『お兄ちゃんのオタクを卒業させてみせるんだからね❤ ~ブラコン妹と幼馴染オタク姫の果てしなき戦い~』

本能寺から始める常陸之介寛浩

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第4章 オタクに優しい日焼け黒ギャル

【第31話『万引き冤罪!?運命の出会い』】

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 秋の気配がほんのり混じる午後。

 私は、学校帰りにコンビニに立ち寄った。

 缶コーヒーと、新作お菓子。

 それと、ちょっとした推し活グッズの雑誌。

 そんな小さな戦利品を手に、レジに並ぼうとしたときだった。

「──君、ちょっと」

 店員の、鋭い声。

 視線の先にいたのは、一人の女の子だった。

 日焼けした肌に、明るい髪。
 カジュアルでラフな服装。
 大きな瞳は、どこか狼狽している。

(……誰だ?)

 一瞬、見覚えのないその子に目を留めた。

「カバンに何か入れてたよね?防犯カメラで見たよ」

「ち、違っ……何も入れてないってば!」

 女の子──後で名前を知ることになる、南條陽葵(なんじょう ひまり)は、必死に否定していた。

 でも、店員は聞く耳を持たない。

「警察、呼びますね」

 冷たく言い放たれ、彼女は青ざめた。

(いや、これ──違うだろ)

 直感だった。

 彼女の動きは、誰かを盗ろうとする人間のそれじゃなかった。

 私は、自然に足が動いていた。

「すみません」

 二人の間に割り込むようにして立つ。

「彼女は、万引きなんてしてません」

 店員が、怪訝そうに私を見る。

「……なに?君、知り合い?」

「いいえ。でも、防犯カメラをきちんと確認しましょう」

 落ち着いた声で、でもはっきりと言った。

 周りがざわつき始める。

 店員は、不満そうにタブレットの映像を巻き戻した。

 ──そこには、陽葵が普通に商品を手に取って見て、棚に戻しただけの姿が映っていた。

 カバンには、何も入れていない。

「……」

 店員の顔色が変わった。

「……すみません、誤解でした」

 不格好な謝罪。

 陽葵は、ぽかんと口を開けたまま、私を見上げた。

「……よかったですね」

 私は、にこりと笑った。

「これからは、変な疑いかけられないように、カバン閉めといた方がいいかもしれません」

 軽くアドバイスすると、陽葵は顔を真っ赤にして、ぶんぶんと首を振った。

「そ、そんなことより──」

 彼女は、ぎゅっと拳を握りしめて、真剣な顔で言った。

「ありがと!!マジで、命の恩人!!」

「命は関係ないけどな……」

 苦笑いしながら答えると、陽葵はにぱっと笑った。

 太陽みたいな、真っ直ぐな笑顔だった。

(──眩しい)

 思わず、そんな感想が胸に浮かんだ。

「ねえ、あんた……いや、先輩!」

「どこの高校?」

「えっ、あ、〇〇高校だけど」

「やっぱ同じじゃん!!」

 陽葵は嬉しそうに叫んだ。

「これって、運命ってやつだよね♡」

 私は、ぽかんとした。

(……何がどうしてこうなった)

 でも、陽葵はお構いなしだった。

「先輩、名前教えて!あとLINEも交換しよ!」

「え、いや、そんな──」

「だって、お礼したいし!!絶対に!」

 勢いに押され、渋々スマホを取り出すと、
 陽葵はにこにことQRコードを読み取った。

「よっしゃー、ゲット♡」

 それは、ゲームのドロップアイテムを手に入れたかのような無邪気さだった。

(……すげぇな、この子)

 圧倒されながら、私はコンビニを後にした。

 その背中を、陽葵はきらきらした目で見送っていた。

(かっこよかった……)

 あんなに冷静で、
 あんなにちゃんと守ってくれて。

 こんなふうに、「好き」が生まれる瞬間って、
 本当に一瞬なんだ。

 ──南條陽葵、利家への恋、爆誕。

 静かに、だけど確かに、
 新たな嵐が始まろうとしていた。

 ──つづく。
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