【R18】お前が好きだから、仕方なく付き合ってやる ~笑顔でお断りしましたが、何か?~

さぶれ@6作コミカライズ配信・原作家

文字の大きさ
90 / 117
9.遂に神原と対決!(ハラハラドキドキ)

しおりを挟む
 
「と、ととと、当行の・・・・し、し、しし、支店長に、い、いいい、言ったのですか!?」

「そりゃあ言いますよ。あれだけこちらの味方をするとかなんとかおっしゃっておきながら、手のひらを返してフクシの融資妨害に走られるのですから。事実確認も取っておかないと。ねえ?」

「そんな・・・・」

 春日部さんはへたりこんでしまった。恐らく雄姿妨害を頼まれ、幸い銀行で話を回さなかったものだから、自分の所でそのまま握りつぶしてしまったんだ。
 だから社長が来行しても、門前払いで追い返したのね。社長はそれがおかしい事だと、ずっと私にボヤいていたから、早い段階で気が付いて、水面下で動いていたんだ。
 例え他行に話を持って行ったとしても、この企画書は完璧で、どの銀行も融資を決めてくれるという、絶対的な自信があったんだ。

 だから金策に奔走(ほんそう)していなかったのね。融資先はきっと、社長の事だから決めているのだろう。
 それならそうと、どうして一言も言ってくれなかったんだろう。言ってくれたら、私だってこんな無茶しなかったのに・・・・。


「まあ、安心してください。今回の件は春日部さんにお断りされましたので、そのように支店長にお伝えして、他行で融資の話は進めておりますから」


 あああ・・・・。春日部さん、明日銀行に出勤したら、きっと大変なことになるんだろうなぁ。

「神原社長っ。話が違うじゃないですかああっ! ぜ、ぜぜぜったい安全だって言うから・・・・倫子さ・・・・あ、いえ、鈴木野社長の頼みだから、しぶしぶ引き受けて・・・・何とかして下さいよっ!」

 パニックになった春日部さんが、神原に詰め寄った。「断ったら倫子さんに、ほしぞら銀行の借り入れを全額返済して、神原社長の所も、鈴木野プロダクションも、全てを他行に借り換えるって言われたのですよ! そんなことされたら、僕の立場が・・・・だから、仕方なく手を・・・・絶対安全だって、倫子さんが言うからあっ!」

 春日部さんは、見ていて気の毒なくらいパニックになっている。自業自得とはいえ、ちょっと可哀想な気がした。

「春日部さん、何を勘違いをされているのかは知りませんが、私は関係ありませんよ。鈴木野さんと一回関係を持っただけで、彼氏気取りで困っている、と彼女から聞いたのは承知しておりますがね」

 フン、と鼻を鳴らして嫌味を返す神原。本当に嫌な奴!


 とりあえず、話をまとめよう。
 春日部さんの話を総合すると、鈴木野社長と神原は、恐らくデキているのか、共謀しているのか、どちらかなのだろう。そして鈴木野さんを使って、ぶっちゃけ言い方は悪いが、女性慣れをしていない春日部さんと関係を持ち、借入を盾に春日部さんを脅した、と。自身の成績にも響くだろうから、春日部さんはフクシの融資を一方的に破棄するように計らったという訳か。

 しかしこれは、あくまでも一時的な時間稼ぎだ。どの銀行にも通用する訳では無い。たまたま今回は春日部さんを上手く利用出来ただけの話。
 そして新商品の生産資金の借り入れが出来ないとなれば、私が絶対に神原の申し出を断らないと踏んで、仕掛けてきたのね。そしてさっさと契約を交わしてしまうつもりだったんだ。別の銀行で融資が下りると解った時点では、もう約束を反故にはできないようにするために。


 全く・・・・私ともあろうものが、神原の筋書き通りに動いてしまった。まんまと罠に嵌ったみたいで恥ずかしい。
 まだまだ未熟だ。特にスギウラが関わると、見境がなくなってしまう悪い癖を見抜かれての事だろう。

 ・・・・悔しいな。
 社長にも、迷惑をかけてしまった。もっときちんと、社長に相談していれば良かった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。 絶対に離婚届に判なんて押さないからな」 既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。 まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。 紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転! 純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。 離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。 それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。 このままでは紘希の弱点になる。 わかっているけれど……。 瑞木純華 みずきすみか 28 イベントデザイン部係長 姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点 おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち 後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない 恋に関しては夢見がち × 矢崎紘希 やざきひろき 28 営業部課長 一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長 サバサバした爽やかくん 実体は押しが強くて粘着質 秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

