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3章
Part 135『異世界スイーツ』
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この世界はなんとなく、日本と比べてもそれほど異世界という感覚はしない。
確かに街並みや置いているものが特殊ではあるが、店に飾られている看板はひらがなやカタカナ、漢字など日本語が多く取り入れられているし、妖怪達の話す言葉も日本語である。
まるで、何かのアトラクションに入ったのではないかと思うほど、日本文化が多く取り入れられているのだ。
しかし、やはり、食べ物に関して、日本に似ているようでいてどこか違っている。日本とは、違う環境であるせいか、日本ではまず見かけない植物や生き物がちらほらと散見される。
例えば、雪飴と看板の出ている食べ物は、そばで見ていても明らかに不思議な見た目をしている。
店では、ワニの顔をした店員がいる。服装は、女性のものなので、おそらくは女性なのだろうが、中々に迫力のある容姿をしている。身体中は、鱗にびっちりと覆われていて人型である。
リザードマンという伝説の生き物が確かこんな見た目をしていたような気がする。日本発祥ではないはずだが、正直、得体の知れない存在が多すぎて、もう、人間の間で聞く伝説なんて知っていてもいなくても大して変わらないような気すらしてくる。
店内にある横幅二メートルほどのガラスの箱の中には、飴玉ほどの白い粒が浮遊していて、注文を受けた店員は、それを少し大きめの網杓子で数個すくって白い粒に透明の液体を振りかける。そして、それを冷蔵庫の中で冷やしてあった筒状になった紙に入れてプラスチックのスプーンと一緒にお客さんに渡していた。
スプーンで白い粒をすくって頬張るとお客さんは、幸せそうな表情を浮かべていた。
「なんなんでしょう。あれ・・・」
サクヤも興味深そうにその様子を眺めていた。それも当然である。日本ではまず見かける事はない料理である。
「おそらくは、雪飴っていうぐらいだから、甘味なんだろうけど・・・」
「峰さん、買っていきませんか?」
「まあ、俺も気になるんだけどな・・・」
先程の服屋でサクヤに服を買ってあげたかったが、正直に言って日本円が使えると思ってもいなかったので財布には数千円ほどしか入っていなかった。
流石にクレジットはないようなので、購入は断念したのだ。なので、今は相変わらずの白のワンピースである。
正直、日本円が使えるのなら使えるってリューも言っておいてくれれば良いものを・・・
雪飴自体は、五匹、百円という低価格で問題なく購入できる品物ではある。せっかくなので異世界っぽいものを食べたいという興味もある。
「ただ、なんで五個じゃなくて五匹なんだろうって・・・・・・」
書き間違いである事を祈るばかりだが、もしかして、この光の粒は生き物なんだろうか・・・
「・・・・・・いや、何事も挑戦だ。・・・・・・」
俺は意を決してワニ顔の店員に声をかける。店員は、本能的に恐怖を感じる凶悪な笑顔を浮かべて「いらっしゃいませ」と言ってきた。その声は意外に可愛かった。
「雪飴5匹ください。」
「ありがとうございます!」
そう言ってワニ顔の店員は、先ほどと同じような工程で雪飴を作っていく。そして、スプーンを二個付けてくれた。
「一個サービスしておきます。お二人で仲良く食べてくださいね。」
この人いい人だ・・・・・・。凶悪な見た目とか思ってごめんなさい。
「ありがとうございます」とお礼を言って俺は、サクヤの元へと向かう。
紙はひんやりとしていて、とても冷たい。
「では、いただきます。」
躊躇する事なく、サクヤは雪飴を一つスプーンですくうと口へと運ぶ。
そして、うっとりした様子で「美味しいです・・・・・・」と呟く。どうやら、美味しいらしい。
「峰さんも食べてみてください! なんか新感覚です!」
感動したのか俺に感動を伝えようとさらに雪飴をすくって俺に向かって差し出してくくる。
自分で食べれると言おうとしたが(恋人同士ですよ・・・行っちゃいなさい。)と何かが囁いていた気がする。
俺は、確かに今更恥ずかしがってても仕方がないと差し出された雪飴を食べる。
そして、雪飴が舌に触れた瞬間、一瞬で溶けた。そして、優しい甘さが口の中で溢れる。蜂蜜に近い甘さではあるのだが、やはり少し別の甘さだ。甘さ自体はかなり強いはずなのにしつこくない。
アイスのようであるのだが、口に含んだ瞬間に口いっぱいに冷気が広がる感覚がアイスよりも強い。
アイスと言うよりは、溶け方は綿飴に近いだろうか、雪飴自体はすぐになくなってしまう。それが名残惜しくてもう一個食べてしまう。そんな味だ。お腹が膨れる感覚はまるでないので、完全に大金を持っていかれてしまいそうになる一品だった。
サクヤはというともう、すでに3つ食べ終えていた。この子本当に欲望に忠実だよな・・・・・・
「峰さん・・・・・・もう一つ・・・・・・買いませんか・・・?」
「ダメ・・・・・・俺の財布は、無限にお金が出てくるわけじゃないんだ・・・・・・」
これは、悪魔の食べ物だ。俺は、サクヤにそう言って諦めさせた。ちなみに自分の分の雪飴は自分で食べた。今回はちょっとあげたくなかったのである。
確かに街並みや置いているものが特殊ではあるが、店に飾られている看板はひらがなやカタカナ、漢字など日本語が多く取り入れられているし、妖怪達の話す言葉も日本語である。
まるで、何かのアトラクションに入ったのではないかと思うほど、日本文化が多く取り入れられているのだ。
しかし、やはり、食べ物に関して、日本に似ているようでいてどこか違っている。日本とは、違う環境であるせいか、日本ではまず見かけない植物や生き物がちらほらと散見される。
例えば、雪飴と看板の出ている食べ物は、そばで見ていても明らかに不思議な見た目をしている。
店では、ワニの顔をした店員がいる。服装は、女性のものなので、おそらくは女性なのだろうが、中々に迫力のある容姿をしている。身体中は、鱗にびっちりと覆われていて人型である。
リザードマンという伝説の生き物が確かこんな見た目をしていたような気がする。日本発祥ではないはずだが、正直、得体の知れない存在が多すぎて、もう、人間の間で聞く伝説なんて知っていてもいなくても大して変わらないような気すらしてくる。
店内にある横幅二メートルほどのガラスの箱の中には、飴玉ほどの白い粒が浮遊していて、注文を受けた店員は、それを少し大きめの網杓子で数個すくって白い粒に透明の液体を振りかける。そして、それを冷蔵庫の中で冷やしてあった筒状になった紙に入れてプラスチックのスプーンと一緒にお客さんに渡していた。
スプーンで白い粒をすくって頬張るとお客さんは、幸せそうな表情を浮かべていた。
「なんなんでしょう。あれ・・・」
サクヤも興味深そうにその様子を眺めていた。それも当然である。日本ではまず見かける事はない料理である。
「おそらくは、雪飴っていうぐらいだから、甘味なんだろうけど・・・」
「峰さん、買っていきませんか?」
「まあ、俺も気になるんだけどな・・・」
先程の服屋でサクヤに服を買ってあげたかったが、正直に言って日本円が使えると思ってもいなかったので財布には数千円ほどしか入っていなかった。
流石にクレジットはないようなので、購入は断念したのだ。なので、今は相変わらずの白のワンピースである。
正直、日本円が使えるのなら使えるってリューも言っておいてくれれば良いものを・・・
雪飴自体は、五匹、百円という低価格で問題なく購入できる品物ではある。せっかくなので異世界っぽいものを食べたいという興味もある。
「ただ、なんで五個じゃなくて五匹なんだろうって・・・・・・」
書き間違いである事を祈るばかりだが、もしかして、この光の粒は生き物なんだろうか・・・
「・・・・・・いや、何事も挑戦だ。・・・・・・」
俺は意を決してワニ顔の店員に声をかける。店員は、本能的に恐怖を感じる凶悪な笑顔を浮かべて「いらっしゃいませ」と言ってきた。その声は意外に可愛かった。
「雪飴5匹ください。」
「ありがとうございます!」
そう言ってワニ顔の店員は、先ほどと同じような工程で雪飴を作っていく。そして、スプーンを二個付けてくれた。
「一個サービスしておきます。お二人で仲良く食べてくださいね。」
この人いい人だ・・・・・・。凶悪な見た目とか思ってごめんなさい。
「ありがとうございます」とお礼を言って俺は、サクヤの元へと向かう。
紙はひんやりとしていて、とても冷たい。
「では、いただきます。」
躊躇する事なく、サクヤは雪飴を一つスプーンですくうと口へと運ぶ。
そして、うっとりした様子で「美味しいです・・・・・・」と呟く。どうやら、美味しいらしい。
「峰さんも食べてみてください! なんか新感覚です!」
感動したのか俺に感動を伝えようとさらに雪飴をすくって俺に向かって差し出してくくる。
自分で食べれると言おうとしたが(恋人同士ですよ・・・行っちゃいなさい。)と何かが囁いていた気がする。
俺は、確かに今更恥ずかしがってても仕方がないと差し出された雪飴を食べる。
そして、雪飴が舌に触れた瞬間、一瞬で溶けた。そして、優しい甘さが口の中で溢れる。蜂蜜に近い甘さではあるのだが、やはり少し別の甘さだ。甘さ自体はかなり強いはずなのにしつこくない。
アイスのようであるのだが、口に含んだ瞬間に口いっぱいに冷気が広がる感覚がアイスよりも強い。
アイスと言うよりは、溶け方は綿飴に近いだろうか、雪飴自体はすぐになくなってしまう。それが名残惜しくてもう一個食べてしまう。そんな味だ。お腹が膨れる感覚はまるでないので、完全に大金を持っていかれてしまいそうになる一品だった。
サクヤはというともう、すでに3つ食べ終えていた。この子本当に欲望に忠実だよな・・・・・・
「峰さん・・・・・・もう一つ・・・・・・買いませんか・・・?」
「ダメ・・・・・・俺の財布は、無限にお金が出てくるわけじゃないんだ・・・・・・」
これは、悪魔の食べ物だ。俺は、サクヤにそう言って諦めさせた。ちなみに自分の分の雪飴は自分で食べた。今回はちょっとあげたくなかったのである。
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