実はαだった俺、逃げることにした。

るるらら

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俺が逃げだした理由

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 記憶が戻って数日は体調を整える事に時間を使い、それが落ち着いたら断捨離を行い部屋をスッキリさせた。それから学校に通っていないことをいいことに家を抜け出すようになった。

 だって基本放置なんだもん!ご飯は運ばれるし、お小遣いもくれるから不自由はしてないんだけど…如何せん家族としての触れ合いがない。

 俺には兄が2人いるが、どっちも性格が悪い。上の兄であるフィリスティウスは俺様で口調が粗い。下の兄エリンティウスは見た目は爽やかだが実は腹黒い……おれはそんな兄達が苦手なのである。

 そんな家族との触れ合いは早々に諦めて今日も今日とて街に降りる。いずれは家を抜け出すつもりなので平民としての生活を学ばないとな。ってことで、ここ数日は貴族街ではなく城下町を探索しているのだ。


 「あら、アル君また一人で出歩いているのかい?」
 「パン屋さん、こんにちわ。」
 「今日はどこにいくんだい?」
 「図書館で魔法の文献と歴史について勉強しようかと思ってます。」
 「あら偉いわねぇ…。」


 最近はこうやって街の人とも話すようになって、昔より充実した生活をしている。独学で魔法を勉強しているのだが、たまに街の図書館にやってくる神官さんや冒険者のお姉さんが勉強を教えてくれたりする。

 魔法がある世界には魔物もいるので、それを討伐する為に討伐ギルドが存在し、多くの冒険者が日々戦ってくれている。俺はそんな冒険者を目指すことにしたのだ。

 神から与えられたギフトのおかげで冒険者になっても不自由はしないだろうと思ったのだ。


 鑑定眼…名の通り見たものを鑑定し、詳細を知れるギフト。
 魔力操作(極)…魔法を発動する際に必要なエネルギーの操作や発動した魔法の制御が上手くなる。
 直感(中)…物事の判別がいい方向に向かいやすくなり、勘が鋭くなる。


 このギフトのお陰で家から抜け出すのは簡単になったし、調べたいことは直感ですぐ必要な本を選べることに気づいた。魔力操作も余計な消費がないおかげで無駄に体力が減ることも無くなった。

 節約してお小遣いも貯めて断捨離した際に売れた宝石や服の稼ぎもあるから暫くは不自由しないだろう。もっとしっかり体力がついたら冒険者の人達に戦い方を学んで、早く家から出よう。


 「アル君あまり無茶しちゃダメよ?」
 「パン屋さんは心配性だな~。」
 「ほら、形の悪いパンで悪いけど、持っていきなさい?お昼ご飯抜いちゃ体に悪いからね。」
 「やった、ありがとう!パン屋さんの干しブドウパン大好き!じゃあついでにサンドイッチも買おうかな。」
 「今日は玉子とハムチーズがあるわ。」
 「どっちも美味しいやつだ!」


 俺はウキウキしながらパン屋さんと話しながら店の中に入る。この世界は魔法石を原動力とした家電なんかが発展してるから、世界観は前世と違えと生活観はあまり変わらない気がする。

 俺のギフトが告げている…!ここのサンドイッチは最高に美味いとな!ワクワクしながらサンドイッチを購入して浮足立ちながら俺は図書館に向かうのであった。


 
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