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【完】5

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「なんでこんなことに……」

 ジュディスがランスに襲われた後、運悪く乗り込んできた兄に情事の跡を見られてしまった。
 
 あれよあれよという間にジュディスはランスの婚約者となり今に至る。

 辛うじて騎士科に在籍しているが、ランスはジュディスを部屋から出したがらない。

「卒業できないじゃないか」

 もともと自由気質なジュディスは閉じ込められることが好きではない。

「外に出たら猛獣ばかりだ。可愛いジュリーが襲われたらどうする!?」
 
「はあ」

 そんなやついない。誰もジュディスが女とは知らないのだから。そう、このランスバカ以外。

「一度身をもって知ったから同じヘマはしないよ」

 ジュディスがそう言うと、ランスは苦虫を噛み潰したような顔をした。

「申し訳なく思っている。でも、あの日を逃したらジュリーは手に入らない気がしたんだ。俺はジュリーを愛してる。危険な目に遭わせたくない」

 どの口がそれを言うのか、とジュディスは思ったがランスが自分のことを大切に思ってくれているのは知っていた。襲われたことも、起きてしまったことは仕方がないと諦めた。
 
「不貞はしない」

「だが……」

「ただ授業に出て寝るだけだ」

「むぅ……」

 ジュディスが毎回授業中に寝ていたのはランスもよく知っていた。

 よくよく考えてみればジュディスが真面目に受けている授業なんて無いのである。

「ダメ⁇」

「……俺と一緒に行動を共にしてくれるなら」

 ジュディス渾身の上目遣いでランスは折れた。元はと言えばランスに非があるわけで、ジュディスは悪くない。

「一緒に……」

 ジュディスは思った、めんどいな、と。だが、これを逃せばもっとめんどくさいことにになるかもしれない、とも。

 結果、渋々ジュディスはランスの提示した条件を飲んだのだった。

 その後、騎士科ではランスの想いがとうとう実ったと話題になったりした。

 学園を無事卒業し、結婚して約5年。相変わらずジュディスはランスにそっけないが、時折甘えた態度を見せることがあるそうだ。

「いや、いつもベットに入ったら擦り寄ってくるんだ。可愛くて仕方がない」

 デレっと相互を崩して妻のことを語るランスが職場では毎日見られるという。





【おしまい】
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