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もう一度

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彼とこんなことをしたのも気づけば久しぶりになった。
「あんっ!あっ!いやぁんっ!」
「相変わらずだな。」
「だってぇ……ずっとしたかったからぁ……」
私は夫の身体に抱きつくようにして動く。
「ねぇ、私のこと、好き?」
「当たり前じゃないか」
彼は優しい口調で言ってくれる。私への愛は本物なのだと信じたい。
「本当に?心から?信じていい?」
「あぁ」
少し間が空いてから答えてくれた。嬉しかったが、どうしても不安が消えないのだ。
「お願い。もう浮気しないで…。私、あなたのことを愛してるの。」
「分かったよ……約束しよう」
「ありがとう……」
私は彼の胸に顔を押し付けて泣いた。彼への愛は本物だと確信できたからかもしれない。
翌朝、私は幸せな気持ちで目が覚めた。隣ではまだ彼が眠っている。可愛い寝顔だ。昨日は久しぶりに激しく求められたが、大丈夫だろう。今日は休みだし、もう少し寝かせておいてあげようかな。

それでも私が報われないのが現実なのだろうか。
「あなたが、私の夫の部屋に入って行くのを見ました。しかも真夜中。どういうことなの?」
なんでこんな尋問を召使いにしなければならないのだろうか。
「も、申し訳ありません奥様!だ、旦那様の部屋に入って…その…」
「シたの?」
「は、はいぃ…」
「求めてきたのは、あの人?」
「そ、そうです…」
なんで私を裏切るんだろう。
「あらそう……。なら、いいわ。」
私はそう言って、召使いを下がらせた。しかし、私の怒りは収まらない。
夫は結局私のことを愛していなかったのだ。
「許せるわけないでしょ……」
上の子どもは来年、国で一番の学校に入る。我々の家の未来を託された子どもたちだ。
そんな大切な存在も、私のような妻もいながら…
他の女が欲しいだなんて!なんて醜態!許せない! 許せるわけがない!
「なぜそこまで女を求めるのですか!私も、子どもも、どうでもよいのですか?ご自身の身の回りのことも考えてください!」
「では端的に言おう。子どもは愛しているが、お前のことが不満なのだ!いつもいつも独占欲強めで、しかも嫉妬深い。お前の愛は重いのだ!俺はもっと軽い恋愛をしたい!」
「へ?」
彼の言っていることがよく理解できなかった。
「つまり、遊びたいってことですか?」
「端的に言えばな」
なんてことだろう。今まで彼に尽くしてきたのは全て無駄だというのか?私の努力は全て無駄だったのか? 私は膝から崩れ落ちるような感覚を覚えた。涙が頬を伝う感覚があり、彼は私のことを慰めようともしなかった。
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