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序章
Part 16 『怒る少女は捕まえる』
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おかしい。非常におかしい。
俺は、お弁当を持って山を登っていた。そして、もうすぐ、サクヤの元へたどり着けるそのはずだった。それなのに・・・
「・・・・・・」
小さな少女に拘束され、睨みつけられていた。
拘束されている方法というのがなんとも特殊で、蔦が手足に絡みついていて歩くこともままならない。おそらく彼女も妖怪や妖精の類なのだろう。
小さな少女は、見た目は、小学生ほどだろうか、身長も小さく、拘束され地面に膝をついている状態でも目線の高さがほぼ一緒だ。
しかし、どうして、俺は拘束されているのだろうか。サクヤの話では、妖怪たちは基本的に人間に対して好意的のはずだ。
「あんた・・・私にいうことないの?」
先程まで沈黙していた少女が口を開いた。その声音はどこか刺々しい。
「言うことって・・・君と俺は初対面だよね?」
「ああ、そう。素直に謝るなら私も許してあげようと思ったけど、いいわ。そういう態度をとるのなら、私にも考えがあるわ。」
ぎゅっと蔦に加わる力が強くなる。締め付けられている手足に鈍い痛みを感じる。
この辺りも人気もないので、誰かが通りかかるという期待はできそうもない。
だとするなら、するべきは、戦いではなく対話だ。正直、あのピンクの髪の子のように特別強い身体能力を発揮されたら、おそらく、まともにやりあっても勝ち目がない。
「・・・まずは、話をしないか?」
俺は、彼女に対話を要求してみる。彼女は「話?」と明らかにイライラした様子である。
「なんで、私があんたと話をしなきゃ行けないのよ。」
「俺は、君がどうして怒ってるのか分からない。」
「そう、あれだけのことをしておいて覚えてないって人間の頭は、随分と抜けているのね。」
「・・・・・・そこまで、言われるほど何かした記憶が本当にないんだが・・・」
「ふん」と少女はそっぽを向いてしまう。
「理由がわからないと謝れないよ。君も意味もわからず表面上だけで謝られても腹が立つんじゃないのか?」
「当たり前じゃない。締め上げるわ。」
「だったら、教えてくれないか? 俺達は会話ができるんだから」
「あんた本当に記憶がないの? わかった。わかったわよ。ヒント。ここをあんたは覚えていないかしら?」
少女は、ため息を吐いて渋々と言った風にヒントを出してくれる。
この場所に何かあっただろうか。そういえば、気絶したのがこの辺りだった。
「気絶した場所だな。」
「なんで、それを覚えていてわからないの? あんたその時に何かにぶつからなかった?」
「ああ、木にぶつかった・・・・・・あ、もしかして」
そう言って俺は気づく彼女は、もしかして、あの時ぶつかった・・・
「気づくのが遅いのが心底腹立たしいけど、そうよ。」
「あーそれは・・・俺が悪いな。」
完全に否定のしようもないほど俺が悪かった。だが、言い訳をさせてもらうなら木ではなく妖精の状態で来られても分かるはずもないと思うのだが・・・
「そうよ。あんたが悪いのよ。やっと、もうすぐ花を咲かせられるようになるに・・・」
「悪かった。あの時は慌てて前を見てなかった。」
「分かれば良いのよ。分かれば! なによ。あんた話がわかるじゃない。忘れて時は、ふざけるなって思ったけど・・・。あのまま、謝らなきゃそのまま養分にしてやろうかと思ったわ!」
「ほんとにすまんかった。」
想像を絶する恐ろしさだった。木の養分にされるって考えるだけで恐ろしい。
「はぁ、あんたがくるのをずっと待ってた私のエネルギー返しなさいよね・・・。」
「もしかして、俺がくるの待ってたのか?」
「そうよ。絶対に謝らせてやろうと思ってね。力使ったら眠たくなってきたわ。」
それは、悪いことした。何かお詫びになりそうなもの・・・そう考えているとお弁当を見つける。
俺の分がなくなるけど、まあ、いいか・・・
サクヤに持ってきた分とおにぎりを握って持ってきていたのだ。俺は袋からおにぎりを取り出して彼女に差し出す。
「あのさ。せめてものお詫びに、これ」
「ん? 何それ」
「おにぎりだよ。食べ物」
「食べ物ってなに?」
「ああ、そこからか・・・」
「はぁ? 締め上げるわよ?」
「別にばかにしたわけじゃないから・・・」
俺は、彼女におにぎりについてレクチャーをした。少女は、その話を興味深そうに聞いていた。
そして、数分後・・・
「なにこれ!? 人間って毎日こんなの食べてるの! すごい! 人間すごいわ!」
大絶賛だった。ていうか、どハマりだった。
「気に入ってくれたなら何よりだ。ぶつかったお詫びぐらいにはなったかな・・・」
「大満足よ! ていうか、もう、毎日ぶつかりにきなさい!」
「流石に木が折れるだろう。」