私の婚活事情〜副社長の策に嵌まるまで〜

みかん桜
恋愛
身長172センチ。 高身長であること以外ごく普通のアラサーOL、佐伯花音。 婚活アプリに登録し、積極的に動いているのに中々上手く行かない。 「名前からしてもっと可愛らしい人かと……」ってどういうこと? そんな男、こっちから願い下げ! ——でもだからって、イケメンで仕事もできる副社長……こんなハイスペ男子も求めてないっ! って思ってたんだけどな。気が付いた時には既に副社長の手の内にいた。

【完結】育てた後輩を送り出したらハイスペになって戻ってきました

藤浪保
恋愛
大手IT会社に勤める早苗は会社の歓迎会でかつての後輩の桜木と再会した。酔っ払った桜木を家に送った早苗は押し倒され、キスに翻弄されてそのまま関係を持ってしまう。 次の朝目覚めた早苗は前夜の記憶をなくし、関係を持った事しか覚えていなかった。

ハイスペックでヤバい同期

衣更月
恋愛
イケメン御曹司が子会社に入社してきた。

苦手な冷徹専務が義兄になったかと思ったら極あま顔で迫ってくるんですが、なんででしょう?~偽家族恋愛~

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「こちら、再婚相手の息子の仁さん」 母に紹介され、なにかの間違いだと思った。 だってそこにいたのは、私が敵視している専務だったから。 それだけでもかなりな不安案件なのに。 私の住んでいるマンションに下着泥が出た話題から、さらに。 「そうだ、仁のマンションに引っ越せばいい」 なーんて義父になる人が言い出して。 結局、反対できないまま専務と同居する羽目に。 前途多難な同居生活。 相変わらず専務はなに考えているかわからない。 ……かと思えば。 「兄妹ならするだろ、これくらい」 当たり前のように落とされる、額へのキス。 いったい、どうなってんのー!? 三ツ森涼夏  24歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』営業戦略部勤務 背が低く、振り返ったら忘れられるくらい、特徴のない顔がコンプレックス。 小1の時に両親が離婚して以来、母親を支えてきた頑張り屋さん。 たまにその頑張りが空回りすることも? 恋愛、苦手というより、嫌い。 淋しい、をちゃんと言えずにきた人。 × 八雲仁 30歳 大手菓子メーカー『おろち製菓』専務 背が高く、眼鏡のイケメン。 ただし、いつも無表情。 集中すると周りが見えなくなる。 そのことで周囲には誤解を与えがちだが、弁明する気はない。 小さい頃に母親が他界し、それ以来、ひとりで淋しさを抱えてきた人。 ふたりはちゃんと義兄妹になれるのか、それとも……!? ***** 千里専務のその後→『絶対零度の、ハーフ御曹司の愛ブルーの瞳をゲーヲタの私に溶かせとか言っています?……』 ***** 表紙画像 湯弐様 pixiv ID3989101

定時で帰りたい私と、残業常習犯の美形部長。秘密の夜食がきっかけで、胃袋も心も掴みました

藤森瑠璃香
恋愛
「お先に失礼しまーす!」がモットーの私、中堅社員の結城志穂。 そんな私の天敵は、仕事の鬼で社内では氷の王子と恐れられる完璧美男子・一条部長だ。 ある夜、忘れ物を取りに戻ったオフィスで、デスクで倒れるように眠る部長を発見してしまう。差し入れた温かいスープを、彼は疲れ切った顔で、でも少しだけ嬉しそうに飲んでくれた。 その日を境に、誰もいないオフィスでの「秘密の夜食」が始まった。 仕事では見せない、少しだけ抜けた素顔、美味しそうにご飯を食べる姿、ふとした時に見せる優しい笑顔。 会社での厳しい上司と、二人きりの時の可愛い人。そのギャップを知ってしまったら、もう、ただの上司だなんて思えない。 これは、美味しいご飯から始まる、少し大人で、甘くて温かいオフィスラブ。

『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』

鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、 仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。 厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議―― 最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。 だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、 結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。 そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、 次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。 同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。 数々の試練が二人を襲うが―― 蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、 結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。 そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、 秘書と社長の関係を静かに越えていく。 「これからの人生も、そばで支えてほしい。」 それは、彼が初めて見せた弱さであり、 結衣だけに向けた真剣な想いだった。 秘書として。 一人の女性として。 結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。 仕事も恋も全力で駆け抜ける、 “冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。

処理中です...