底辺術師の錬成無双〜オンボロ刀しか錬成出来ない俺は、それでも奇跡に縋り剣を振るう〜

夢見月まひわ

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 一瞬のうちに視界に映る全てが移り変わり、外の景色が窓から見える。
 それはまるで夢でも見ているかの様な、むしろ夢から覚めたのではと錯覚してしまうほどに唐突で、刹那は目を擦り、頬をつねった。

ーーー痛い・・・

 刹那はこの場所がどこなのか調べるために、窓に近づき外の様子を眺めた。
 そこから先ほどまで訪れていた防衛機構イージス本部がとても大きく見え、ここがエデンであると理解する。そしてそれより更に近くにアカデミーが見えた。

「アカデミーの中・・・?」
「ーーーせいかーい!」

 背後から聞こえた声に驚き、慌てて振り返ると、そこにはアカデミーの学園長を名乗る少女がごく当たり前の様に立っていた。
 部屋をある程度見まわした時、その部屋に刹那以外はいなかったはずだった。

ーーーいったいどこから・・・!!? 扉も開いた音はしなかったし・・・

「ありゃ、もしかして警戒してる? う~ん、少しからかい過ぎたかな~。でも安心して、私は君に害を与えたりしないから。なんならそういう契約をしてもいいんだよ」
「・・・あんたも術師、なんだよな・・・?」
「まーね! 何たってこの術師が通う学園の学園長なわけだし! あと君には馴染みの無い言葉だと思うけど、私が布都御魂フツノミタマだから」
「さっきも聞いたけど、それがあんたの名前でいいんだよな・・・?」
「そうそう。変でしょ。それに比べて秋鹿刹那アイカセツナか。良い名を貰ったね、君は。羨ましい限りだよ」

 「はぁ~あ」とため息を吐いて、フツノミタマは部屋に置かれていたシングルベッドに腰掛けた。

「あーそうだそうだ。君の質問にまだ答えていなかったね。ここはアカデミーこと錬成学園セレマがくえんの男子寮であり、君の部屋だよ。場所は3階の301号室。覚えやすいでしょ?」

ーーーアカデミーの寮? という事は一時的にここで暮らせってことか。

 フツノミタマの説明からそういう事だと理解した。しかし刹那には理解の出来ないことがまだ他にある。

「俺はちょっと前まで外にいたと思うんだが・・・」
「混乱するのも無理はないよ。それに理解の及ばないこの状況を知ろうとするその姿勢は良い事だしね。まぁただ口であーだこーだ言ったところで、『理解』なんて到底出来やしないだろうと思った私は、こう再現してみたわけでーーー」

 それは何の前振りもなかった。

「ーーーお兄ちゃん・・・!?」

 何をしたのかも、どうなったのかも知り得ない。
 いつの間にか刹那は自分の家のリビングにいて、そこには妹の兎和トワがいて。ただ幻でも見ているかの様にしか感じられず、だからこそ『理解』なんて人の領分を外れている。そう思うには十分な体験を二度もした。

「ーーーさ、改めて、改めて名乗るよ! 私は錬成学園セレマがくえんの学園長、布都御魂フツノミタマであり、君たちがーーー"神"と呼称する存在その者だよ」

ーーーこの少女がこの地に住む神・・・つまりは千年前に人類国家アイギスを建国し、人類に安息の地をもたらした十三人の英雄《十三華月プラスワン》の一人、"生きた英雄"ーーー現人神あらひとがみ・・・!!?

「ーーー気軽にフーちゃん、でいいよ」

 そう言って少女は悪戯っぽい笑顔を浮かべていた。
 その笑顔に少女のいう大層な肩書きの威厳は見られない。それはその少女に会った時からずっと変わらずに、無邪気な子供の笑顔でしかなかった。
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