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2章
Part 47 『咲くことの意味』
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今のところクロ達もこの辺りの情報を収集することはほとんどしていないらしい。
確かにクロはお世辞にも戦闘力がありそうな雰囲気ではないし、クロが言う通り間違いなく化物なのだろう。
「じゃあ、魔女の事は知らないのか・・・」
「魔女・・・? 魔女を探してるんですか? 旦那・・・」
「ああ、リュー以外の魔女がこの辺りで出るらしいんだけど、何か知ってたりする?」
「ちらりと噂を聞いた事はありますわ。記憶を奪う魔女が出るいう話ですやろ。噂を調べる前にバケモノの相手の方が優先で調べっとったからあんまり情報がないんよな。力になれそうにないわ。すまんなぁ」
「いや、良いって・・・自分で探すし・・・」
確かに少し残念ではあるが、うまくいかない事もあって当然なのだ。それに今回の一件に関しては期限も決められていないので探し歩いていけば良いのだ。
手間は増えてしまうので難しい依頼になってしまったのだが・・・
「一応、仲間達になんか知ってるかどうか聞いてみますわ。それじゃあ、そろそろ、お二人もお気をつけて、バケモノに出会ったらすぐに逃げるんやで、動きはそれほど速くないさかい。」
「ああ、ありがとう。そっちも気をつけてな。」
クロに別れを告げて俺達は、再び商店街に戻った。商店街はポツポツと人がいるがやはり妖怪の姿はなかった。
「どうしましょうか・・・」
「自分で探すしかなさそうだな。ところでサクヤはどうするんだ?」
「はい? 何がですか?」
何のことですか? という様なとぼけた反応をするので額にデコピンをしてやる。
「痛いですよ・・・何するんですか?」
「話聞いてたよな? 化物が出るって話」
しかも、その化物は妖怪を襲うというのだ。普通なら怯えたり何らかのリアクションをするところだ。捜索を中断するなど色々できる対処もあるだろうにそれをしようという気配もない。
正直、サクヤの反応は危機感がない様に思えて仕方なかった。
「聞いてましたよ。けれど、お仕事優先です。それに今回、活躍しないとどうやっても釣り合いが取れないじゃないですか。多少、危険でもなんとかします。」
「正直、危険ならやめといた方がいいと思うんだけどな・・・それこそ、自然消滅するのを待つとか・・・」
「いえ、それだと次の開花まで間に合いません。出来るなら冬の間には、全ての依頼を終わらせたいんです。」
そう言われて俺は彼女の目的を少し頭から抜けていた事に気づいた。彼女は、あの大きな桜を咲かせるためにここにいるのだ。頭では分かっていたが、彼女の願いがどれだけ重要なのかについては一切考えてこなかった。
「なぁ、そう言えば、どうしてそうまでして、花を咲かせたいなんて思うんだ?」
俺の質問にサクヤは、目を丸くした。そんな質問をされるとは思っていなかったのだろうか。彼女は、少し考えながら俺にこう言った。
「咲かない桜に意味なんてありますか?」
その言葉はとても冷たい響きで俺の耳に届いた。
「私は、妖精です。もっと言えば、桜の木です。私達は、花を咲かせる事自体が生きる意味です。」
本来ならば、桜の花を咲かせて種を増やす事が彼女の目的だ。それは分かってはいたが生きる意味とまでいうのかと正直驚いた。
「一年、そのためだけに魔力をため、開花のその瞬間に今まで貯めてきたものを全て放出する。それは、私達、花を咲かせる精霊の全てです。それを繰り返して私達は、過ごしています。ですが・・・」
彼女には、それが出来ない。咲かない様に呪いをかけられてしまったのだ。
「勿論、最悪の場合は、一年でも二年でも待てます。けれど、多少の危険を犯したとしても私は、咲きたいんです。ただ、生きているだけのものにはなりたくないんです。」
その言葉にウチガネさんの姿が思い出される。生きるという事に真摯に向き合って最後の最後まで自分の夢を追求した男だ。
彼女にとっては、全てをかけるにたる何かが咲くという事なのだろう。だったら、俺がそれを止めることは出来ない。彼女の願いを俺が邪魔するわけにはいかない。
「分かった。一緒に探そう。けど、絶対に危ないと思ったらすぐに逃げるんだぞ」
「はい! よろしくお願いします!」
