同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四四五話「フェティシズムを越えろ──“靴下純愛論”大演説」

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 ──スタジオのライトがまぶしかった。

 俺、真壁弘弥。 ついに、全国ネットのTV番組に出演する日が来てしまった。

 しかもテーマは──

『話題の高校生作家に聞く!“靴下”が恋を変える!?』

「なんでこの特集組んだんですかぁぁ!?」

 直前まで控室で頭を抱えていた俺に、担当編集の美月がバッサリ。

「あなたが“匂いと恋の融合”とか真顔で原稿に書いたからよ。 全国のフェチ心に火をつけた自覚、ちゃんと持ちなさい」

「火がついたの俺じゃなくて周囲の方だろ……!」

 ◆ ◆ ◆

 そして、本番。

 司会者:「真壁さんは、“靴下”というモチーフを通して恋を描いていますよね?」

(うわああ来たああああ!!)

 しかし、覚悟を決めた俺は、まっすぐカメラを見つめて言った。

「……はい。たしかに、きっかけは“匂い”でした。 でも、ただのフェチとは違います」

「靴下って、毎日の記憶が染み込んでいるんです。  その日の疲れ、汗、歩いてきた人生。それが、香りになって残ってる」

「それって、“その人が生きていた証”だと、俺は思うんです」

 スタジオ、一瞬静まり返る。

「だから僕は……“靴下”を通して、誰かの“生きた証”に恋をする。匂いは、魂の触れ合いなんです!」

 \\\ ドッ ///

 観覧席のOLたち:「えっ、泣ける……」 主婦:「うちの子の靴下、もっと大事にしようと思いました」 大学生:「彼女の靴下、枕元に置くのアリなんだ……」

 ネットは即時騒然。

 #高校生作家の言葉が深すぎる
 #靴下文学
 #フェチじゃないこれは哲学

 ◆ ◆ ◆

 翌日。

「弘弥、トレンド入りしてる……!」

 ヒロインズの誰かがスマホを片手に叫ぶ。

「“靴下は詩”って言葉、切り抜かれまくってるぞ……!」 「“におい=記憶”が今、文学界を揺らしてるって……!」

 すみれ:「私たちの足元が、世界を変えてしまったのね……」

 ルナ:「うちのソックス、ついに公式に尊い存在になったんだね……(感涙)」

 ことね:「次の配信、タイトル決まりました。“魂の布、靴下愛学講座”です」

 碧純:「もはや夢精より誇れるよ……!」

 ◆ ◆ ◆

 ──数日後。

 靴下を題材にしたエッセイアンソロジーが企画され、全国の高校図書館に「フェチではない、これは恋の新形態」と推薦され始める。

 編集部、美月:「弘弥……“次元を超えた青春”って見出し、何誌に載ったと思ってるの?」

 弘弥:「えっ、怖い……でも嬉しい……いややっぱり怖い……!」

 ◆ ◆ ◆

 そして、ラスト。

 ヒロインたちが、俺の部屋に集まり、一斉に言った。

「弘弥の一番好きな靴下、教えて?」

「………………」

 俺は真っ赤な顔で目を逸らし、

「……全部、好きに決まってんだろバカ……!」

 その日、俺の部屋の洗濯かごは、なぜか“祝福”であふれていた。
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