同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四四二話 「靴下特集、撮影スタート──ヒロインたちの足が美しすぎる件」

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 ──静まり返った撮影スタジオに、ストロボの光がまばたく。

 白い背景。磨かれたフローリング。セッティングされた椅子と木の床。

 そしてそこに──並んでいたのは、

 ヒロインたちの、素足。

「ちょっと待って……何? 今、俺、何を見せられてんの……?」

「足だよ。青春の足」

 そう言い放ったのは、雑誌《Soxism Monthly》の編集長、小林。五十代、ビーサン、ハチマキ、そして異常な熱量を宿した眼。

「君の作品……“夢精と靴下”のあれ、ついにうちでも神回扱いだよ。わかるか? 靴下と文学の融合だ!」

「そんな融合、聞いたことない!! 国語辞典のどこにも載ってない!!」

「大丈夫。今載せるから」

 どこまでも真顔だった。

 ◆ ◆ ◆

【撮影スタート】

 カシャ──カシャ──
 スライドする布地の音。
 ぬるりと肌に貼りついた靴下を脱ぐ音。
 シュル、シュウゥ……と、スタジオ内にささやかに響く布の余韻。

「すみれちゃん、いける?」

 すみれ:「こ、こんな撮影……初めて……恥ずかしい……」

「黒リブソックス。膝下丈。机に座って、片足を……そう、そこから脱いで……ああ、いい!」

 カメラマン:「……これだ。“抑圧された理性が、足元からほどけていく”感じ。文学だ!!」

 弘弥(なんで委員長属性が足からほどけるって概念生まれてんの!?!?)

 すみれは、顔を真っ赤に染めながら、そっと足を組み替える。

(あれ……なんか俺、今……すごい、何かを感じている……?)

 ◆ ◆ ◆

 次は、ルナ。

 ルナ:「厚底ギャルの底力、見せたげよっか☆」

 ぶっちゃけ、この子の足元には期待しかない。

 が、脱いだ瞬間、スタジオの空気が変わった。

 カメラマン:「……すげぇ。“湿度”が写ってる……!」

 編集長:「レジェンドムレソックス……あったんだ、本当に……」

「君、文学書けるぞ! “厚底に 恋をこめしは 夏の汗”!」

 弘弥:「ちょっ!? それ短歌!? 短歌ってそんな攻めた構造でよかった!?」

 ルナは、ふんっと鼻を鳴らしながら、あぐらをかいてピースサイン。

「弘弥、撮っていいよ♡ どうせあとで妄想すんでしょ?」

「やめてえええぇぇ!! 言い方ァァァァ!!」

 ◆ ◆ ◆

 碧純:「ていうか、あたし、なんで弘弥の目の前で足見せなきゃいけないの……?」

「……ほら、匂いフェチって弘弥が言ったんじゃん」

「いや俺は“恋の香り”って詩的に言っただけで……!」

 カメラマン:「恋も匂いも主観なんだよ、少年!」

 弘弥:「いい話っぽくすんなぁぁぁあああ!!!」

 碧純は半泣きでソックスを脱ぎながら、「バカ、見んな……変態」と呟いて、視線をそらした。

(……なんか、逆にドキドキした)

 ◆ ◆ ◆

 ことね:「私は……“VTuberが人間味を取り戻す”瞬間を演出します」

「ねえ、それ配信する気満々じゃん」

 ことね:「有料会員限定で……えへへ♡」

(この子、倫理観どこ置いてきたの!?)

 ことねの足は、予想以上に白くてスラッとしていた。

 脱ぎたてのソックスを手でたたみ、丁寧に置くその所作に──謎の神聖さすら漂っていた。

 ◆ ◆ ◆

 あゆむ:「お兄ちゃん、ちゃんと覚えてる? わたしの足の形──昔、よく踏まれてたよね?」

「どんな思い出!?!?」

「じゃあ、今夜も──踏んであげよっか♡」

 編集長:「よし、彼女に特別ページを!! “思い出は足に宿る”特集だ!!」

 ◆ ◆ ◆

【数時間後──】

 全撮影終了。

 床には脱がれた靴下がそっと並べられ、部屋の空気は──何か、濃い。

 カメラマン:「“匂いで恋を語る”なんて、前代未聞だよ……ありがとう、真壁くん……!」

 編集長:「誌面には、君の“鼻血グラフ”も載せるから安心して!」

 弘弥:「俺の鼻血、資料扱い!? いやいやいやいや!!」

 美月編集:「そろそろ“フェチ文学”ジャンル創設の時代ね。うちで出すわ、“足恋文庫”」

 ◆ ◆ ◆

 ──その日のSNS。

【#足元から始まる恋】
【#青春と汗とソックス】
【#踏まれたいじゃなく包まれたい】

 など、意味不明のトレンドが世界を席巻していた。

 ヒロインたちは旅館のロビーで、なぜか裸足で並んでいた。

「じゃあ弘弥くん、どの足が一番“作品の香り”に近かった?」

「ええええええぇぇぇぇええ!?!?」

(俺の人生、こんな足フェチ方向で進んでいいのか……?)

 だが俺の心は──ほんの少し、足元からあたたかくなっていた。

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