26 / 71
異世界到着編
山田夫婦エルフに合う
しおりを挟む
私は雄介わ見送った後、黙々と土囊袋に土を入れていた。
黙々と、黙々・・・無理だ!
こっ腰が、腕が!
一時間程で黙々作業を諦め、休憩を挟みながらのんびり作業に変更。
雄介に怒られるかなぁ。
そんな事を考えながらのんびりと土嚢作りに精を出して、お昼になったので昼食を食べに一旦家に帰る途中、遠くの方から微かにパン!パン!と車のバックファイヤの音が聞こえた。
車のバックファイヤ?・・・まさか!
私はゾワッと背筋が寒くなり急いで家に戻ろうとした時に、玄関のドアが開いて優希が青い顔で、雄介と連絡が取れないと言ってきた。
頭の中が真っ白になる。
優希からトランシーバーを受け取り、少しでも電波が届くようにと何もない所で雄介を呼び出す。
「雄介!、おい!雄介、聞こえるか!、雄介!」
反応なし。
何度も何度も雄介を呼び出そうとしたがトランシーバーからは何も聴こえず、段々と気持ちが焦りだす。
「雄介と連絡できた?」
優希とルルが心配そうに聞いてきたが、私は首を横に振ってそれに答える。
「もしかしたらトランシーバーの故障かもしれないから、一旦戻ってタブレットで連絡してみましょ?」
相当焦っていたらしく、優希の提案でタブレットの事を思い出し、その提案に乗って一旦家の中へ入る。
焦るな!慌てるな!落ち着け!
私は心の中で念仏のように唱えながら、タブレットで雄介を呼び出す。
一回目・・・呼び出し音のみ。
しばらく待ってからの二回目・・・画面に雄介のアップが映り、「オヤジ?ごめん、ちょっと訳ありで無線を切ってた。」と悪びれた様子もなく雄介が話しだす。
家族三人ハァ~と安堵のため息が出た。
「ちょっと雄介!訳ありって、怪我でもしたの!?連絡が取れないから心配したじゃない!」
優希が私からタブレットを引ったくり、画面越しに怒り出しす。
「うわ!母さん顔近いって、怪我とかは大丈夫。それより父さんと一緒にコレを見て」
スピーカー越しに雄介が私を呼んだので、優希とルルちゃんを挟む形で三人で画面をみると、そこには不思議なものをみて?となっている耳の先が長い女の子達が沢山と、「お、おいユースケ、コレも魔道具か?」と言いながら顔を近づけてくる三十代ぐらいのイケメンがいた。
あ、エルフさん達だ、とルル。
その横で、あらやだイケメンと呟いた優希の言葉は聴こえなかった事にしよう。
「ゆ、雄介、この方たちは?」
私が聞くと画面が雄介のアップに戻り、「えっと、今そっちに向かってるから詳しい話は後で。それと、母さん悪いけど食べ物とかを用意してくれる?人数は、えーと、一、二・・・俺入れて十七人分ね」
「えっえぇ十七人分ね?」
「そう。あと一時間ぐらいで戻れると思うからよろしく。んじゃ切るね」
通話が終わり、しばし、沈黙が流れる。
「二人とも怒ってるの?」
ルルが私と優希の顔を心配そうに覗いて「お兄ちゃんが悪い事をしたの?」と聞いてくる。
私と優希はルルの頭を優しく撫でながら、怒ってない事を優しく語りかけルルを安心させる。
そう、雄介を怒っている訳ではない、ただ画面越しに一瞬だけ見えた、女性達の首に巻かれている鎖や、殴られたあとがある顔にショックを受けていたのだ。
「とにかく、救急箱の用意と食事ね!非常用にカップラーメンを箱買いしておいてよかったわぁ。あなた、外で食事が出来るように準備をお願いね。ルルちゃんは私と一緒に食事の準備を始めましょ」
