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第三章 普通

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「こっちこっち」

「んだよ?」

「また一人になると荒ぶる眷獣になっちゃうから、監視役です」

「・・・・・・どっかの始祖と一緒にすんな、槍持ってくんなよ」

「あはははははははははっ、通じて良かった。ねぇ、一緒にご飯食べようよ。僕たち文芸部で部室使えるんだ」

「ん?先輩とかは?」

「大丈夫、一人いるけどミーのお姉ちゃんだから。ほとんど来ないよ。来ても人畜無害、自分の世界に入り込んでるし」

そんな文芸部よく存続していたな?そんな疑問は、すぐに消えた。

「ミーのお姉ちゃんは現役高校生ライトノベル作家なんだよ」

文芸部に向かう廊下でヒロが語り始めた。

「ん?あれかWEB作家とかの意味か?」

昨今流行の小説投稿サイトは誰でも小説家になれる。

ライトノベル好きなら誰でもが憧れる世界。

創作者側の世界はすごそこにある。

その世界は意外にも近い。そして、遠い。

「元々はWEB投稿していたんだけど、コンテストで受賞してね、商業デビューしてるから学校も大目に見てるんだよ。茨城を舞台にしているライトノベル書いていて、観光PRに貢献しているから。内緒だけど市の観光PR大使の打診も来ているから」

「・・・・・・へ~んな作品あったんだ。青春ラブコメばかり読んでいるから気がつかなかった」

俺が読むライトノベルのジャンルは青春ラブコメ、異世界など冒険物や転生転移物語はコミカライズやアニメでは目にしている。

「ライトノベル好きなら歴史ファンタジー物なんだけど読んでみたら?佐竹義重が主役だよ、ミーちゃんに言えば献本貰えると思うよ、サイン入りで」

「歴史系か・・・・・・現実世界系のが好きなんだよ、ライトノベル」

ガラリと開けられた文芸部は、昨今の少子化で使われなくなった教室を簡易的な壁で二に分けられた感漂う部屋。

本棚には図書室には並べられなさそうな、昨今流行っている長いタイトルのライトノベルがちらっと見える。

下ネタがどうのこうの・・・・・・。

パンツ一枚身に頭にまとった全裸の少女が有名な表紙が、これ見よがしに飾るように並べてあった。

そちらに目が行ってしまうと、

「下僕はパンツを欲しているのか?」

「うわっ、いたのかよ」

わざわざ空いているのに、窓際でなく廊下側の一番日が差し込んでこない席に座るミーに声を掛けられ少しびびった。

「太陽の光に当たると灰になる」

「どうやって学校来たんだよ!」

「まぁまぁ、ご飯食べちゃわないとお昼休み終わっちゃうよ」

ヒロはツッコミ役なのね。

「まあ、うざらわしい視線も雑音もないから、ここで食わして貰うよ」


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