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第二十話
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「帝国は酷いもんだよ」
悲しみに暮れた顔でそうつぶやく。ダルドも同じく、同意するように頷くと眉を八の字にする。
「ほんと、あっしらを虫けらのように扱うし、商人はまともに取引もしてくれない。明日も見えない……」
帝国人の商人たちは外国人に対して、とても冷めたい。
そして、自分たちが進んだ文明と考え、他の国を劣った民族と見下しているのだ。
帝国語で喋っていても、訛りがあると眉を寄せて、外国人だとわかると嫌がらせのように商品を畳んでしまう。相手にもしてくれない。
もっと悪徳な商人は物の価値を知らないだろうと高い値を付けたり、売る時は買取値も以上に低い。
帝国の都市に近くになればなるほど、帝国人は険悪だ。
しかし、逆に国境の近くや辺境の地の小さな田舎の村や街になるとそうでもなく、帝国の恩恵が行き届いていないため、少しでも自分の暮らしを楽にしようと売買をしてくれる。
だからカイたちのような外国人は帝国中心部ではなく、開拓も進んでいないような辺鄙な場所で生計を立てているのだ。
今回も西側にあるトヤンという人口千人規模の小さな村へ向かう、というわけだ。
トヤン村には少し変わった骨董店がある。カイたちにとってはその骨董店は行き付けの店というところだ。
「無駄話していると昼が来ちまう。そろそろ出発しよう。ダルド」
「ですね」
二人は嘆き合うと徐々に竜王から離れていった。自分が放置されていることに気が付いた竜王が彼らを呼び止める。
「おい!! 待てやお前らッ!!」
彼女の声は二人に絶対に聞こえているのだが、それでも二人は無視して進み続けた。
苛立った竜王は一度、舌打すると足元に落ちてあった小石を拾いあげる。
手の平で遊んだあと、カイの足元に視点を送り、おもむろにカイの足元へ目掛けて、小石を投げつけた。
彼女は軽く投げたつもりだったが、小石は凄まじい速さで虚空を飛ぶ小石は地面にたたきつけられ、砂埃を巻き上げる。
それにカイは驚愕し、その場で凍り付く。
後方から何が飛んできたのはわかったが、それが何なのかわからなかった。
恐る恐る砂埃が上がった場所へ視線を落とす。
すると足元には土がえぐれ、大きな穴が開いていた。
中心部分には粉々になった小石らしきものがある。
「……マジで……?」
もしも、当たっていたら……、そう考えると冷や汗が止まらない。
「……殺される。あいつはやっぱり、化け物だ」
「それ、竜王にいう言葉じゃないですぜアニキ……」
「確かに……」
「待たんかい、ニート共ッ!!」
それに対して、カイとダルドは反論しなかった。
というより、そんな余裕がなかった。
「あ、あの、すんません。なんか、その舐めてました。ほんと、いや、すごいなぁーマジで竜王だわ~」
「意味がわからん。なんならここで私の本気を見せてあげようか???」
ニコッと笑うその彼女の表情はまさしく、悪魔のような笑みだった。彼女の背後からは黒いオーラが出ている。
凄まじい覇気に気圧される。
「……」
無言でいると竜王はまた足元にあった小石を拾い上げ、握り締めた。
手の中から小石が粉々に砕ける音がする。
何かを求めている目でカイを見つめてきた。
察したカイはすぐに頭を下げる。
「すんませんでしたぁああ!!」
少年の叫び声が森にこだました。
深々と頭を下げながらカイは震え声で答える。
「あのお話を聞くので、これまでのことなかったことにしてくれませんか……?」
竜王はどこか勝ち誇ったような顔で彼を見下す。
「……まぁいい。これまでのことはなかったことにしてやるから。とりあえず、私を連れていけ」
「そ、それは……」
と視線をダルドに向ける。
「……あっしに求めても……」
「なんだ、私を連れてはいけないと?」
不服なのか?と眉を寄せる。
「いや、不服もなにも……自分が何者なのかわかっていってるのか?」
二人は彼女の頭に生えている二本の角を見つめる。
