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しおりを挟むとてつもなく不思議な夢を見た。
僕は昨夜の夢に出てきた義姉との会話を思い出しながら着替えを始める。
『レイモンド、正直な話をすると私はあんたのこと性格面では嫌いでは無かったわ。まあ、うちの家にいきなり養子としてやってきてパパやママに可愛がられてたのは気に食わなかったけど……。でも、あんたのその好戦的な目や発言は気に入ってて沢山あんたに言いたい放題やりたい放題してた所があるわ。でも、それも今日でお終いよ』
あの夢の中で会った義姉は僕がよく知る義姉だった。
こちらを見る目は堂々としていると同時に僕を格下に見ていて、言ってることもまさに二日前までの義姉とほぼ変わらない。
しかし、最後の『今日でお終いよ』の所で義姉はほんの一瞬だけ悲しげに目を細めたと思うと僕の頭を撫でてこう言った。
『もう少しでもいいからあんたに優しくしてたらよかったわね。けどそれもこれからは私がしてくれるからいいか』
すると途端に穏やかな顔をした義姉。
彼女はそのまま僕から一歩離れるとその場で大きく伸びをしてこう続けた。
『私から最後にあんたに昔から言いたかった一言よ。……あんたはよく昔から頑張ってる。そりゃあ私に勝る部分なんて一切ないけど、いずれはきっとそれなりに見れたイケメンになってその優秀な頭を使って父さんの跡を継いでいいお嫁さんを貰えるわよ。まっ、今みたいにきちんと勉強をして私を負かすつもりで私を追ってれば話だけど』
そして、そこで言い返そうとしたところで義姉からの『もうそろそろ起きる時間ね。これからは私であって私でないあの人のことよろしく頼むわ』の言葉を聞いて僕は目覚めてここにいる。
あれが本物の義姉であったのかただ単に僕が見た夢なのかは分からない。
だが、あの義姉の言葉が少しでも嬉しかったのは事実だ。
僕は服の最後のボタンを締めるとそのまま部屋を出て朝食が並んでいるであろう食卓のある部屋まで歩き出す。
その時、目の前を横切ったのは耳までを真っ赤にした義姉の姿。
この時、らしくない義姉の様子に夢の中の義姉の言葉が頭の中を巡る。
『私であって私でないあの人のことをよろしく頼むわ』
本当に今目の前を横切った義姉が、夢の中で出てきた義姉が言う通りに義姉であって義姉ではない人物だとしたら一体全体彼女は誰なのか。
僕はそんなことを考えながら義姉が駆け込んだ部屋に一度目を向けた後に、その考えを消し去る為に頭を振ってその場から離れた。
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