愛させてよΩ様

ななな

文字の大きさ
11 / 23
1章

9

しおりを挟む
お昼休憩が終わり、教室に戻り授業を受けている。
正直、何度も目を閉じそうになっている。
何回か先生の話が聞こえなくなった。
まだ、授業が始まって10分。
絶対に寝る。
残り、40分もある。
寝ないわけがない。
だが、王子の婚約者として、長男として、生徒として寝るわけにはいかない。
かくなる上は...
「オリヴァー、本当に申し訳ないんだけど、もし僕が寝ていたら起こしてくれないかな...」
恥を忍んで、頼む。
本当は後ろの席のルークに頼むのが1番だけど、前後の席の距離が結構あって話しかけられそうにない。
「...リオン様でも授業中に眠くなることがあるんですね。もちろんです。お任せください」
一瞬驚いた表情をしてからの微笑み...。
オリヴァーが社交界で人気の理由が分かった。
この優しい笑顔で何人の人を落としてきたのだろう。
「ありがとう。出来るだけ寝ないように頑張るね」
寝てることがバレてしまうのは恥ずかしい。
でも、先生に注意されるよりはマシだ。
こんなことを考えてる間も眠気がじわじわと押し寄せてくる。
先生の話を真面目に聞かなければ。
今は植物学の授業だ。
領民達がどんな風に農業をしているか、天候や災害時に貴族はどのような対応をするべきか。
幸い、先生が喋っているので先生の声を聞くことに集中して目を閉じないように過ごせている。
「じゃあ、今説明したところを黙読してください」
...絶対に寝る。
黙読は流石に無理だ。
文字はもう掠れてる。
小麦...。
「リオン様、頑張ってください。後20分です」
「う.....ん。ありがとう」
寝てしまった。
20分...長い。
「オリヴァー、申し訳ないんだけどまた寝てたら起こしてくてないかな」
「分かりました。寝不足ですか」
「うん。少し悩んでしまって...情けないな」
「情けなくなんかないです。リオン様を悩ませるだなんて相当な悩みですね。もし、吐き出したくなったら頼ってください。なんでも聞きますから」
......惚れさせにきてる?
こんなに人たらしになれるのか、人間って。
いい人すぎる。
「ありがとう。話してたら少し眠気がなくなってきたよ。オリヴァーが困ったことがあれば僕に言うんだよ。今日のお礼」
「リオン様を頼れるなんて贅沢ですね」
「その代わり、今日のことは2人の秘密だよ」
小指を差し出した。
友達と約束する時はゆびきりをするって母様に教わったからね。
「はい。もちろんです。絶対に言いません」
オリヴァーと小指を絡め、ゆびきりをした。
こういうの友達っぽくて、すごくいい。
お友達を作ろう計画は順調に進んだな。
これから、もっと仲良くなれるといいな。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

モブらしいので目立たないよう逃げ続けます

餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。 まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。 モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。 「アルウィン、君が好きだ」 「え、お断りします」 「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」 目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。 ざまぁ要素あるかも………しれませんね

愛しい番に愛されたいオメガなボクの奮闘記

天田れおぽん
BL
 ボク、アイリス・ロックハートは愛しい番であるオズワルドと出会った。  だけどオズワルドには初恋の人がいる。  でもボクは負けない。  ボクは愛しいオズワルドの唯一になるため、番のオメガであることに甘えることなく頑張るんだっ! ※「可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない」のオズワルド君の番の物語です。

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

【完結】出会いは悪夢、甘い蜜

琉海
BL
憧れを追って入学した学園にいたのは運命の番だった。 アルファがオメガをガブガブしてます。

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

劣等アルファは最強王子から逃げられない

BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。 ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。

【完結】初恋のアルファには番がいた—番までの距離—

水樹りと
BL
蛍は三度、運命を感じたことがある。 幼い日、高校、そして大学。 高校で再会した初恋の人は匂いのないアルファ――そのとき彼に番がいると知る。 運命に選ばれなかったオメガの俺は、それでも“自分で選ぶ恋”を始める。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

処理中です...