頭に角が生えている人間なんて存在しないので、すぐに魔物だとバレてしまう。
魔物と一緒にいるだけでも極刑なので、トラン村についてきてほしくないのが本心だった。
しかし―――――軽い脅迫をされた二人は拒否権が自分にないことを知り、しぶしぶ、竜王を連れていくことにした。
頭に生えている角についてはとりあえず、フードを被ってもらい、なんとか誤魔化す。
お昼までにはトラン村に着いておきたいということで、三人は歩きながら話すことにした。
二人が先を行き、その後ろに竜王がついていく。
少し進んだ辺りから舗装されている道を離れ、意図的に生い茂った森の中に入って、獣道を進む。服についた虫に気が付き、嫌な顔せず、はたき落とす。
竜王はそれに疑問に感じ、不思議そうに小首をかしげる。
「……なんで、わざわざ、こんな場所を通る。街道を通ればいいじゃないのか?」
ペースの早い二人の背中に竜王は文句を投げつけた。
「あんたは知らないと思うけど、こっちの方が安全なんだよ」
意味ありげな発言だった。
「なんでだ?」
「最近、ここら辺り、物騒になってきている。ここ数日、何人も人が襲われているんだ」
帝国が大陸全土に軍を派遣した結果、国内の治安がままならなくなっていた。頼りはそれぞれに置かれている駐屯軍と自警団、それと貴族がそれぞれ持っている私兵だ。
だが、帝国軍のように装備一式を揃えている軍はいないし、帝国軍よりも軍備を整えてしまうと皇帝の目に入ってしまう。
謀反の疑いをかけられるかもしれないのだ。だから必要最低限の兵しか雇えないのが現状で、即応部隊が居ないのである。
とは言っても自警団や私兵は傭兵や元軍人から構成されていることが多い。
ど素人の集まりではないのに何人も殺されているとなるとただ者ではないことは竜王にもわかった。
だから予想されるのは―――――竜王は眉を顰め、真剣な顔をして尋ねた。
「魔物か?」
竜王の統制がなくなった今、自我を持たない魔物は大陸中に散らばり、本能のままに行動し、例えば、ミノタウロス、ウロボロス、巨人など、厄介な魔物が生息している。
竜王の質問にカイは竜王に顔だけ振り向いて、首を左右に振る。
「俺たちと同じ人間だよ」
悲しみに暮れた顔でそうつぶやく。ダルドも同じく、同意するように頷くと眉を八の字にする。
「ほんと、あっしらを虫けらのように扱うし、商人はまともに取引もしてくれない。明日も見えない……」
帝国人の商人たちは外国人に対して、とても冷めたい。
そして、自分たちが進んだ文明と考え、他の国を劣った民族と見下しているのだ。
帝国語で喋っていても、訛りがあると眉を寄せて、外国人だとわかると嫌がらせのように商品を畳んでしまう。相手にもしてくれない。
もっと悪徳な商人は物の価値を知らないだろうと高い値を付けたり、売る時は買取値も以上に低い。
帝国の都市に近くになればなるほど、帝国人は険悪だ。
しかし、逆に国境の近くや辺境の地の小さな田舎の村や街になるとそうでもなく、帝国の恩恵が行き届いていないため、少しでも自分の暮らしを楽にしようと売買をしてくれる。
だからカイたちのような外国人は帝国中心部ではなく、開拓も進んでいないような辺鄙な場所で生計を立てているのだ。
今回も西側にあるトヤンという人口千人規模の小さな村へ向かう、というわけだ。
トヤン村には少し変わった骨董店がある。カイたちにとってはその骨董店は行き付けの店というところだ。
「無駄話していると昼が来ちまう。そろそろ出発しよう。ダルド」
「ですね」
二人は嘆き合うと徐々に竜王から離れていった。自分が放置されていることに気が付いた竜王が彼らを呼び止める。
「おい!! 待てやお前らッ!!」
彼女の声は二人に絶対に聞こえているのだが、それでも二人は無視して進み続けた。
苛立った竜王は一度、舌打すると足元に落ちてあった小石を拾いあげる。
手の平で遊んだあと、カイの足元に視点を送り、おもむろにカイの足元へ目掛けて、小石を投げつけた。
彼女は軽く投げたつもりだったが、小石は凄まじい速さで虚空を飛ぶ小石は地面にたたきつけられ、砂埃を巻き上げる。
それにカイは驚愕し、その場で凍り付く。
