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しおりを挟む相手の体のラインを確かめるように、ニアンナは指先でじっくりと彼の上半身を愛撫する。
「は、っぁ……だめ……」
拒絶の声は熱い呼気に濡れ、今にも消え入りそうだった。なにかを拒む役割には、到底至っていない。
「こんなにびくびくしてるのに、駄目だなんて嘘ばっかり。感じてるんですか? 自分よりもずっと年下の私に触られて」
相手の色香に煽られ、言葉は自然と意地悪になった。
ナミアは眉尻をさげ、小さくうなる。反論はしてこない。そんなふうに簡単に無言の肯定を示してしまえば、ますます虐められてしまうというのに。
ニアンナは、指先で彼の胸の突起を弄りながら訊いた。
「知ってます? 男性でも、ここで気持ちよくなれるそうですよ」
指の腹で尖りを優しくつねると、ナミアは戸惑う面持ちで瞬く。信じられない、とでも言いたげな表情だった。
「開発してみましょうか? そしたら、いっぱい気持ちよくなれるかもしれませんね。……女の子みたいに」
最後の言葉は、相手にねっとりと聞かせるつもりでくちにした。
案の定、頬の赤みを深めたナミアは、ゆるく首を横に振る。そんな反応を見ると、ニアンナは舌なめずりでもしたい気持ちになった。
催淫効果の煙によって自分が昂っているというのも無論あるだろうが、それでも、ナミアを見ていると、彼を羞恥心で追いつめたくてたまらなくなる。
恥じらいに瞳を濡らすナミアは、不思議なことに、見る者の加虐心を無性に煽るのだった。
相手の鎖骨に顔を寄せたニアンナは、舌を伸ばしてそこを愛撫する。と、ナミアが抑えきれない喘ぎを零した。
「っふ、ぁ……」
声を我慢したいという当人の願望から抜け出し、控えめに漏れる嬌声は、妙に官能的である。
さらに、声を抑えようとすればするほどに彼の四肢は愉悦に痙攣し、その姿はいっそういやらしくなった。
ニアンナは自らの舌を、徐々に相手の首へと移していく。
舌から感じるナミアの脈動が、生々しかった。彼が喘ぎを漏らし、あるいは抑えるたびに喉が小さく震えて、その振動を直接的に伝えてくる。
ニアンナを押し返そうとしていた相手の手は、いつの間にか縋る動きに変わってきた。
己よりもずっと年上のナミアを快楽で翻弄しているという事実に、ニアンナは異様な興奮を覚える。今この瞬間は、ニアンナのほうが立場が上なのだ。
軽く喉に歯を立てれば、彼がびくりと大きく反応した。
「ひ、ッん!」
泣き出しそうな嬌声に、ニアンナの嗜虐心が反応する。
甘く噛んだ箇所を、今度はねっとりと舐めてやった。
「ァッ、ん……やぁ……」
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