『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第4章 オタクに優しい日焼け黒ギャル

【第32話『黒ギャル、爆誕──恋する乙女モード突入』】

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 次の日の朝。

 私は、登校途中で信じられないものを見た。

 ──利家お兄ちゃんと、あの黒ギャルが並んで歩いている。

 しかも、ものすごく自然に、
 ものすごく親しげに。

「おっはよー♡先輩っ!」

 陽葵は、にぱっと太陽みたいに笑って、お兄ちゃんにぴったりくっついていた。

(え、なにこれ)

 あまりの光景に、私は通学カバンを取り落としそうになった。

 あやめ、こころ、ひなこも後ろから合流してきて、
 三人同時に目を見開いた。

「ちょ、ちょっと英梨……あれ、どういう……」

「え、知らない知らない!!」

「兄妹なのに知らないの!?」

「知らないってばあああ!!」

 教室に着くと、さらに衝撃的な事実が判明した。

 ──南條陽葵、〇〇高校の生徒だった。

 しかも、なぜか今日から、私たちのクラスに「編入」扱いで参加することに。

(……マジかよ)

「あ、英梨ちゃんたちもいるじゃん!」

 陽葵は、人懐っこく手を振ってきた。

「昨日助けてくれた先輩の妹ちゃんでしょ?よろしくね~♡」

 こころが、ぽかんと口を開けた。

 ひなこが、ぼそっと言った。

「……陽葵ちゃん、テンション高ぇな」

「うん、なんか……台風みたいだね……」

 あやめが冷静に評した。

 陽葵は、そんな空気をまったく気にせず、利家の隣にぴったりポジションをキープしていた。

「ねぇ先輩、今日放課後、どっか行こうよ~♡」

「え、いや、用事が──」

「お礼もまだしてないし~!」

 陽葵は、腕に絡みつく勢いで迫る。

 利家は汗をかきながら引きつっていた。

(……お兄ちゃん、無抵抗すぎる!!)

 私は、思わず机をぎゅっと握りしめた。

(なにこの……このモヤモヤ!!)

 陽葵は、とにかくストレートだった。

 わかりやすいくらい、利家にアプローチしまくった。

 授業中も、ちょっとした隙に話しかけ。

 昼休みも、利家の机にお弁当を持ってきて。

 下校時も、腕を組もうとすれば、
 利家は全力で避けるものの、陽葵はめげない。

(……強すぎる)

 妹連合軍は、教室の隅で小声の緊急会議を開いた。

「どうする……この黒ギャル」

「正直、今までの刺客の中で一番、強い……」

「戦闘力が違う……」

 私は、頭を抱えた。

 推し活のライバルも、
 兄への恋心を巡るライバルも、
 なんだか急に急増している。

(しかも陽葵ちゃん、悪い子じゃないんだよな……)

 明るくて、真っ直ぐで。

 だからこそ、恐ろしい。

 好きなものに、全力で向かっていくタイプ。

 まるで、かつての私たちみたいに。

(負けたくない……)

 胸の奥で、そんな小さな声が聞こえた。

 授業が終わった後も、陽葵は当然のように利家の隣にいた。

「じゃ、今日も一緒に帰ろーね♡」

「……いや、妹たちもいるし」

「えー、妹ちゃんたちも一緒でいいよ~!むしろ仲良くしよ!」

 にこにこ笑う陽葵を前に、私たちは何も言えなかった。

 こうして、南條陽葵という新たな台風が、私たちの日常に爆誕した。

 それが、これから巻き起こる波乱の始まりだと、
 このときの私は、まだ知らなかった──。

 ──つづく。

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