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第五章 学園編2
第72話 手紙
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『親愛なるお父様、お母様。そしてレオ。お元気でしょうか……。
そろそろ最初の手紙が届いたころと思います。
あれから一週間が経ちました。
ご心配の事とは思いますが私は大丈夫です。お友達もたくさん出来ました。
前に手紙を書いたときはルームメイトのソフィアさんだけでした。
もちろん彼女とは、今では親友の様な関係になりました。一緒に冒険をした成果だと思います。
お父様が言ってらっしゃったとおり、背中を預けることが出来る親友は一生の宝物だと思いました。
あとはリリアナさんとセシリアさんという素敵なお友達もできました。今日はお休みでしたので、皆で首都の繁華街にいき、色々見学をしました。
ここは肉料理がとてもおいしくグプタには無かった味付けの食べ物がたくさんでとても驚きました。
ちなみに男の子は居ませんので安心してください。
もちろん学園では男の子の友達もたくさん出来ました。中には皇子様も居てびっくりでした。
最初は気難しい方でしたが。想像していたよりもずっといい人で安心しました。
ちなみに彼氏はおりませんのでお父様はご安心ください。
でも、もしそういう人が出来たら剣じゃなくって対話でお願いしますね。
もちろん遊んでばかりではありません。
なんと私にも魔法が使えるようになりました。まだまだ初級魔法ですがこれからもっと精進して行きたいと思います。
では、また来週お手紙を出します。
ルーシーより』
手紙を書き終えペンをおくと両腕を上げ背筋を伸ばす。
今日は一日中歩き回った為、眠気と共に「ふわぁー」とあくびが出る。
『お疲れ様です、我がマスター。飲み物はいかがですか?』
ハインドはまるで給仕のようである。
「ううん、いらない。眠れなくなっちゃうし」
特に用は無いけど定期的に召喚しないと拗ねるのである。
隣の席ではソフィアはまだ執筆中であった。
「うーん、お手紙って難しい物ね。いざとなると何を書いていいのか分からないわ。近況報告といっても書くことが多すぎて……」
ルーシーはソフィアの手紙を見て驚いた。
これは手紙ではない、文字が紙面を隅から隅まで覆いつくしており、まるで報告書の様だった。
『ほほう、ソフィア嬢。実に素晴らしいですな。その歳で魔法に関する知識。
まさしく天才でありましょう。マスターも少しは彼女を見習って――』
その瞬間。ハインドは、ぼふんっ、と音を立てて霧散して消えた。
「ソフィアさん。そろそろ寝ないと明日また寝坊しちゃうよ?」
「うーん、しょうがないですわね。では、続きは明日にしましょう」
「ちなみにどんな事書いてたの?」
「うん、一週間の出来事を簡単に書いて、あとは私が初めて極大魔法が使えたこと、その魔力の制御に問題があって魔力枯渇を起こしてしまったこと。
何が足りないのか自分なりに反省して。改善策をいくつか。あとは――」
「ソフィアさん、それじゃあレポートです。うーん、それよりも、この日こんな美味しいものを食べたとか、そんなことでいいんじゃない?」
「そっか、それもそうですわね。じゃあお手紙は改めて明日にして今日は寝ましょうか。
……ところでルーシーさん。お手紙を書いてて気付いたことがありますの。
ニコラス殿下がおっしゃってた、地獄の女監獄長ってルーシーさんのことでしょ? うふふ。秘密にしてらっしゃるようですから、詳しくは聞きませんわ」
はっとするルーシー。やはりバレてたか、状況から言えば隠しようがないかとあきらめる。
「うん、できれば秘密にしてほしい。あまり良くない力だってベアトリクスにも言われてるし。……あと、正直言えば、あの格好は恥ずかしい……」
ソフィアは件の地獄の女監獄長を見たことはなかったが。
ニコラスの報告にあったその姿はルーシーのイメージとはかけ離れて、というかイメージしただけでも、とても卑猥に思えたのだ。
何か可哀そうな気分になったソフィアはルーシーの手を取り頷く。
「もちろんですわ。二人だけの秘密、素敵ですわね。……でも殿下は少し可哀そう。せっかくの初恋……いいえ何でもないわ。じゃあ寝ましょうか。明日の授業も楽しみですわね」
