんか声が高貴すぎる!?」

「どこの姫様!?ていうか英語の発音が“BBCニュース”並なんだけど!?」

「弘弥くん、またナンパされたの!? 正式に教育し直す必要が──」

「ていうか、“童貞をください”って言われたの今!? 今ここで!?」

 ヒロインたち、全員の表情が固まる。

 次の瞬間、静かな怒りが旅館中に満ちていた。

 ◆ ◆ ◆

 リアナは、少しも怯えない。

「あなた方が、彼の“ヒロインズ”であることは知っています」

「ですが……私は文学を通して、彼と繋がっているのです」

「私たち、身体で繋がる気しかないけど!?」

「こいつ強い!精神の次元が違う!!」

 弘弥:「ねえ、誰かこの状況まとめて!?俺は何!?世界童貞戦争の中心人物なの!?」

 ことね:「#MuseiGlobalWarでトレンド入りしそうですね……♡」

 ◆ ◆ ◆

【まさかの結末】

 久遠美月が、倉庫の扉をバンと開けて言い放つ。

「新企画です。“国際恋愛×童貞防衛バトル”。次回連載、決定よ!」

「まじかよぉぉぉおお!!!」

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