亡霊剣士の肉体強奪リベンジ!~倒した敵の身体を乗っ取って、最強へと到る物語。

円城寺正市

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第三章 亡霊、竜になる

第二十五話 スベる飛竜と飛ぶ蜘蛛女 #3

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 二人の姿を見つけた途端、飛竜ワイバーンは一気に速度を上げ、アリアも必死に脚をうごめかせて逃げる。

 真っ直ぐな通りを駆け抜けるアリア。だが、背後から追ってくる飛竜ワイバーンとの距離は縮まる一方。

 アリアがアーチをくぐると同時に、

 グゥウオオオオオオオオ!

 飛竜ワイバーン咆哮ほうこうを上げながら、長い首を伸ばす。

 そして、遂にその鋭い牙が、蜘蛛の身体へと食い込もうとするまさにその時――――アリアは行動を開始した。

「がっつくんじゃないわよ。坊や!」

 彼女は身体を大きく仰け反らせると、後ろ四本の脚で強く地面を蹴って跳ぶ。

 仰け反ったまま宙を舞う彼女の、逆さまの視線。

 その先には通りを横切るアーチが映る。そこには通り過ぎざまに巻き付けた、白い糸が絡みついていた。

 高く跳躍した彼女は、糸にひかれるままに、アーチを軸にしてくるりと一回転。

 大車輪の要領でアーチの周囲を回ると、背後から飛竜ワイバーンの背中へと落下した。

 グゥウオオオオオオオオ!

 突然の激しい衝撃に、飛竜ワイバーンは地面で腹をこすり、砂煙が舞い上がる。

 咆哮ほうこうを上げて、激しく身もだえる飛竜。

 地面すれすれを飛びながらも、背中にしがみついたアリアを跳ねのけようと激しく暴れた。

 だが、

「激しいのはきらいじゃないけどぉ……」

 アリアは、八本の脚を飛竜ワイバーンの胴体に絡ませてホールドする。

 そして、太い縄のように編み込まれた蜘蛛の糸を両手に掴むと、首を持ち上げてアリアに喰いつこうともがく飛竜ワイバーンあぎとに、くつわのようにくわえさせた。

 アリアは必死でもがく飛竜ワイバーンくつわでねじ伏せながら、切羽詰まった声を上げる。

「早く! 長くはたないわよ!」

 ――充分だ。

 アリアの胸元にしがみついていたレイは、力強く頷くと、飛竜ワイバーンの首筋へと飛び降りた。

 無茶苦茶に翼をはためかせる飛竜ワイバーン

 レイは、その首筋へと鋭い前歯を突き立てて、ギリギリと後ろ足に力を込める。だが、飛竜ワイバーンの鱗は相当硬い。

 グゥウオオオオオオオオ!

 傷口が裂けるに連れて、益々暴れる飛竜ワイバーン

 その首筋をじりじりとえぐるレイ。

 噴き出した血が、兎の白い口元を真っ赤に染めていく。

 やがて、弱々しい吐息と同時に、飛竜ワイバーンの身体がぐらりと揺らいで、力なく翼が折れた。

 飛行中の勢いのままに、飛竜ワイバーンの体が地を打つ激しい音と衝撃。

 石畳が削れて土煙が舞いあがり、千切れた白い糸が宙に吹き上がって白煙のように立ち昇る。

「な!? 首狩り兎ボーパルバニー!」

 その凄まじい衝撃の中で、アリアの目に、投げ出された兎が後方へ点々と転がっていくのが見えた。

 だが彼女も方も、人の心配をしている場合ではなかった。

 このまま滑って行けば、正面の城壁に衝突する。

 アリアが思わず身を固くしたその瞬間、突然、飛竜ワイバーンは息を吹き返したように首を持ち上げると、必死に翼をはためかせて、アリアを身体にしがみつかせたまま、再び宙へと舞い上がる。

 そして、

 ――大丈夫か?

 アリアの脳裏に、レイの声が響いた。
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