24 / 352
1章
Part 24 『工房へ』
しおりを挟む
「おきてくださいっす! 朝っすよ!」
コンの声が聞こえる。まだ眠たい・・・しかし、起きないわけにはいかない。
「日向さん! 起きてこないと師匠に怒られるっす!」
コンの声が頭に響く。「わかった。」と体を起こし瞼を開けると目の前にコンが立っていた。その頭には狐の耳が付いている。そして、後ろには毛並みの良さそうなふさふさの尻尾も生えている。
「ん? どうしたっすか?」
「コンって狐だったのか・・・ああ、だからコンなのか・・・」
「そうっすよ。あれ? 言ってませんでしたっけ?」
「きいてないよ。」
「師匠にもお前が女だったら最高の耳と尻尾なんだがなっていわれてるっすよ。」
「そ、そうなのか。」
見境ないな・・・あの人。
「とりあえず、行くっすよー」
コンに引っ張られるまま、俺は食事を済ませてた。ウチガネさんはとっくに食事を済ませていたようで、真冬さんしかいなかった。
「おはようございます。日向さん。よく眠れましたか?」
「ええ、もう、ぐっすりでした。コンに起こされなかったら昼まで寝てたかも・・・」
「さすがに怒られるどころじゃないっすよ。トンカチで殴られますよ?」
「そうねぇ、ウチガネさん、生活習慣のだらしないかた嫌いですから」
「・・・・・・明日は気をつけます。」
あの丸太みたいな腕で殴られたら死んでしまうかもしれない。これは是が非でも生活習慣を改めるしかない。
「今日は、長丁場ですし、いっぱい食べて頑張ってくださいね。」
真冬さんの作ってくれた朝食を食べる。味噌汁から何から自分ではここまでのものに仕上げるのは無理だろうなと思うほどでゆっくりと味わって食べたかったが、コンが隣で急いで食べているの見てゆっくり食べるわけにはいかなかった。
手早く食事をすませ、俺達は家の外にあるウチガネさんの工房に向かった。
入り口に立った瞬間から熱気が体を纏わりつく。開けっ放しなはずなのにサウナのような温度だ。
「暑いな・・・」
「暑いっすよ。中はもっと熱いんで気をつけてくださいっす。」
中に入るとウチガネさんが鉄の棒のようなものに石を積み上げていた。鉄の棒は、先端がオールのように平べったくなっていて、積み上げられた石は隙間なく積み上げられている。
「遅いぞ。お前ら!」
「すいませんっす!」
ウチガネが昨日までとは明らかに雰囲気が違う。ケモミミがなんだと騒いでいたのに今は、真剣そのものだ。ピリピリとした緊張感が伝わってくる。
本当に自分がここに居ていいのかと思うほどだ。
「まあ、お前らの手伝いはまだいらねぇからそこで待ってな。」
「了解っす!」
入り口で呆然としている俺に気を使ってか、ウチガネさんがそんなことを言ってくる。
コンが俺のそばに寄ってくる。「軽く説明するっすよ。」と言ってくれる。
正直、何をしているのか分からない。その間にウチガネさんは、積み上げた石を紙にくるんで、熱された炉の中に突っ込んでいる。
「今の師匠は、積み沸かしをしてるっす。本当は、良い鉄を選別する水へしと小割って作業があるんっすけどね。」
「積み沸かしねぇ・・・全然、わからない。」
「説明すると長くなるんすけど、ざっくり言うに刀を作るのに適切な鋼を集めて固めてるんっすよ。」
「はぁ、なるほど・・・」
二割もよくわかってない。その後も日本刀には、皮鉄と心鉄の二種類を使って心鉄を皮鉄に包んで作るとか言われたが理解が追いつかなかった。
なんで包むんだ? 刀だよな? いまいち、よくわからん。
「そんで、俺はなんの作業をするんだ? 金槌で叩くのか?」
「いや、多分、初心者に叩かせるのは無理なんで、材料の用意とかっすね。炭とか、あとは師匠への飲み水とか」
「ふーん・・・」
正直、俺がいるのかと思ったが、これも経験だと思うことにする。実際、ちょっとでも手伝わないとご飯も寝る場所も用意してもらってる身としては肩身がせまい。
しばらく、待っているとウチガネは、真っ赤になった鉄の棒を炉から取り出して軽く叩き始める。金属のぶつかる綺麗な音が部屋中に響く、そしてすぐに炭を鉄にくっつけ泥のようなものをかけて再び炉に入れる。
そして、炉の横にある四角い箱から伸びた木の棒を出したり引いたりをしている。それに反応するように火の勢いが強くなっているので、おそらく、あの四角い箱から空気を送っているのだろう。
温度はかなりのもので、もう、春だというのに汗だくになっていた。
そして、何度も、その動作を繰り返していると、いつのまにか、小さな鉄の塊の山だったはずが、一つの塊の鉄に変わっている。
「鍛錬するぞ。しっかり、覚えろよ。コン」
「はいっす!」
長い、とんでもなく長い、そして、とても速い、1日が始まった。