というか俺の身がもたない。
彼女と別れる頃には「じゃあねー日向! また持ってきなさいよー!」と見送られる程度に懐かれていた。すげぇなおにぎり・・・
俺は、お弁当を持って山を登っていた。そして、もうすぐ、サクヤの元へたどり着けるそのはずだった。それなのに・・・
「・・・・・・」
小さな少女に拘束され、睨みつけられていた。
拘束されている方法というのがなんとも特殊で、蔦が手足に絡みついていて歩くこともままならない。おそらく彼女も妖怪や妖精の類なのだろう。
小さな少女は、見た目は、小学生ほどだろうか、身長も小さく、拘束され地面に膝をついている状態でも目線の高さがほぼ一緒だ。
しかし、どうして、俺は拘束されているのだろうか。サクヤの話では、妖怪たちは基本的に人間に対して好意的のはずだ。
「あんた・・・私にいうことないの?」
先程まで沈黙していた少女が口を開いた。その声音はどこか刺々しい。
「言うことって・・・君と俺は初対面だよね?」
「ああ、そう。素直に謝るなら私も許してあげようと思ったけど、いいわ。そういう態度をとるのなら、私にも考えがあるわ。」
ぎゅっと蔦に加わる力が強くなる。締め付けられている手足に鈍い痛みを感じる。
この辺りも人気もないので、誰かが通りかかるという期待はできそうもない。
だとするなら、するべきは、戦いではなく対話だ。正直、あのピンクの髪の子のように特別強い身体能力を発揮されたら、おそらく、まともにやりあっても勝ち目がない。
「・・・まずは、話をしないか?」
俺は、彼女に対話を要求してみる。彼女は「話?」と明らかにイライラした様子である。
「なんで、私があんたと話をしなきゃ行けないのよ。」
「俺は、君がどうして怒ってるのか分からない。」
「そう、あれだけのことをしておいて覚えてないって人間の頭は、随分と抜けているのね。」
「・・・・・・そこまで、言われるほど何かした記憶が本当にないんだが・・・」
「ふん」と少女はそっぽを向いてしまう。
「理由がわからないと謝れないよ。君も意味もわからず表面上だけで謝られても腹が立つんじゃないのか?」
「当たり前じゃない。締め上げるわ。」
「だったら、教えてくれないか? 俺達は会話ができるんだから」
「あんた本当に記憶がないの? わかった。わかったわよ。ヒント。ここをあんたは覚えていないかしら?」
少女は、ため息を吐いて渋々と言った風にヒントを出してくれる。
この場所に何かあっただろうか。そういえば、気絶したのがこの辺りだった。
「気絶した場所だな。」
「なんで、それを覚えていてわからないの? あんたその時に何かにぶつからなかった?」
「ああ、木にぶつかった・・・・・・あ、もしかして」
そう言って俺は気づく彼女は、もしかして、あの時ぶつかった・・・
「気づくのが遅いのが心底腹立たしいけど、そうよ。」
「あーそれは・・・俺が悪いな。」
完全に否定のしようもないほど俺が悪かった。だが、言い訳をさせてもらうなら木ではなく妖精の状態で来られても分かるはずもないと思うのだが・・・
「そうよ。あんたが悪いのよ。やっと、もうすぐ花を咲かせられるようになるに・・・」
「悪かった。あの時は慌てて前を見てなかった。」
「分かれば良いのよ。分かれば! なによ。あんた話がわかるじゃない。忘れて時は、ふざけるなって思ったけど・・・。あのまま、謝らなきゃそのまま養分にしてやろうかと思ったわ!」
「ほんとにすまんかった。」
想像を絶する恐ろしさだった。木の養分にされるって考えるだけで恐ろしい。
「はぁ、あんたがくるのをずっと待ってた私のエネルギー返しなさいよね・・・。」
「もしかして、俺がくるの待ってたのか?」
「そうよ。絶対に謝らせてやろうと思ってね。力使ったら眠たくなってきたわ。」
それは、悪いことした。何かお詫びになりそうなもの・・・そう考えているとお弁当を見つける。
俺の分がなくなるけど、まあ、いいか・・・
サクヤに持ってきた分とおにぎりを握って持ってきていたのだ。俺は袋からおにぎりを取り出して彼女に差し出す。
「あのさ。せめてものお詫びに、これ」
「ん? 何それ」
「おにぎりだよ。食べ物」
「食べ物ってなに?」
「ああ、そこからか・・・」
「はぁ? 締め上げるわよ?」
「別にばかにしたわけじゃないから・・・」
俺は、彼女におにぎりについてレクチャーをした。少女は、その話を興味深そうに聞いていた。
そして、数分後・・・
「なにこれ!? 人間って毎日こんなの食べてるの! すごい! 人間すごいわ!」
大絶賛だった。ていうか、どハマりだった。
「気に入ってくれたなら何よりだ。ぶつかったお詫びぐらいにはなったかな・・・」
「大満足よ! ていうか、もう、毎日ぶつかりにきなさい!」
「流石に木が折れるだろう。」
というか俺の身がもたない。
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