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「ーーー私も貴方たちもあのときのまま。変わらないって、残酷だね」

 そう言って悪魔の群れに飛び込んで行った少女は、たちまちのうちに攻め入ってきた百数体もの悪魔の核を斬り刻み、その身体を赤黒い血潮のようなもので汚していった。
 その光景は震えて立ちすくむだけの青年に強い衝撃を与え、少女の戦う姿に自身を重ねて子供のように憧れた。

ーーー俺もあんなふうに戦えたら……

 そんな風に思う青年の手には一つの刀が握られている。それは黒く、酷く刃こぼれしたボロボロの刀。どんな剣豪であろうと一振りで粉微塵になってしまうような、刀としての形を成しているだけの塵も同然だった。

ーーー錬成武具カルディアは自身の心のあり様を形に、心の強さを力にしている……だからこのボロボロの剣が俺の心そのもの……あぁ、確かにそうだ。これは俺自身だ……役に立たない、形だけの空っぽな存在。信じてくれた人達から期待されるだけされて結果この有様だ。

 青年はボロい刀を見つめ、己の非力さを静かに嘆いた。
 そしてついには錆びて黒く変色したなまくらは砂のように崩れ、その手から消えてなくなってしまった。

 しかし、その手には白い輝きが残るーーー。

「……夢を見させるなよ! 頑張れって簡単に言うなよ! こんなちっぽけな人間の事を何の根拠もなく信じやがって……! だけど……だからこそ、惨めでも無様でもここで諦めるわけにはいかない!!!」

 青年がそう決意を言葉にした時、喉の奥から拒絶反応もなく逆流したそれは、口から溢れて初めて知覚する。

「ーーーは?」

 青年が違和感に気付き腹部に眼をやると背中から肉を刺し腹部にまで達した剣の先端がはっきりと映った。
 突然の事態に動揺し、刃先に触れようとした瞬間、その剣は更に深く一気に根元まで押しつけられる。
 そしてじわじわ遅れてやってきていたはずの痛みは、既に感じない。なぜなら彼の意識はそこで途絶えてしまっていたからだ。

「ほんと君には困ったものだ。そのやいば、折れてさえいえれば見逃してあげたのにーーーーーなぁ、秋鹿刹那アイカ セツナ
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