同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四八八話『夜の露天──誰と二人きり?』

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 夕食後、まったりとした時間が流れる旅館のロビー。

 だが、俺たちハーレム一行は違った。

「さて……問題の、夜の貸切露天風呂ターイム!」

 ルナが妙に嬉しそうに宣言する。

 貸切風呂は、交代で自由に使えるが──

「どうせなら、誰と一緒に入るか、くじ引きで決めよっか☆」

 というルナの悪魔的提案により、

 くじ引きタイムが開催されることになった。

 もちろん、弘弥(俺)と誰か一人、というペアリング方式だ。

「待て、ちょっと落ち着け! そんなの決めなくても──」

「ルールはもう決まったから!」

 碧純が即断即決で封じた。

「黄金の夜、選ばれし運命……」

 ことねがまたしても謎呪文を呟いている。

 すみれは静かに微笑み、

「弘弥くん、逃げても無駄よ」

 とトドメを刺してきた。

 もう逃げ場はなかった。

「じゃあ、引くね!」

 ルナが即席のくじ箱を差し出す。

 ヒロインズ一人一人が、順番にくじを引いていく。

 俺も、震える手で一本引いた。

 そして──

 ミレーヌの手元に、当たりの札があった。

「えっ、わ、わたくし!?」

 ミレーヌが固まった。

 そして、顔がみるみるうちに真っ赤になった。

「初めての、混浴……! 弘弥様と、ふ、ふたりっきりで……!」

 ぷしゅうう、と湯気を立てそうな勢いで蒸気を上げている。

 周囲のヒロインズは、

「……おめでとー(棒読み)」

「まあ、たまにはいいよね~(棒読み)」

「観察対象、臨界点接近」

「黄金の夜、選ばれしもの……」

 それぞれ微妙なテンションで祝福(?)していた。

 そして、運命の時間が訪れる。

 夜の露天風呂。

 月明かりに照らされた岩風呂は、しんしんと湯けむりを立てていた。

 脱衣所でタオル一枚だけを身にまとい、俺は震えた。

(ちょっと待て、これ、やばくないか……?)

 男のプライドとして、ここで逃げるわけにはいかない。

 だが、現実問題として──

(タオル一枚で、ミレーヌと……混浴……)

 理性の限界がすでに見えていた。

「お、遅くなりましたぁぁっ!」

 ミレーヌが駆け込んできた。

 ふわりと纏ったバスタオル。
 濡れた金銀色の髪。
 ほのかに火照った頬。

 完璧だった。

 俺は、心の中で盛大に絶叫した。

(あああああっ、無理無理無理ぃぃぃっ!!)

 だが、ミレーヌは勇気を振り絞って言った。

「お、お願いいたします、弘弥様……!」

 そうして、そろそろと湯船に足を浸す。

「……あったかい……」

 ミレーヌの頬が緩んだ。

 俺も、湯に浸かる。

 湯気がもうもうと立ちこめる中、

 タオルの面積問題が、深刻だった。

(見たら負け……見たら負け……)

 必死で自分に言い聞かせるが、

 視界の端に入る、ミレーヌの白く滑らかな肩、
 ちらりと見える鎖骨、
 湯に浮かぶ金色の髪──

 すべてが、理性を破壊しにかかってくる。

「……あの、弘弥様」

 ミレーヌが小さな声で話しかけてきた。

「ご一緒できて、わたくし、とても……嬉しいです」

 その声は、震えていたけれど、

 どこまでも純粋で、まっすぐだった。

 俺は、心の底から微笑んだ。

「俺も、嬉しいよ」

 そう答えると、ミレーヌの顔がさらに真っ赤になった。

 湯気の中で、ふわふわと照れ笑いが弾ける。

 そして、俺も思った。

 ──ああ、こういう時間を、俺はずっと求めてたんだな。

 騒がしいけど、温かい。

 そんな、かけがえのない時間を──
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