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第3章 運命の出会い

09.自覚ゼロ(3)

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「自覚がないのはしょうがない。キヨは異世界人だ。この世界に来てから得た能力や属性に理解が足りないのは当然だろう」

 ……庇われてる、んだよな? 多少バカにされた気もするが。

「子供には理解が難しい話だったな」

 やっぱりバカにされてる。

 髪を乱すライアンの手を払って、手櫛で髪を整えた。

 ぐしゃぐしゃ髪を乱すのは、ここの連中なりの親しみの表し方なのだろう。悪気がないのは伝わってくる。これが気配や魔力に敏感ということか? 

 以前はコミュ障に近かったオレにしては、他人の気持ちや感情を読み取るのが上手になってる。なんとなく勘みたいなもので、嫌われてないと感じるのだ。

「バカにして……」

 むっと唇を尖らせて見せても「悪い悪い」と言いながらまた手を伸ばすライアンに、オレを怖がる様子はなかった。あれだけ街を破壊したのに、ぜんぜん気にしていない。

 この世界の奴の心が広いのか、またはライアン達が規格外か。

 両方……かな?

 なんとなくおかしくなって、笑いながらライアンの手を避ける。追いかけてくるライアンに捕まって、白金の髪を思う存分かき回された。

「こうしていると……普通の子供にしか見えませんね」

 呆れ顔のシフェルが呟き、続いて彼は爆弾を落とした。

「この騒ぎは皇帝陛下に報告されています。近々、拝謁することになりますよ」


 拝謁……というと、あれか。偉い人の前に連れて行かれて、膝突いてお声掛かりを待つ。

「何を想像してる?」

 ノアに捕まって覗き込まれた。がっちりホールドされた体勢で見上げ、小首を傾げる。

 何を想像って……そりゃ、これ一択だろう。

「え? 着ていくものどうしよう……とか」

 呆れ顔のシフェル、眉を顰めるレイル、ライアンとノアは顔を見合わせ、サシャは頭を抱えてしまった。金髪お姉さんがくすくす笑い出した頃、ジャックが大きな手で頭を撫でる。

「大物だな! 普通は何故呼ばれたのかを気にするだろ」

「だって、今回の騒動で呼ばれるんだろうし。洋服はどうするのかな、って思わない?」

 前の世界だったら学生服……は卒業したから無理か。学生なら制服で誤魔化せたんだけど。

 あ!

「制服っぽいの、ないの?」

 ここは一応軍隊みたいだし、もし制服があれば用意してもらえるかも知れない! いいアイディアだとにこにこ笑って返事を待てば、レイルが吹き出した。
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