おっさん鍛冶屋の異世界探検記

モッチー

文字の大きさ
88 / 94
リターンズ

12素材の買い歩き

しおりを挟む
我輩は武器屋である。まだ売り物の武器はない。

いくつか予約は入っているのだが元々ここで慌てて店を出すつもりも無かったので殆ど素材もなくあった物も工作機器のバージョンアップで使い切ってしまった。

そこで今あるのは消耗品の矢が鏃の種類で貫通矢と炸裂矢の2種類だけいくつか売れるだけはある。
それと試作品の失敗作な剥ぎ取りナイフが在庫であるだけ。

後はマルチ防具システムの見本が軽装と重装の2タイプあるがあくまでもフルセット見本だから売れないしパーツも素材がなくて作れない。
後は練習用の各種木製武器だがまだ店で動きを見る様で置いてる分しかない。
後は先日用意した超重鉄のただ重いだけの鍛錬用武器も店内見本を作っただけで在庫が切れた…

だから今は在庫としてある矢とナイフ以外は商品がないし作れないのである。
店内もここまで準備が出来たからいい加減自分で素材集めに行きたいんだがここの家主の商人フォルテの護衛で知り合った連中がちょこちょこ来やがってなかなか出れない。
注文も持ち運び竃キット、育った胸の為の胸当のリニューアル、材質変更の大剣とあるのだが材料が無いから自分達に取りに行かせてその買取価格と相殺で作ってやる事になっているがそれでも細々とした材料は自分で探しに行かないと間に合わないだろう。
その為にフォルテに店の商品任せて、出掛けようとしてたらまたまたというかやっぱりとういうかここで来るのが最後の1人槍さんが来ましたよ…

そしてその理由は聞くまでもなくその手にあった。
それは真っ二つに折れた無残な姿の槍が握られていた。
金属製の槍で丈夫そうに見えたのだが折れたところを見せてもらうと中が空洞となり腐っていた。
詳しく調べていくと刃の接合部の取り付けが甘く隙間があり、その付近にはベットリと獣の血が固まっていた。それが中に入り込み中を伝って下まで垂れ、垂れた所から腐食が始まり徐々に広がり、金属疲労が溜まった所とのダブルパンチで真ん中部分で見事に折れてしまっていた。

3m近くあった槍は今では身長よりも低い140ほどしかなく使い勝手が悪そうだし、長槍を使っていた人間がいきなり短槍では使い勝手が変わりすぎてさぞ困った事だろう。
だがしかし。
直すにも材料が無い。
そこで若造達3人も大剣さんも素材集めして貰ってその差し引きで作るって事になっているのを伝えた。
そして貸し出せる様な武器も無いが、木槍と超重鉄の槍ならあると伝えたら鍛錬にいいって250cmの超重槍を選んで持って行った。
肩に担いで持って行ったが…あんなんで戦えるのか?
一応刃だけつけたから切れなくは無いし刺せなくもないが恐らく離れた位置から振り下ろして鈍器として使うしか無いと思うのだが…本人が良いって言ってるから良いか?

そういう事で槍さんも素材採取に旅立っていった。

さてこれで暫くはこの店に来そうな連中はもう居ないだろう。

それじゃ後はフォルテに客の相手を頼んどけば留守にしていても平気か?
そうすれば少し素材系のものを買いに行っても問題は無いだろう。
鉱石や皮は頼んであるからくるとしてだ。そうなると後必要そうなのになると布系や紐、木材なんかも必要になってくるか?
その辺りはどこに売ってるかな雑貨屋に服屋とかか?木材は製材所なんて無いだろうし大工?木こり?まあいい売ってそうなところを適当に見て回るとするか?

行動予定を大まかに決めて埃まみれの仕事用作業着を普段着に着替えマジックバック1つに金貨を20枚程入れた小袋と銀貨、銅貨を入れた小銭袋をあるだけ持ってまずは中心街のほぼ中心にいるから四方八方に大通りをすぐに移動出来るしどっちに行こうか?悩んでも仕方無い気分にまかせて東通りだな。

東門から続く道は東に広大な農地を構えているから、めし屋関係が多いな。
おぉ!?懐かしいな東にあった古城が今は蜂、蟻の女王が住み着いてるからここにもロイヤルゼリーが売っているのか。
あのレ○女王達は元気にしてるかな?会いに行きたくもあるけど…また高級栄養剤を量産させられると思うと…やめやめ。当分はいかないぞ。

でもロイヤルゼリーか…ん?蜂蜜もある…ちょっと買っておこうか…自分用に栄養剤を持ってるのはアリだな。

「姉ちゃんこれとこれもらえるか?」

「ありがとうございます」

「姉ちゃんすまんが1つ聞いていいか?これは蜂女王の住処で貰って来るのか?」

「はいそうです。今は出産ラッシュで大量に出来るそうでこちらにも回してもらえる様になりました」

「なるほど…偶によらしてもらうぞ」

「ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします」

元気のいい姉ちゃんだったな。蜂蜜のおかげか?まあいい定期的に仕入れて栄養剤を作ってみよう。余ればフォルテにおろせばいいだろう。
よし次だ。

ほぉ~ここは鉱石屋か?