こうしてルーシーにとっての初めての魔法学園での慌ただしい一週間が終わった。
そろそろ最初の手紙が届いたころと思います。
あれから一週間が経ちました。
ご心配の事とは思いますが私は大丈夫です。お友達もたくさん出来ました。
前に手紙を書いたときはルームメイトのソフィアさんだけでした。
もちろん彼女とは、今では親友の様な関係になりました。一緒に冒険をした成果だと思います。
お父様が言ってらっしゃったとおり、背中を預けることが出来る親友は一生の宝物だと思いました。
あとはリリアナさんとセシリアさんという素敵なお友達もできました。今日はお休みでしたので、皆で首都の繁華街にいき、色々見学をしました。
ここは肉料理がとてもおいしくグプタには無かった味付けの食べ物がたくさんでとても驚きました。
ちなみに男の子は居ませんので安心してください。
もちろん学園では男の子の友達もたくさん出来ました。中には皇子様も居てびっくりでした。
最初は気難しい方でしたが。想像していたよりもずっといい人で安心しました。
ちなみに彼氏はおりませんのでお父様はご安心ください。
でも、もしそういう人が出来たら剣じゃなくって対話でお願いしますね。
もちろん遊んでばかりではありません。
なんと私にも魔法が使えるようになりました。まだまだ初級魔法ですがこれからもっと精進して行きたいと思います。
では、また来週お手紙を出します。
ルーシーより』
手紙を書き終えペンをおくと両腕を上げ背筋を伸ばす。
今日は一日中歩き回った為、眠気と共に「ふわぁー」とあくびが出る。
『お疲れ様です、我がマスター。飲み物はいかがですか?』
ハインドはまるで給仕のようである。
「ううん、いらない。眠れなくなっちゃうし」
特に用は無いけど定期的に召喚しないと拗ねるのである。
隣の席ではソフィアはまだ執筆中であった。
「うーん、お手紙って難しい物ね。いざとなると何を書いていいのか分からないわ。近況報告といっても書くことが多すぎて……」
ルーシーはソフィアの手紙を見て驚いた。
これは手紙ではない、文字が紙面を隅から隅まで覆いつくしており、まるで報告書の様だった。
『ほほう、ソフィア嬢。実に素晴らしいですな。その歳で魔法に関する知識。
まさしく天才でありましょう。マスターも少しは彼女を見習って――』
その瞬間。ハインドは、ぼふんっ、と音を立てて霧散して消えた。
「ソフィアさん。そろそろ寝ないと明日また寝坊しちゃうよ?」
「うーん、しょうがないですわね。では、続きは明日にしましょう」
「ちなみにどんな事書いてたの?」
「うん、一週間の出来事を簡単に書いて、あとは私が初めて極大魔法が使えたこと、その魔力の制御に問題があって魔力枯渇を起こしてしまったこと。
何が足りないのか自分なりに反省して。改善策をいくつか。あとは――」
「ソフィアさん、それじゃあレポートです。うーん、それよりも、この日こんな美味しいものを食べたとか、そんなことでいいんじゃない?」
「そっか、それもそうですわね。じゃあお手紙は改めて明日にして今日は寝ましょうか。
……ところでルーシーさん。お手紙を書いてて気付いたことがありますの。
ニコラス殿下がおっしゃってた、地獄の女監獄長ってルーシーさんのことでしょ? うふふ。秘密にしてらっしゃるようですから、詳しくは聞きませんわ」
はっとするルーシー。やはりバレてたか、状況から言えば隠しようがないかとあきらめる。
「うん、できれば秘密にしてほしい。あまり良くない力だってベアトリクスにも言われてるし。……あと、正直言えば、あの格好は恥ずかしい……」
ソフィアは件の地獄の女監獄長を見たことはなかったが。
ニコラスの報告にあったその姿はルーシーのイメージとはかけ離れて、というかイメージしただけでも、とても卑猥に思えたのだ。
何か可哀そうな気分になったソフィアはルーシーの手を取り頷く。
「もちろんですわ。二人だけの秘密、素敵ですわね。……でも殿下は少し可哀そう。せっかくの初恋……いいえ何でもないわ。じゃあ寝ましょうか。明日の授業も楽しみですわね」
こうしてルーシーにとっての初めての魔法学園での慌ただしい一週間が終わった。
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