俺達は、そうして目的を確認して捜索を続けたのだった。しかし、結果は何も収穫がなくその日は終わってしまった。
確かにクロはお世辞にも戦闘力がありそうな雰囲気ではないし、クロが言う通り間違いなく化物なのだろう。
「じゃあ、魔女の事は知らないのか・・・」
「魔女・・・? 魔女を探してるんですか? 旦那・・・」
「ああ、リュー以外の魔女がこの辺りで出るらしいんだけど、何か知ってたりする?」
「ちらりと噂を聞いた事はありますわ。記憶を奪う魔女が出るいう話ですやろ。噂を調べる前にバケモノの相手の方が優先で調べっとったからあんまり情報がないんよな。力になれそうにないわ。すまんなぁ」
「いや、良いって・・・自分で探すし・・・」
確かに少し残念ではあるが、うまくいかない事もあって当然なのだ。それに今回の一件に関しては期限も決められていないので探し歩いていけば良いのだ。
手間は増えてしまうので難しい依頼になってしまったのだが・・・
「一応、仲間達になんか知ってるかどうか聞いてみますわ。それじゃあ、そろそろ、お二人もお気をつけて、バケモノに出会ったらすぐに逃げるんやで、動きはそれほど速くないさかい。」
「ああ、ありがとう。そっちも気をつけてな。」
クロに別れを告げて俺達は、再び商店街に戻った。商店街はポツポツと人がいるがやはり妖怪の姿はなかった。
「どうしましょうか・・・」
「自分で探すしかなさそうだな。ところでサクヤはどうするんだ?」
「はい? 何がですか?」
何のことですか? という様なとぼけた反応をするので額にデコピンをしてやる。
「痛いですよ・・・何するんですか?」
「話聞いてたよな? 化物が出るって話」
しかも、その化物は妖怪を襲うというのだ。普通なら怯えたり何らかのリアクションをするところだ。捜索を中断するなど色々できる対処もあるだろうにそれをしようという気配もない。
正直、サクヤの反応は危機感がない様に思えて仕方なかった。
「聞いてましたよ。けれど、お仕事優先です。それに今回、活躍しないとどうやっても釣り合いが取れないじゃないですか。多少、危険でもなんとかします。」
「正直、危険ならやめといた方がいいと思うんだけどな・・・それこそ、自然消滅するのを待つとか・・・」
「いえ、それだと次の開花まで間に合いません。出来るなら冬の間には、全ての依頼を終わらせたいんです。」
そう言われて俺は彼女の目的を少し頭から抜けていた事に気づいた。彼女は、あの大きな桜を咲かせるためにここにいるのだ。頭では分かっていたが、彼女の願いがどれだけ重要なのかについては一切考えてこなかった。
「なぁ、そう言えば、どうしてそうまでして、花を咲かせたいなんて思うんだ?」
俺の質問にサクヤは、目を丸くした。そんな質問をされるとは思っていなかったのだろうか。彼女は、少し考えながら俺にこう言った。
「咲かない桜に意味なんてありますか?」
その言葉はとても冷たい響きで俺の耳に届いた。
「私は、妖精です。もっと言えば、桜の木です。私達は、花を咲かせる事自体が生きる意味です。」
本来ならば、桜の花を咲かせて種を増やす事が彼女の目的だ。それは分かってはいたが生きる意味とまでいうのかと正直驚いた。
「一年、そのためだけに魔力をため、開花のその瞬間に今まで貯めてきたものを全て放出する。それは、私達、花を咲かせる精霊の全てです。それを繰り返して私達は、過ごしています。ですが・・・」
彼女には、それが出来ない。咲かない様に呪いをかけられてしまったのだ。
「勿論、最悪の場合は、一年でも二年でも待てます。けれど、多少の危険を犯したとしても私は、咲きたいんです。ただ、生きているだけのものにはなりたくないんです。」
その言葉にウチガネさんの姿が思い出される。生きるという事に真摯に向き合って最後の最後まで自分の夢を追求した男だ。
彼女にとっては、全てをかけるにたる何かが咲くという事なのだろう。だったら、俺がそれを止めることは出来ない。彼女の願いを俺が邪魔するわけにはいかない。
「分かった。一緒に探そう。けど、絶対に危ないと思ったらすぐに逃げるんだぞ」
「はい! よろしくお願いします!」
俺達は、そうして目的を確認して捜索を続けたのだった。しかし、結果は何も収穫がなくその日は終わってしまった。
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