【完結】ハッピーライフのその先は。

関鷹親

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16.再会

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 お菓子が大量に入ったレジ袋をぶら下げ、弾む気持ちのまま静馬の家に帰ってきた志貴は、リビングに入るとその異様な空気に驚き、そして遼佑が居ることにさらに驚いた。

「えぇぇぇ、この状況なにぃ?」

 意地悪く笑う奏翔の胸倉をものすごい表情で睨みながら掴む遼佑。その雰囲気に物怖じせず志貴を出迎える静馬。
 状況が飲み込めずにきょろきょろと視線を彷徨わせていれば、のんびりした様子の静馬が志貴を出迎えた。

「あら、おかえりなさい志貴ちゃん。」
「志貴!?」

 遼佑に名前を呼ばれびくりと体が跳ね、思わず静馬を盾にするようにその背に隠れてしまう。
 こちらに近づいて来ようとしていた遼佑は、どこか傷ついた表情をしながら視線を彷徨わせ、奏翔を指さす。

「コイツ、志貴のなに?」
「お、お友達ぃ……」

 同意を得ようと奏翔に視線を送ればにこにこしながら頷かれ、志貴は静馬の背の後ろからほっと胸を撫でおろす。
 だが遼佑はその答えに納得していないようだった。

「俺より、コイツが良いのか? コイツがお前の新しい相手?」

 見たことのない表情をしながら皮肉気に笑う遼佑。目にはきらりと光るものが僅かに見え、志貴には彼が泣きそうに見えた。
 しかし、何故そんなこと言われなければならないのか理解できない。
 友達と言っても信じてもらえない、一番に信じて貰いたいのは遼佑だけだというのにそれが伝わらない。
 またぐしゃぐしゃになりかけた志貴の心だったが、視界に捉えていた奏翔がぐっと親指を立てたのを見て静かに息を整えた。

 このままではダメなのだと、志貴は静馬の背後から出ると意を決して口を開く。

「かな君はお友達! なんで信じてくれないの! それに、りょーちゃんだって婚約者とかいる癖になんなのさ! 俺、その人にりょーちゃんちから追い出されたし! 鍵は俺だけだって、俺だけだって言ってたのにいぃぃぃ!」
「志貴……」

 言葉を紡ぎながらその時の悔しさが溢れ出し、大粒の涙が次々と溢れては床に落ちて弾けていく。

「りょーちゃんの特別なんだって思ってたから嬉しかったのに、俺ショックだったしぃぃ……それに、そ、それに俺、りょーちゃん好きだからっ。婚約者とかいちゃやだぁぁぁ」

 奏翔のところに数日泊まり遼佑に会ったら時にどうやってホテルでの態度を謝ろうか。
 そのあとどうやって仲直りして、告白しようかとしっかりと考え、静馬にも伝え作戦を立ていたのに。
 急ではあったが、いざ遼佑と対峙いてみればこのざまだ。
 言いたいことは言えているが、泣きながら喋ってるせいで自分ですら聞き取りづらい。
 もっと大人らしく、スマートに話をするはずだったのに。

 上手くいかないもどかしさと悔しさもあいまり止まらない涙を必死で涙を拭っていれば、遼佑が盛大な溜め息と共にその場に座り込み項垂れてしまう。

「はぁぁぁぁ……」
「えっ、えっなになに!? か、かな君、俺間違えた!?」
「間違えてないよ、大丈夫」
「でも、でもっ」
「落ち着きない。ほら遼佑ちゃん立って。ちゃんと志貴ちゃんとお話しなさい! 私達は暫く外に出てあげるからーー」
「やだ、まってよ静馬さん! 俺ちゃんとできるか分からないから二人はここにいてぇ!!」

 気を利かせて遼佑と二人きりにしてくれようとしているのだろうが、志貴はそれを慌てて阻止した。
 静馬と奏翔と一緒にシュミレーションはしてきたが、今ですら涙で上手くいっていないのだ。
 遼佑と二人きりになったらさらに上手くいかないような気がしてしまう。
 懇願するように二人を見ていれば、苦笑しながらも見守ることを了承してくれた。

「私たちはここのテーブルにいるから、貴方達はそこのソファで話し合いなさい」

 ノロノロと立ち上がった遼佑が先に大きなソファの端に座ると、志貴もその反対側の端にいそいそと座る。
 緊張から痛いほど脈打つ心臓を抑える為にクッションを抱きしめると、正座してから遼佑に向き合った。
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