咲かない桜

御伽 白

文字の大きさ
6 / 352
序章

Part 6 『非日常の始まり』

しおりを挟む
 俺の家は、先ほどいた山の近くにある住宅街の一つの家で父親と母親、そして妹の4人で暮らしている。父は、遅くまで働いていたり、夜勤が多かったりと顔を合わせる機会がそんなにない。しかし、母親が専業主婦なので基本的に家にいるので子供の頃から寂しいとは思ったことはない。

 妹の春香は、高校生で絶賛反抗期だ。そのせいか、最近、俺への態度が嫌に冷たい。何か気に触ることでもしたのかと思ったが、一切心当たりがない。そう言う時期もあるよなと思って適当に流すことにしている。

 家に帰ると春香に泥だらけになった上着を着ているのが見つかって「うわ、汚い。近寄らないで! 魂が汚れる!」とお風呂に入るように言われ風呂に入る事にした。

 いや、春香。言い過ぎだろ・・・。まあ、魂が汚れるとまで言われては入らないわけにはいかない。泥だらけになった上着とついでに来ている服を全部まとめて入れて洗濯機を回す。

 風呂はもう家族の誰かが沸かしてくれていたので、シャワーで適当に体を洗って風呂に入る。

 一体いつからあの子はあんなに辛辣になったんだろうか、今、高校2年生だから気難しい時期なのだろうか・・・

 「昔は、俺の後ろをくっついて来て可愛かったのに・・・急に口が悪く・・・」

 「お兄ちゃん、なに、気持ち悪いこと言ってんの・・・ていうか、そんな時なんてないし」

脱衣所の方から春香の声が聞こえる。声に出してたらしい。

 「一応、お母さんが、服持って入ってないだろうから持ってけって言ってたから持ってきた。」

 「ああ、ありがとな。」

 家に帰って来てそのまま風呂に入ったので確かに着替えがなかった。

 「ていうか、一人でブツブツ喋るのやめた方がいいよ。気持ち悪いから」

 「お前、本当に口悪いなぁ・・・俺だからいいけど他の子にそんなこと言ってたら友達なくすぞー」

 「うっさいし、ていうか、外でそんなこと言わないし」

 「まあ、そりゃあ、そうか。」

 妹は基本的に外に出た時は、別人のように変貌するのだ。猫になってるのではと思うほどに猫をかぶる。学校でもそうらしいので、素を出せる場所は必要なのだろう。そう思えば、毒舌も多少は納得できなくもない。

 「置いとくから、さっさと上がってよね。私まだお風呂入ってないんだから」

 「分かった。ありがとな。」

 春香が脱衣所から出ていくのを物音で確認しながら風呂を上がる。

 「さて、さっさと上がりますかね・・・あ」

 どうやら、独り言を言う癖はなかなか根が深いものらしい。まあ、前々から知っていたけれど・・・

 

 風呂から上がり、適当に携帯をいじっていると柏木さんがLINEに友達申請が来ていた。女子から友達申請されるのってなんだか嬉しいものがある。勿論、友人関係ではあるが、それでも心躍るものだ。

申請を承認して「よろしくお願いします」とメッセージを送った。すると、すぐに返信が来て「お陰で無事に家に帰れた。ありがと」と返信がきた。

 良かった。流石に家の近くでは迷子にはならないか・・・

 あのレベルの迷子を放置しておくのは、不安すぎるのでかなり心配していたのだが無事で良かった。

 今回の一件で柏木さんとは少し仲良くなった。そう思えば、2時間も気絶していたかいもあるというものだ。いや、木にぶつかったのは完全に自業自得ではあるのだが・・・

 身体中の痛みはある程度、引いていたのだが相変わらず頭痛が引かない。重い病気ではないよな。

 こういうのはさっさと寝てしまった方がいいのかもしれない。

 食事を軽く済ませて、すぐに自室に帰り眠ることにする。大体の不調は、眠ってしまえばなんとかなるのだ。

 もし、それでも治らない場合は、病院に行こうと思いベッドで眠りについた。かなり激しい運動をしたこともあってか、すぐに睡魔がやってきて、意識を奪い去っていく。

 

 目を覚ますと頭の痛みも体の痛みも引いていた。一部は青痣になっていて触ると鈍い痛みが走るが、それ以外は、元の健康な状態に戻っていた。

 体を起こして体を伸ばす。意識がクリアになってくるのを感じて、ベッドから起き上がり、カーテンを開ける。屋根の上には黒い猫がいた。猫はこちらを向いて眠そうに欠伸をしていた。

 「・・・・・・は?」

 猫を見ると俺は目を疑った。猫の体の下半身が骨だけだったのだ。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら

瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。  タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。  しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。  剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。

視える僕らのシェアハウス

橘しづき
ホラー
 安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。    電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。    ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。 『月乃庭 管理人 竜崎奏多』      不思議なルームシェアが、始まる。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ヤクザに医官はおりません

ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした 会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。 シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。 無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。 反社会組織の集まりか! ヤ◯ザに見初められたら逃げられない? 勘違いから始まる異文化交流のお話です。 ※もちろんフィクションです。 小説家になろう、カクヨムに投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...