同居のヒロイン達に夢精がバレる俺は、正妻戦争の中心にいるらしい件

『ハワイアンズ旅行編』

第五九〇話『ぬるぬる温泉バトル──合法接触チャンス！？』

「え、ここ……混浴なんだ」

目の前に広がるのは、広々とした大浴場。そして奥へと伸びる、“名物・滑走湯路（ウォータースリップ）”。ぬるぬる系天然成分の温泉で滑る、というユニークすぎるスパリゾートハワイアンズの新エリア。

スタッフのお姉さんがにこやかに説明する。

「こちら“スベリノユ”は、全身で温泉成分を感じながらお楽しみいただける“ぬるぬる体験コース”です♪ なお、滑りやすい床面につき、転倒時には周囲の方を掴んでくださいませ～」

その一言に、ヒロインたちの目が光った。

「つまり──合法的に触れるってことじゃん！？」
「兄、これはもう運命だよね！？」
「やれやれ……そういう場所なのね」

背後からぞろぞろと現れるのは、いつものヒロインズ──

・白神ルナ（ビキニ＋パーカーのギャル全開スタイル）
・真壁碧純（ちょい露出控えめのスク水風ワンピ）
・水無瀬すみれ（大人しめな和柄セパレート）
・一ノ瀬ひより（科学者水着＝ラッシュガードと短パン）
・ミレーヌ（なぜか王族御用達の布多め・脚出し仕様）
・そしてことね（フル装備ダイバー姿。もはや誰？）

「弘弥！ 一緒に滑るわよっ！」
ルナが最初に飛び込んだ。

つるり。

「きゃはっ、つるつるぅっ！ うわ、まって、うわああ──っ！」

ぬるり、すべり、くるりと一回転しながら弘弥に激突！

「だっ……誰か止め──ぐはっ！」

ぶつかった瞬間、ルナの太ももが弘弥の顔面を直撃。
気がつくと、弘弥はルナの胸に顔を埋めた格好で温泉床に横たわっていた。

「やっ……わ、わざとじゃないし！今の合法、合法！！」

真っ赤になって叫ぶルナ。

「……アウトだろ」

冷静に呟くすみれも、次の瞬間──滑った。

「あっ、すべ──」

すべって転倒、弘弥の背後に抱きつくような形で倒れ込む。
彼の背中に密着した柔らかな感触。ぬるぬる。体温。

「……ごめんなさい。不可抗力ということで、合法、よね？」

「合法の定義が壊れていく……！」

その後も、すべって倒れては「合法」、滑って抱きついては「セーフ」連呼のオンパレード。

極めつけはミレーヌ。

「この床、非常に滑りやすいですの……はっ！」

ツルンッ！

「きゃっ！？ し、失礼──っ！？ ……え？ あ、え？」

ミレーヌ、滑りながら前方宙返り状態で弘弥の顔の真上に着地しそうになり──

「うわっ、見え──！？！？」

「きゃあああああああああああっっ！！！」

──何かを“見た”弘弥。
その直後、温泉に突っ伏して動かなくなった。

「こいつ、また夢精したんじゃないのか！？」
「兄！？ 生きてる！？」
「お兄ちゃん、鼻血止まらないよ！！」

阿鼻叫喚の温泉スライダーエリア。
スタッフが慌てて駆け寄る中──

弘弥は薄れゆく意識の中で、思った。

（青春って……ぬるぬるしてるな……）