コンの声が聞こえる。まだ眠たい・・・しかし、起きないわけにはいかない。
「日向さん! 起きてこないと師匠に怒られるっす!」
コンの声が頭に響く。「わかった。」と体を起こし瞼を開けると目の前にコンが立っていた。その頭には狐の耳が付いている。そして、後ろには毛並みの良さそうなふさふさの尻尾も生えている。
「ん? どうしたっすか?」
「コンって狐だったのか・・・ああ、だからコンなのか・・・」
「そうっすよ。あれ? 言ってませんでしたっけ?」
「きいてないよ。」
「師匠にもお前が女だったら最高の耳と尻尾なんだがなっていわれてるっすよ。」
「そ、そうなのか。」
見境ないな・・・あの人。
「とりあえず、行くっすよー」
コンに引っ張られるまま、俺は食事を済ませてた。ウチガネさんはとっくに食事を済ませていたようで、真冬さんしかいなかった。
「おはようございます。日向さん。よく眠れましたか?」
「ええ、もう、ぐっすりでした。コンに起こされなかったら昼まで寝てたかも・・・」
「さすがに怒られるどころじゃないっすよ。トンカチで殴られますよ?」
「そうねぇ、ウチガネさん、生活習慣のだらしないかた嫌いですから」
「・・・・・・明日は気をつけます。」
あの丸太みたいな腕で殴られたら死んでしまうかもしれない。これは是が非でも生活習慣を改めるしかない。
「今日は、長丁場ですし、いっぱい食べて頑張ってくださいね。」
真冬さんの作ってくれた朝食を食べる。味噌汁から何から自分ではここまでのものに仕上げるのは無理だろうなと思うほどでゆっくりと味わって食べたかったが、コンが隣で急いで食べているの見てゆっくり食べるわけにはいかなかった。
手早く食事をすませ、俺達は家の外にあるウチガネさんの工房に向かった。
入り口に立った瞬間から熱気が体を纏わりつく。開けっ放しなはずなのにサウナのような温度だ。
「暑いな・・・」
「暑いっすよ。中はもっと熱いんで気をつけてくださいっす。」
中に入るとウチガネさんが鉄の棒のようなものに石を積み上げていた。鉄の棒は、先端がオールのように平べったくなっていて、積み上げられた石は隙間なく積み上げられている。
「遅いぞ。お前ら!」
「すいませんっす!」
ウチガネが昨日までとは明らかに雰囲気が違う。ケモミミがなんだと騒いでいたのに今は、真剣そのものだ。ピリピリとした緊張感が伝わってくる。
本当に自分がここに居ていいのかと思うほどだ。
「まあ、お前らの手伝いはまだいらねぇからそこで待ってな。」
「了解っす!」
入り口で呆然としている俺に気を使ってか、ウチガネさんがそんなことを言ってくる。
コンが俺のそばに寄ってくる。「軽く説明するっすよ。」と言ってくれる。
正直、何をしているのか分からない。その間にウチガネさんは、積み上げた石を紙にくるんで、熱された炉の中に突っ込んでいる。
「今の師匠は、積み沸かしをしてるっす。本当は、良い鉄を選別する水へしと小割って作業があるんっすけどね。」
「積み沸かしねぇ・・・全然、わからない。」
「説明すると長くなるんすけど、ざっくり言うに刀を作るのに適切な鋼を集めて固めてるんっすよ。」
「はぁ、なるほど・・・」
二割もよくわかってない。その後も日本刀には、皮鉄と心鉄の二種類を使って心鉄を皮鉄に包んで作るとか言われたが理解が追いつかなかった。
なんで包むんだ? 刀だよな? いまいち、よくわからん。
「そんで、俺はなんの作業をするんだ? 金槌で叩くのか?」
「いや、多分、初心者に叩かせるのは無理なんで、材料の用意とかっすね。炭とか、あとは師匠への飲み水とか」
「ふーん・・・」
正直、俺がいるのかと思ったが、これも経験だと思うことにする。実際、ちょっとでも手伝わないとご飯も寝る場所も用意してもらってる身としては肩身がせまい。
しばらく、待っているとウチガネは、真っ赤になった鉄の棒を炉から取り出して軽く叩き始める。金属のぶつかる綺麗な音が部屋中に響く、そしてすぐに炭を鉄にくっつけ泥のようなものをかけて再び炉に入れる。
そして、炉の横にある四角い箱から伸びた木の棒を出したり引いたりをしている。それに反応するように火の勢いが強くなっているので、おそらく、あの四角い箱から空気を送っているのだろう。
温度はかなりのもので、もう、春だというのに汗だくになっていた。
そして、何度も、その動作を繰り返していると、いつのまにか、小さな鉄の塊の山だったはずが、一つの塊の鉄に変わっている。
「鍛錬するぞ。しっかり、覚えろよ。コン」
「はいっす!」
長い、とんでもなく長い、そして、とても速い、1日が始まった。
0
あなたにおすすめの小説
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる