同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第四八九話『ドタバタ湯上がり大騒動!』

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 夜の露天風呂混浴タイムを終えた俺たちは、ようやく部屋に戻った。

 本来なら──

 ここからは、浴衣に着替えて、のんびりと牛乳でも飲みながらくつろぐ時間のはずだった。

 だが。

 現実は、そんなに甘くなかった。

 「ぎゃあああっ!? ちょ、これ、帯取れたぁぁっ!」

 「待って、私も浴衣、なんかゆるい!!」

 「観察対象、着衣機能、著しく低下」

 「黄金の夜、裸の宴……」

 脱衣所トラブルで、全員の浴衣の帯が妙に緩んでしまったのだ。

 しかも──

 浴衣の下に、あまり着込んでいないヒロインも多かった。

 つまり。

 はだける=ほぼアウト、という危険極まりない状況が生まれていた。

 「兄!! 見るな!!!」

 碧純が俺に突進してきて、目隠しを試みる。

 が、遅い!!

 すでに、チラチラと、
 すみれの太もも。
 ルナの肩口。
 ひよりのうなじ。
 ミレーヌの白い足首。

 それぞれが、湯上がりの赤みを帯びて、信じられない色香を放っていた。

(見てはいけない……見てはいけない……!!)

 必死で顔を背ける俺。

 だが、ルナが笑いながら、

「ほらほら~、弘弥、どこ見てんの~?」

 と浴衣の襟をわざと緩め、

「兄、目線、下! 下行ってる!!」

 碧純がパニックになり、

「観察対象、興奮反応検出」

 ひよりが冷静にメモを取り、

「黄金の宿命、交錯の刻……」

 ことねがわけわからない呪文を唱える。

 カオス極まる地獄絵図だった。

 そして、事件は起きた。

「きゃっ──!」

 ミレーヌが、浴衣の裾を踏んで転び、

 そのまま、一直線に俺に飛び込んできた。

「うわっ!」

 俺は咄嗟に彼女を抱きとめた。

 バスタオル越しに感じる、ふわふわの金銀色の髪と、
 湯上がりで柔らかくなった細い体の感触。

 ミレーヌは、真っ赤な顔で俺の胸に顔を埋めていた。

 その光景を、他のヒロインたちは、

 ──絶句して見つめていた。

 数秒の静寂。

 そして──

「「「「許さん!!!!」」」」

 怒号と共に、俺への総攻撃が始まった。

 ルナが枕を投げ、
 碧純がタックルをかまし、
 すみれが苦笑しながらも耳を引っ張り、
 ひよりが「これは記録対象」と追撃し、
 ことねが「運命よ、裁きを」と木刀(旅館備品)を振り回した。

 俺はただ──

 必死で防戦するしかなかった。

 これが、湯上がり大騒動の、悲しい結末である。
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