12 / 16
もののけとの出会い
12
しおりを挟む
「こんにちはー。うちの葉子ちゃんがお世話になっとります。話しは全て聞かせてもらいましたー」
誰!? 着物姿の出来る系のお姉さんだね。普通の人には見えないけど?
「楓姉様!? どうしてここに? あれ? でも、さっきの気配は姉様とは違った気が――」
「『どうしてここに?』じゃありませんよ? こんなところでなにをしてはるん? ここはお外やで?」
えっと……。楓姉様と呼ばれた女性はニコニコとしているけど、あれって100%怒っているよね? だって、目が笑ってないもの。あれは逆らったらダメ系の人種だ。いや、ケモミミと尻尾があるから人種じゃないんだろうけど。
「ひっ! 楓姉様。ち、違うのです! これには深いわけがあって――」
「へー。長老がお決めになった禁を破って、伏見稲荷大社の外に飛び出して、人間に姿を見せて、術まで使って、阿闍梨餅を食べて、緑寿庵清水の金平糖も味わって、ましてや使役の契約まで結んで。これほどの事をしてはるんやから、よっぽどの理由があるんやろうねー。私に理由を聞かせて欲しいなー」
じりじりと近付いてくる楓さん。そして青い顔をしてじりじりと後ずさる葉子ちゃん。それを傍観している私。
なんだこの空間。
「美裕! はよ助けんか! 妾のピンチじゃ!」
「『妾』? また、そんな無理した言葉を使って。似合わないから止めときと言ってるでしょ」
ん? 葉子ちゃんの焦った言葉に楓さんが答えているけど、ちょっと待って。葉子ちゃんは普段は『妾』と言わないの?
「あ、あの。楓さん」
「なんです、美裕さん? 今は取り込み中なんやけど?」
「葉子ちゃんは普段は『妾』と言わないの?」
私からすれば大事な質問なのに、呆気にとられた顔をしていた楓さんがクスクスと笑い始める。なにか変な事を言ったかな? 大事な質問だよ? 大事だから何度も言うけど、葉子ちゃんが『妾』と言うのは大事だよ?
「おもろいねー。美裕さんは実におもろい。普通は妖狐を見たら自分の常識を疑うもんやけどなー」
「そうですか? 今のご時世で物の怪に会う事はあるかもしれないじゃん? それほど不思議だとは……いや、不思議だね。私の知ってる妖狐って怖い感じなのに、葉子ちゃんは可愛いし、楓さんは綺麗だし。それに楓さんの京都弁? 関西弁も変な感じだし。色々と気になる事はあるよ」
私の言葉に楓さんはさらに面白そうな顔になると、葉子ちゃんに向けてた視線を私に変えたようだ。
「うん。そやね。私も気になるところがあるわ。ちょっとゆっくり話そうか。『葉子、その場で反省しとき』」
「にゃっ! 楓姉様!? 拘束を解いて下さい。反省してますから!」
なんか普通の喋り方になっている葉子ちゃん。目を凝らすと縄でグルグル巻きにされてる。普通の拘束と呼んでた縄だから問題ないね。私も色々と聞きたいからね。さっき楓さんが『使役の契約』とか言ってたし。
「私も聞きたい事があるんですよ」
「うん。なんやろ? こっちの質問に答えたら、禁に触れない程度で答えてあげれるで」
「じゃあ阿闍梨餅と金平糖を食べながら話そう。実は葉子ちゃんには言ってないけど、まるもち家の水まる餅もあるんだよ」
「あら。それはええねー。あのプルプル感は一度食べてみたいと思ってたんよ」
「ちょっ! 美裕! そのような物を隠しておったのか! 許さんぞ! 妾の分も――な、なんでもないです。楓姉様」
私と楓さんの会話に葉子ちゃんが入ってこようとしたんだけど、楓さんの視線に気付くとプルプルと震えながら耳もペタンと頭に張り付いていた。
……。どれだけ怖いんだろう、楓さんって。
誰!? 着物姿の出来る系のお姉さんだね。普通の人には見えないけど?
「楓姉様!? どうしてここに? あれ? でも、さっきの気配は姉様とは違った気が――」
「『どうしてここに?』じゃありませんよ? こんなところでなにをしてはるん? ここはお外やで?」
えっと……。楓姉様と呼ばれた女性はニコニコとしているけど、あれって100%怒っているよね? だって、目が笑ってないもの。あれは逆らったらダメ系の人種だ。いや、ケモミミと尻尾があるから人種じゃないんだろうけど。
「ひっ! 楓姉様。ち、違うのです! これには深いわけがあって――」
「へー。長老がお決めになった禁を破って、伏見稲荷大社の外に飛び出して、人間に姿を見せて、術まで使って、阿闍梨餅を食べて、緑寿庵清水の金平糖も味わって、ましてや使役の契約まで結んで。これほどの事をしてはるんやから、よっぽどの理由があるんやろうねー。私に理由を聞かせて欲しいなー」
じりじりと近付いてくる楓さん。そして青い顔をしてじりじりと後ずさる葉子ちゃん。それを傍観している私。
なんだこの空間。
「美裕! はよ助けんか! 妾のピンチじゃ!」
「『妾』? また、そんな無理した言葉を使って。似合わないから止めときと言ってるでしょ」
ん? 葉子ちゃんの焦った言葉に楓さんが答えているけど、ちょっと待って。葉子ちゃんは普段は『妾』と言わないの?
「あ、あの。楓さん」
「なんです、美裕さん? 今は取り込み中なんやけど?」
「葉子ちゃんは普段は『妾』と言わないの?」
私からすれば大事な質問なのに、呆気にとられた顔をしていた楓さんがクスクスと笑い始める。なにか変な事を言ったかな? 大事な質問だよ? 大事だから何度も言うけど、葉子ちゃんが『妾』と言うのは大事だよ?
「おもろいねー。美裕さんは実におもろい。普通は妖狐を見たら自分の常識を疑うもんやけどなー」
「そうですか? 今のご時世で物の怪に会う事はあるかもしれないじゃん? それほど不思議だとは……いや、不思議だね。私の知ってる妖狐って怖い感じなのに、葉子ちゃんは可愛いし、楓さんは綺麗だし。それに楓さんの京都弁? 関西弁も変な感じだし。色々と気になる事はあるよ」
私の言葉に楓さんはさらに面白そうな顔になると、葉子ちゃんに向けてた視線を私に変えたようだ。
「うん。そやね。私も気になるところがあるわ。ちょっとゆっくり話そうか。『葉子、その場で反省しとき』」
「にゃっ! 楓姉様!? 拘束を解いて下さい。反省してますから!」
なんか普通の喋り方になっている葉子ちゃん。目を凝らすと縄でグルグル巻きにされてる。普通の拘束と呼んでた縄だから問題ないね。私も色々と聞きたいからね。さっき楓さんが『使役の契約』とか言ってたし。
「私も聞きたい事があるんですよ」
「うん。なんやろ? こっちの質問に答えたら、禁に触れない程度で答えてあげれるで」
「じゃあ阿闍梨餅と金平糖を食べながら話そう。実は葉子ちゃんには言ってないけど、まるもち家の水まる餅もあるんだよ」
「あら。それはええねー。あのプルプル感は一度食べてみたいと思ってたんよ」
「ちょっ! 美裕! そのような物を隠しておったのか! 許さんぞ! 妾の分も――な、なんでもないです。楓姉様」
私と楓さんの会話に葉子ちゃんが入ってこようとしたんだけど、楓さんの視線に気付くとプルプルと震えながら耳もペタンと頭に張り付いていた。
……。どれだけ怖いんだろう、楓さんって。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる