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31.魔王②

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「まさか……!?」

「勇者、今の我は使えないと思ったか? 丁度体が温まってきたころだ、最高の物が撃てるぞ」

 この距離で当たるのはまずい……!
 すぐさま距離を取って剣を構える

「喰らえ! 【魔天勇殺】!!!」

「くっ……!!」

 巨大な渦のような物に、自身の魔力が奪われてしまう

「仕方ない……【天光】!!」

 魔力を多く使ってしまうが、【天光】により魔法の弱体化を試みる

「その程度の光で我の【魔天勇殺】を相殺できると思うのか?」

 やはり完全に相殺することは出来ないか……

「……」

 魔法が収まった……が……

「体調が悪そうだぞ……? 勇者」

 三十年前、俺が魔王軍と戦っていた際に使われたこの【魔天勇殺】は、単純に超高威力なだけでなく、勇者を無効化させるために開発した【天光】の上位互換のようなもの
 そんなものを受けてしまったが故に、体の至る所が痛む

「……さすがの我も二度は撃てないか……この一発で動けなくしてやろうと思っていたのに、またも妙な光に助けられたみたいだな」

 ……【天光】を使えたはいいものの、もう魔力は数割しか残っていない、魔王ももう一度使うことはなさそうだが……

「階段が塞がれている限り、騎士団などが来ることはない、改めて死ぬ覚悟をしておけ」

 ゴーレムは……まだ二体とも残っている、しかし、この状態で魔王が【魔天勇殺】を使ったことが誤算だった

「さっさと倒れろ!! 【炎暴】!!」







「塞がれているの!?」

「は、はい」

 魔王城の外で待っていたカラネイラとスターフが、ルークの現状を聞いていた

「その壁がどうやっても壊れないとなると、単に騎士を入れないためじゃなく、ただ本当に一対一で勝つつもりですか……」

「ルーク……頼むから死なないでよ……」

 あなたは私の息子みたいなものだから……

「……確かにとても危険な状態ですが、そんな場面何度もあったでしょうし……」




「この私を倒した者が簡単にやられる訳ありません」






「【火囲】!【氷渦】!【雷落】!!」

「【風操剣】!!」

【魔天勇殺】の効果が切れるまで待とうとしていたが、今そんな余裕はない……

「お前の集中力もすぐ終わるぞ! 【炎渦】!!」

 魔王の延々に続く魔法に考える事が出来なかったが、そのおかげで……

「【雷極剣】!!」

「……!」

【魔抗】が最大レベル【魔抗Ⅳ】に成った!!

「鬱陶しい!! 【炎獄】で焼き払う!!」

「【竜風】!!」

 炎と風の力が拮抗する

「まだ死んでないか……厄介な人間だ……」

 魔王の魔力は弱くなっている! 俺についている魔法の効果ももうじき切れそうだ!!

「【王斬】!!」

 魔王は斬撃スキルを使用して、とうとう単純な接近戦になっている

「ゴーレム!」

 魔王の離れた場所にいたゴーレムを呼び二体で挟みかけた

「邪魔だ!!」

 ゴーレムの一体が斬られてしまう

「【風刃】!!」

 一番使い慣れている【風刃】で、確実に魔王に当てる!!

「勇者ぁぁぁ!! 【王斬】!」

「うおぉぉ!! 【風操剣】!!」

 刃どうしが激しくぶつかり合う


「この世界は!! 我のもの……だ……」


 渾身の斬撃で、魔王の胸を貫いた

「……本当に危なかった」

 膝をついた魔王を前に、ため息をする

「……だ……ま……だ」

 目の前の敵から微かな声が聞こえた

「なっ……!! くっ……」

 すでに魔石を貫かれたはずが……こいつ……

「【王斬】」


 奴の剣に腹を斬られ、意識が遠のいていく

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