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処刑執行

処刑当日11

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『レム。ちょっと無理させちゃったわね』

シープがレムの身体に乗り移ったことで、レムは強制的に眠りにつかされていた。

『今回は私も疲れたわ』

シープはレムの傍らで横になると、レムを包み込むようにして眠りについた。

「レム様!」

ロイは、先ほど目にしたいつもと雰囲気の違うレムの姿に困惑したが、それよりも急に気を失った事を心配そうに声をかける。

「失礼します」

ロイはレムの首元に手を添える。

いっこうに目覚める気配のないレムであったが、生きている事を確認すると安堵の息をついた。

落ち着いたところで、部屋の中を改めて確認し、部屋の中に倒れているマルクスを見つけた。

目立った傷こそないが、レムに対して丁重なもてなしなどしていないことは容易に想像がつく。
ロイ自身も、拘束されている間にマルクスの腹心に拷問にかけられていた。

ロイはレムをソファに運ぶと、短刀を握りしめマルクスに近寄る。

「ユード様にご迷惑をかけてしまうか」

マルクスに対する憎悪はあるが、流石に一国の王子を手にかける事はできないと
思いとどまった。

マルクスが気を失っているうちに、一刻も早く安全な場所に避難する必要がある。

幸い、シープに傷を癒やされたことで、身体はとても軽い。

ロイはレムを背に背負うと出入り口の扉ではなく、広場がよく見える窓際へと進んでいく。

ロイは敵だらけの建物中を走り回るよりも、このまま窓から脱出し、騒動の中に姿をくらますことにした。

霧で視界は悪いが、ロイは窓から顔を覗かせると、足の置き場になりうる箇所に目星をつける

「きさま、シープをどこに連れて行く」

意識を取り戻したマルクスは、虚虚ろする中ロイの姿はしっかりと捉えた。

頭を抑えながら、逃しはしまいといった様子だ。

「くそ、もう少し寝ててくれよ」

ロイはマルクスの相手をすることはせず、即座に窓から飛び降りた。

ロイは器用にベランダや屋根を飛び移りながら広場へと降りて行く。

「うお、どこから降ってきてんだよ」

広場へと飛び降りたところで、ライズに出会った。

「ちょうど良いところに。あの窓に向けてぶっ放してもらえますか」

ライズは何かいいたそうな表情を浮かべたが、ロイの真剣な雰囲気に言われたとおりに魔法銃を放った。

「これでいいのか」

「ええ、助かりました」

「ところであそこに何があるんだ?」

「知らない方がいいですよ」

「お前、俺になにさせたんだよ」

ライズは、ロイの意味深な発言に、余計なことをさせられたと不安そうな表情を浮かべた、その後ムカついた様子でライズの胸元を掴んで詰め寄った。

「無事に逃げれたら教えます」

ライズはロイをたしなめ手を振り解くと、背中で眠るレムのことを強く支えた。
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