後方から何が飛んできたのはわかったが、それが何なのかわからなかった。
恐る恐る砂埃が上がった場所へ視線を落とす。
すると足元には土がえぐれ、大きな穴が開いていた。
中心部分には粉々になった小石らしきものがある。
「……マジで……?」
もしも、当たっていたら……、そう考えると冷や汗が止まらない。
「……殺される。あいつはやっぱり、化け物だ」
「それ、竜王にいう言葉じゃないですぜアニキ……」
「確かに……」
「待たんかい、ニート共ッ!!」
それに対して、カイとダルドは反論しなかった。
というより、そんな余裕がなかった。
「あ、あの、すんません。なんか、その舐めてました。ほんと、いや、すごいなぁーマジで竜王だわ~」
「意味がわからん。なんならここで私の本気を見せてあげようか???」
ニコッと笑うその彼女の表情はまさしく、悪魔のような笑みだった。彼女の背後からは黒いオーラが出ている。
凄まじい覇気に気圧される。
「……」
無言でいると竜王はまた足元にあった小石を拾い上げ、握り締めた。
手の中から小石が粉々に砕ける音がする。
何かを求めている目でカイを見つめてきた。
察したカイはすぐに頭を下げる。
「すんませんでしたぁああ!!」
少年の叫び声が森にこだました。
深々と頭を下げながらカイは震え声で答える。
「あのお話を聞くので、これまでのことなかったことにしてくれませんか……?」
竜王はどこか勝ち誇ったような顔で彼を見下す。
「……まぁいい。これまでのことはなかったことにしてやるから。とりあえず、私を連れていけ」
「そ、それは……」
と視線をダルドに向ける。
「……あっしに求めても……」
「なんだ、私を連れてはいけないと?」
不服なのか?と眉を寄せる。
「いや、不服もなにも……自分が何者なのかわかっていってるのか?」
二人は彼女の頭に生えている二本の角を見つめる。
頭に角が生えている人間なんて存在しないので、すぐに魔物だとバレてしまう。
魔物と一緒にいるだけでも極刑なので、トラン村についてきてほしくないのが本心だった。
しかし―――――軽い脅迫をされた二人は拒否権が自分にないことを知り、しぶしぶ、竜王を連れていくことにした。
頭に生えている角についてはとりあえず、フードを被ってもらい、なんとか誤魔化す。
お昼までにはトラン村に着いておきたいということで、三人は歩きながら話すことにした。
二人が先を行き、その後ろに竜王がついていく。
少し進んだ辺りから舗装されている道を離れ、意図的に生い茂った森の中に入って、獣道を進む。服についた虫に気が付き、嫌な顔せず、はたき落とす。
竜王はそれに疑問に感じ、不思議そうに小首をかしげる。
「……なんで、わざわざ、こんな場所を通る。街道を通ればいいじゃないのか?」
ペースの早い二人の背中に竜王は文句を投げつけた。
「あんたは知らないと思うけど、こっちの方が安全なんだよ」
意味ありげな発言だった。
「なんでだ?」
「最近、ここら辺り、物騒になってきている。ここ数日、何人も人が襲われているんだ」
帝国が大陸全土に軍を派遣した結果、国内の治安がままならなくなっていた。頼りはそれぞれに置かれている駐屯軍と自警団、それと貴族がそれぞれ持っている私兵だ。
だが、帝国軍のように装備一式を揃えている軍はいないし、帝国軍よりも軍備を整えてしまうと皇帝の目に入ってしまう。
謀反の疑いをかけられるかもしれないのだ。だから必要最低限の兵しか雇えないのが現状で、即応部隊が居ないのである。
とは言っても自警団や私兵は傭兵や元軍人から構成されていることが多い。
ど素人の集まりではないのに何人も殺されているとなるとただ者ではないことは竜王にもわかった。
だから予想されるのは―――――竜王は眉を顰め、真剣な顔をして尋ねた。
「魔物か?」
竜王の統制がなくなった今、自我を持たない魔物は大陸中に散らばり、本能のままに行動し、例えば、ミノタウロス、ウロボロス、巨人など、厄介な魔物が生息している。
竜王の質問にカイは竜王に顔だけ振り向いて、首を左右に振る。
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