優希が場の雰囲気を切り替えるようにワザと明るく振舞いながら、ルルを連れて台所へと向かっていった。
私は無言で外に出て、BBQコンロやブルーシートの準備を始めた。
丁度一時間が経過した頃、私達は今朝雄介と別れた場所で、雄介達の帰りを待っていた。
私の手には、鎖を切るためにワイヤーカッターが握られている。
しばらくすると、前方の森から雄介を先頭に、二十歳から十二、三歳の女性達が現れ、最後に三十代で革の鎧を着けて剣を手に持っている男性が現れた。
女性達は疲れた表情をしているが、安堵感からなのか目に涙を浮かめている。
雄介は私達の前にきて、この子達がモンスターに襲われたこと、冒険者パーティー『深淵の翼』と共に彼女達の救出を行い、ここに避難させてきた事を手短に教えてくれた。
私と優希は雄介に頷き、女性達を家の前に用意したブルーシートへ連れて行った。
「私は山田洋一と言います。雄介の父親です。横にいるのは妻の優希、娘のルルです。皆さんここは安全ですから安心してください」
私は女性達に向かって出来るだけ優しく語りかけ、疲れきっている女性達にブルーシートで休む様に促し、全員が一息ついたところを見計らって、優希に目で合図をして優希から今後の予定を話してもらった。
「今食事の用意をしてますからもう少し待ってくださいね。それと、今のうちに傷の手当てと首の鎖を外しましょう。その後は家でゆっくり休んでくださいね」
優希の提案に年長者の女性が「私はラナ・フォートリオと申します。この度は、私達を助けて下さっただけでもありがたいのに、ここまでして頂いて本当に有難うございます。このご恩は必ずお返しいたします」
ラナと名乗った女性の涙ながらのお礼に、私達は「「いえいえ、お気になさらずに」」と二人で同じようにブンブン振って答え、優希は救急箱を片手に傷の手当てを始め、私はワイヤーカッターで慎重に鎖を切り始めた。
そんな私達を少し離れた所に佇みながら興味深そうに見ている男性は一体誰なんだろうか。
イケメンが気になる。
黙々と、黙々・・・無理だ!
こっ腰が、腕が!
一時間程で黙々作業を諦め、休憩を挟みながらのんびり作業に変更。
雄介に怒られるかなぁ。
そんな事を考えながらのんびりと土嚢作りに精を出して、お昼になったので昼食を食べに一旦家に帰る途中、遠くの方から微かにパン!パン!と車のバックファイヤの音が聞こえた。
車のバックファイヤ?・・・まさか!
私はゾワッと背筋が寒くなり急いで家に戻ろうとした時に、玄関のドアが開いて優希が青い顔で、雄介と連絡が取れないと言ってきた。
頭の中が真っ白になる。
優希からトランシーバーを受け取り、少しでも電波が届くようにと何もない所で雄介を呼び出す。
「雄介!、おい!雄介、聞こえるか!、雄介!」
反応なし。
何度も何度も雄介を呼び出そうとしたがトランシーバーからは何も聴こえず、段々と気持ちが焦りだす。
「雄介と連絡できた?」
優希とルルが心配そうに聞いてきたが、私は首を横に振ってそれに答える。
「もしかしたらトランシーバーの故障かもしれないから、一旦戻ってタブレットで連絡してみましょ?」
相当焦っていたらしく、優希の提案でタブレットの事を思い出し、その提案に乗って一旦家の中へ入る。
焦るな!慌てるな!落ち着け!
私は心の中で念仏のように唱えながら、タブレットで雄介を呼び出す。
一回目・・・呼び出し音のみ。
しばらく待ってからの二回目・・・画面に雄介のアップが映り、「オヤジ?ごめん、ちょっと訳ありで無線を切ってた。」と悪びれた様子もなく雄介が話しだす。
家族三人ハァ~と安堵のため息が出た。
「ちょっと雄介!訳ありって、怪我でもしたの!?連絡が取れないから心配したじゃない!」
優希が私からタブレットを引ったくり、画面越しに怒り出しす。
「うわ!母さん顔近いって、怪我とかは大丈夫。それより父さんと一緒にコレを見て」
スピーカー越しに雄介が私を呼んだので、優希とルルちゃんを挟む形で三人で画面をみると、そこには不思議なものをみて?となっている耳の先が長い女の子達が沢山と、「お、おいユースケ、コレも魔道具か?」と言いながら顔を近づけてくる三十代ぐらいのイケメンがいた。
あ、エルフさん達だ、とルル。
その横で、あらやだイケメンと呟いた優希の言葉は聴こえなかった事にしよう。
「ゆ、雄介、この方たちは?」
私が聞くと画面が雄介のアップに戻り、「えっと、今そっちに向かってるから詳しい話は後で。それと、母さん悪いけど食べ物とかを用意してくれる?人数は、えーと、一、二・・・俺入れて十七人分ね」
「えっえぇ十七人分ね?」
「そう。あと一時間ぐらいで戻れると思うからよろしく。んじゃ切るね」
通話が終わり、しばし、沈黙が流れる。
「二人とも怒ってるの?」
ルルが私と優希の顔を心配そうに覗いて「お兄ちゃんが悪い事をしたの?」と聞いてくる。
私と優希はルルの頭を優しく撫でながら、怒ってない事を優しく語りかけルルを安心させる。
そう、雄介を怒っている訳ではない、ただ画面越しに一瞬だけ見えた、女性達の首に巻かれている鎖や、殴られたあとがある顔にショックを受けていたのだ。
「とにかく、救急箱の用意と食事ね!非常用にカップラーメンを箱買いしておいてよかったわぁ。あなた、外で食事が出来るように準備をお願いね。ルルちゃんは私と一緒に食事の準備を始めましょ」
優希が場の雰囲気を切り替えるようにワザと明るく振舞いながら、ルルを連れて台所へと向かっていった。
私は無言で外に出て、BBQコンロやブルーシートの準備を始めた。
丁度一時間が経過した頃、私達は今朝雄介と別れた場所で、雄介達の帰りを待っていた。
私の手には、鎖を切るためにワイヤーカッターが握られている。
しばらくすると、前方の森から雄介を先頭に、二十歳から十二、三歳の女性達が現れ、最後に三十代で革の鎧を着けて剣を手に持っている男性が現れた。
女性達は疲れた表情をしているが、安堵感からなのか目に涙を浮かめている。
雄介は私達の前にきて、この子達がモンスターに襲われたこと、冒険者パーティー『深淵の翼』と共に彼女達の救出を行い、ここに避難させてきた事を手短に教えてくれた。
私と優希は雄介に頷き、女性達を家の前に用意したブルーシートへ連れて行った。
「私は山田洋一と言います。雄介の父親です。横にいるのは妻の優希、娘のルルです。皆さんここは安全ですから安心してください」
私は女性達に向かって出来るだけ優しく語りかけ、疲れきっている女性達にブルーシートで休む様に促し、全員が一息ついたところを見計らって、優希に目で合図をして優希から今後の予定を話してもらった。
「今食事の用意をしてますからもう少し待ってくださいね。それと、今のうちに傷の手当てと首の鎖を外しましょう。その後は家でゆっくり休んでくださいね」
優希の提案に年長者の女性が「私はラナ・フォートリオと申します。この度は、私達を助けて下さっただけでもありがたいのに、ここまでして頂いて本当に有難うございます。このご恩は必ずお返しいたします」
ラナと名乗った女性の涙ながらのお礼に、私達は「「いえいえ、お気になさらずに」」と二人で同じようにブンブン振って答え、優希は救急箱を片手に傷の手当てを始め、私はワイヤーカッターで慎重に鎖を切り始めた。
そんな私達を少し離れた所に佇みながら興味深そうに見ている男性は一体誰なんだろうか。
イケメンが気になる。
1
あなたにおすすめの小説
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
神様の忘れ物
mizuno sei
ファンタジー
仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。
わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。
精霊さんと一緒にスローライフ ~異世界でも現代知識とチートな精霊さんがいれば安心です~
舞
ファンタジー
かわいい精霊さんと送る、スローライフ。
異世界に送り込まれたおっさんは、精霊さんと手を取り、スローライフをおくる。
夢は優しい国づくり。
『くに、つくりますか?』
『あめのぬぼこ、ぐるぐる』
『みぎまわりか、ひだりまわりか。それがもんだいなの』
いや、それはもう過ぎてますから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる