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4章
Part 306『強がりでも前に進め』
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「この出来で全然ダメって、どういう事ですか! 完成度は、今までの中で最高の出来ですよ。これ以上のものを作れって言われても作れないですよ。」
「そこに関しては俺も異論はねぇよ。良い出来だ。正直、想像以上のもんが出来てる。芸術品としてなら最高級の出来だ。」
「だったら!」
「だが、呪術の効果が強すぎだ。これじゃ妖精に持たせても記憶なんてほとんど残らねぇ。」
そう言われて自分の作品に目を向けた。呪術によって清浄石の効力を抑え、清浄石の硬度あげる呪いをかけた指輪だ。
「呪いのかけすぎ・・・・・・?」
このタイミングで調整のミスが出てしまったらしい。俺は清浄石の効力をほとんど奪い取ってしまったようだった。
自分の中で最高の出来だっただけに悔しさで自然と拳に力がこもってしまう。
完成したと思った。なのに出来上がったものは・・・・・・・。
「呪いは割と作るときの感情に左右されるからな。妖怪にとって毒になる清浄石で無意識に不安になったんだろうな。まあ、これだけのもんが作れたら大丈夫だ。後は呪いを調整すれば完璧だからな。」
篝さんは、俺に指輪を渡すと肩を叩いて慰めてくれる。
「・・・・・・はい。」
握りしめた指輪は、笑えるほど硬かった。泣きたい気分だ。
「ちょっと、風にあたってきます。」と篝さんに伝えて俺は家に出た。
いや、本当は今にも泣き出してしまいそうだった。自分の全力以上の実力で取り組めた自負も一つ一つ丁寧に仕上げてきた確信もある。けれど、奇跡は思うようにいかない。
分かっている。一度や二度で完成させられるなら、もう完成している。トライアンドエラーを今までだって繰り返してきた。
「けど・・・・・・やっぱりしんどいな・・・・・・」
「・・・・・・・日向さん」
俺の方を心配そうに見つめるサクヤに罪悪感と恥ずかしさを感じながら笑顔を向ける。
「いけると思ったんだけどな。・・・・・・でも、篝さんも呪術の調整さえ出来ればって言ってるしさ・・・・・・大丈夫。」
「はい。・・・・・・日向さんなら必ず完成させれるって信じてます。」
「任せとけって。必ずこれよりも良いものを作ってやるからさ。」
しかし、そう呟いても手元にある指輪を見るたびに不安が溢れてくる。自分の全力をぶつけても得られなった成果を俺はあげられるのだろうか。
いや、弱気になってどうするんだ。完成させなければいけないんだ。
俺は弱気になる心を振り払うように屋敷の隅に指輪を埋めることにした。本当は森に投げ捨てたいところだが、一応は、妖怪に対して毒になる清浄石をその辺に投げ捨てるわけにはいかない。
けれど、目にも今は入れたくなかった。いつまでも未練がましくいる訳にはいかない。
もしかしたら、失敗作を森に投げ捨てた篝さんも俺と同じだったのかもしれない。
「・・・・・・良いんですか?」
「ああ。これからもっと良いのを作れば良いんだよ。」
俺はそんな強がりを自分に言い聞かせるように呟いた。
「そこに関しては俺も異論はねぇよ。良い出来だ。正直、想像以上のもんが出来てる。芸術品としてなら最高級の出来だ。」
「だったら!」
「だが、呪術の効果が強すぎだ。これじゃ妖精に持たせても記憶なんてほとんど残らねぇ。」
そう言われて自分の作品に目を向けた。呪術によって清浄石の効力を抑え、清浄石の硬度あげる呪いをかけた指輪だ。
「呪いのかけすぎ・・・・・・?」
このタイミングで調整のミスが出てしまったらしい。俺は清浄石の効力をほとんど奪い取ってしまったようだった。
自分の中で最高の出来だっただけに悔しさで自然と拳に力がこもってしまう。
完成したと思った。なのに出来上がったものは・・・・・・・。
「呪いは割と作るときの感情に左右されるからな。妖怪にとって毒になる清浄石で無意識に不安になったんだろうな。まあ、これだけのもんが作れたら大丈夫だ。後は呪いを調整すれば完璧だからな。」
篝さんは、俺に指輪を渡すと肩を叩いて慰めてくれる。
「・・・・・・はい。」
握りしめた指輪は、笑えるほど硬かった。泣きたい気分だ。
「ちょっと、風にあたってきます。」と篝さんに伝えて俺は家に出た。
いや、本当は今にも泣き出してしまいそうだった。自分の全力以上の実力で取り組めた自負も一つ一つ丁寧に仕上げてきた確信もある。けれど、奇跡は思うようにいかない。
分かっている。一度や二度で完成させられるなら、もう完成している。トライアンドエラーを今までだって繰り返してきた。
「けど・・・・・・やっぱりしんどいな・・・・・・」
「・・・・・・・日向さん」
俺の方を心配そうに見つめるサクヤに罪悪感と恥ずかしさを感じながら笑顔を向ける。
「いけると思ったんだけどな。・・・・・・でも、篝さんも呪術の調整さえ出来ればって言ってるしさ・・・・・・大丈夫。」
「はい。・・・・・・日向さんなら必ず完成させれるって信じてます。」
「任せとけって。必ずこれよりも良いものを作ってやるからさ。」
しかし、そう呟いても手元にある指輪を見るたびに不安が溢れてくる。自分の全力をぶつけても得られなった成果を俺はあげられるのだろうか。
いや、弱気になってどうするんだ。完成させなければいけないんだ。
俺は弱気になる心を振り払うように屋敷の隅に指輪を埋めることにした。本当は森に投げ捨てたいところだが、一応は、妖怪に対して毒になる清浄石をその辺に投げ捨てるわけにはいかない。
けれど、目にも今は入れたくなかった。いつまでも未練がましくいる訳にはいかない。
もしかしたら、失敗作を森に投げ捨てた篝さんも俺と同じだったのかもしれない。
「・・・・・・良いんですか?」
「ああ。これからもっと良いのを作れば良いんだよ。」
俺はそんな強がりを自分に言い聞かせるように呟いた。
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