「オヤジこの石はなんだ?」

「おう。これはな屑鉱石って言ってな鍛冶屋も買い取らないのを捨て値で出してんだ。こんなのでも農具で使うくらいには使えるからな」

なるほど。そういえばこの先に農具系の鍛冶屋があるし、農地も出てすぐだしちょうどいいのか?それはそれで需要はあるんだな。
おや?これは…銀が混じってる…でも1gも無いから捨て値で出されちゃうのか…こっちは魔鉄!?これも精錬する手間と量が見合わないのか?
ふむ…少し買い取って試してみるか…

「オヤジこれ少し分けてくれ」

「おう。少しと言わずいっぱい持ってけ。裏に腐る程貯まって邪魔でしょうがねえんだその分まけとくからよ」

という事でなぜか屑鉱石を軽トラ一杯分ぐらいを銀貨1枚で譲り受けてしまった…
俺にとっては宝の山だが加工出来なきゃゴミだもんな…良しとしよう。

さて次は何を見ようかな…おやもう城門まで来ちまったか…しょうがない小腹も減ったしその辺の露店で買い食いしながら次に行くか。

次は…そのまま反対の西に行くか。
西は妖精の国に繋がるから何があるのかな?

う~ん俺には似合わんエリアだな…装飾品ばかりだし…指環にネックレス、イヤリングと使うことの無いのばかりだな…早々に引き上げt…いやだめだ!これは魔法付与品か!?
なるほど。これなら見て損は無いが能力は…低いな…
使った所で値段と釣り合いなんか取れないが研究用に適当に買いあさって次行こう。
次は南に行こう。

南通りは服飾関係か?ある意味目的地の1つだが目的の物があるのやら…
パッと見て歩いても完成品、中古と形の出来てるものしか置いて無いな…
しかももう城門付近に来て服屋は終わっちまって、大量の草を何かしてるとこしか無いな…ついでだから見てみるか…
これはなんの草だ?そこの年配の女性に尋ねてみるか。

「作業中にすまんがこれはなんの草で何してるんだ?」

「これはそこらに生えてる麻だよ。そしてこれから紐とか糸作ってるんだよ」

ほぉ~麻って言うとどうしても薬物のイメージが強いが本来は生活必需品の時代もあったんだよな。それに紐とか探してたからある意味ちょうど良かった。

「その出来た紐とかは売ってくれるのか?」

「ああ構わないよちょいっと待ってな。こちらお客さんだよ相手しておくれ」

すると作業をしてない女が出てきて相手をしてくれた。
そこで品物をいくつか見せてもらい何種類か纏めて購入して、出来る作りの見本をいくつかもらい店を後にした。

ここはある程度要望に応えて作ってくれるそうで今後ともお世話になりそうだ。しかも糸を扱っている所も紹介してもらい、そこから生地屋などの素材屋を横の繋がりで紹介してもらい、芋づる式に欲しかった物が買えてお気に入りの地域になりそうだ。

さて最後に北に行こう。
北通りに行くと思った通りに木材製品を扱っているところが多かった。
やはり北に行くとエルフの住むフォレストタウンがあるだけあって離れていてもその恩恵を少ないながらも受けている森の影響でそこそこいい木を扱っているようだ。
そこで隅々見ていくと素材が良いからそこそこの製品が多くライバルも多いから切磋琢磨して良い雰囲気だ。

歩き回ってると活気のある店を見つけた。
そこは製品を販売というよりは木材に加工して販売していた。
丸材、角材、板と幅広く一本の木から生み出していくのは見ていて面白い。
見入ってたら中から1人出てきて声を掛けてくれより近くで見せてくれた。
適当にやってそうできっちり揃って仕上げるなんてやはり職人の動きはロボットより精密な仕事するね。動きを見てるだけで学べる物がある。
でもあんまり長居しては作業の邪魔になるから個人店にも小売してくれるのかを確認し、欲しいサイズを注文し出来上がったらフォルテの店に知らせくれるように頼んで後にした。

最後にもう一軒ギルド直営店にも顔を出しておいた。
ここでは良いところの品は大手に持って行かれてしまうので質の低いのや冒険者の剥ぎ取り失敗した端材程度だがそれでも加工すれば短くても革紐に出来たりするからいくつか購入して、それと薬草を少し購入して店に戻った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

私のアレに値が付いた!?

ネコヅキ
ファンタジー
 もしも、金のタマゴを産み落としたなら――  鮎沢佳奈は二十歳の大学生。ある日突然死んでしまった彼女は、神様の代行者を名乗る青年に異世界へと転生。という形で異世界への移住を提案され、移住を快諾した佳奈は喫茶店の看板娘である人物に助けてもらって新たな生活を始めた。  しかしその一週間後。借りたアパートの一室で、白磁の器を揺るがす事件が勃発する。振り返って見てみれば器の中で灰色の物体が鎮座し、その物体の正体を知るべく質屋に持ち込んだ事から彼女の順風満帆の歯車が狂い始める。  自身を金のタマゴを産むガチョウになぞらえ、絶対に知られてはならない秘密を一人抱え込む佳奈の運命はいかに―― ・産むのはタマゴではありません! お食事中の方はご注意下さいませ。 ・小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 ・小説家になろう様にて三十七万PVを突破。

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

処理中です...