629 / 630
『選択の文化祭──誰と“その先”へ行くのか』
【第六一八話】 『選んだあとで、それでも“青春”は続く』
しおりを挟む
夜の校庭。静かに風が吹いていた。
満天の星。文化祭最後の上映会も終わり、教室の明かりもほとんどが落ちている。
けれど──。
「……ここにいたのか」
弘弥の隣に並ぶのは、選ばれた“彼女”。
手の温もりは、昼よりも近く、鼓動の揺れが隣で感じられるほどの距離。
「びっくりした?」と、彼女は小さく笑った。
「ちょっと、かな。でも……うれしいよ」
弘弥は息を飲み、ほんの一瞬、目を閉じた。
「やっと……自分の気持ちに正直になれた気がするんだ」
「わたしも。ずっと、そうなってほしかった」
──どんな言葉よりも、静かな夜がその関係を証明していた。
ふたりは寄り添い、手を繋いだまま星空を見上げる。
一方、後夜祭が終わった教室では、残るヒロインたちが集まり、肩を寄せていた。
「……選ばれなかった。の、かもね」
ルナが苦笑しながら言うと、
「違う。まだ“終わってない”んだよ」
碧純が強く、まっすぐに返す。
「兄のこと、あきらめたわけじゃないもん。あれは“仮の勝者”」
「うん。私たち、まだ“戦場”に立ってるんだから」
「恋は、長期戦ですよ?」
ひよりの冷静な声が響く中、ことねが笑う。
「だったら、私は配信で世界中の応援を集めて勝つから♥」
──ヒロインたちはそれぞれ笑い、涙をこらえながら、けれど前を向いていた。
恋は終わってない。青春も、まだ続いてる。
そして──。
弘弥の独白が、夜の空に溶けていく。
「選ぶって、簡単じゃなかった」
「選んだら、誰かが泣くかもしれないって、ずっと怖かった」
「でも──」
「一緒に悩んで、笑って、ぶつかって、歩いてきた時間が、たしかに俺の“青春”だったんだ」
──星が流れる。
「これからも、ずっと一緒に悩んでくれますか?」
「もちろん。……青春は、これからでしょう?」
──その言葉が、未来への一歩となる。
そして物語は、新たな章へ。
満天の星。文化祭最後の上映会も終わり、教室の明かりもほとんどが落ちている。
けれど──。
「……ここにいたのか」
弘弥の隣に並ぶのは、選ばれた“彼女”。
手の温もりは、昼よりも近く、鼓動の揺れが隣で感じられるほどの距離。
「びっくりした?」と、彼女は小さく笑った。
「ちょっと、かな。でも……うれしいよ」
弘弥は息を飲み、ほんの一瞬、目を閉じた。
「やっと……自分の気持ちに正直になれた気がするんだ」
「わたしも。ずっと、そうなってほしかった」
──どんな言葉よりも、静かな夜がその関係を証明していた。
ふたりは寄り添い、手を繋いだまま星空を見上げる。
一方、後夜祭が終わった教室では、残るヒロインたちが集まり、肩を寄せていた。
「……選ばれなかった。の、かもね」
ルナが苦笑しながら言うと、
「違う。まだ“終わってない”んだよ」
碧純が強く、まっすぐに返す。
「兄のこと、あきらめたわけじゃないもん。あれは“仮の勝者”」
「うん。私たち、まだ“戦場”に立ってるんだから」
「恋は、長期戦ですよ?」
ひよりの冷静な声が響く中、ことねが笑う。
「だったら、私は配信で世界中の応援を集めて勝つから♥」
──ヒロインたちはそれぞれ笑い、涙をこらえながら、けれど前を向いていた。
恋は終わってない。青春も、まだ続いてる。
そして──。
弘弥の独白が、夜の空に溶けていく。
「選ぶって、簡単じゃなかった」
「選んだら、誰かが泣くかもしれないって、ずっと怖かった」
「でも──」
「一緒に悩んで、笑って、ぶつかって、歩いてきた時間が、たしかに俺の“青春”だったんだ」
──星が流れる。
「これからも、ずっと一緒に悩んでくれますか?」
「もちろん。……青春は、これからでしょう?」
──その言葉が、未来への一歩となる。
そして物語は、新たな章へ。
0
あなたにおすすめの小説
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる