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俺は冒険者として生きている
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しおりを挟む「……なにこれ?」
「君の保護者さんが採ってきてくれた秘薬の飲み薬だよ。遠慮せずに、ぐいっと!」
「こんな真っ黒でドブみたいな臭いしてんのが薬だと俺は認めない!!」
「文句言わないの!」
「ヤダヤダヤダヤダ!!」
ヨルダンの街から自宅へと介護含め帰宅した俺だったが、まだ傷は全然癒えてない。全回復まで数ヶ月はかかるだろうとのエルダの判断により、暫くは暇になるだろうなぁなんて軽く考えていた。
自然回復でも俺は問題ないと思っていても、やはり上級の冒険者が少ない世の中である。絶対に口に入れないという強い意志でエルダが飲ませようとする薬を拒絶する日々だ。頬にぐいぐいと押し付けられる黒い液体が薬だなんて俺は認めないぞ!
Ωのエルダには力で勝てるけど、エルダが騒ぐと俺の家に住み着いたハクア達が部屋に雪崩れこんでくる。ドブ臭い何かを嫌がる俺に説教をして力任せに口をこじ開けられ流し込まれる。
一番体格の良く力が強いコクヨウに羽交い締めにされ、コハクの大きな手で顎を固定され綺麗な指で口をこじ開けられる。悲鳴を上げる俺にお構いなしにハクアがドバドバと流し込んでくる……ハクアがハァハァしながらニヤついてやるから新手のプレイなんじゃないかと最近思ってる。
エルダはそんな俺をニコニコしながら見ているだけなのだ。君がドブ臭い何か以外の薬を作ってくれたら何も問題ないんだが。
「おげぇぇぇ……臭い……。」
「ハクア様がわざわざ準備して下さった材料で作ったんだよ?効果はてきめん!数ヶ月かけて治すより断然早いよ?」
「こんなん飲むなら数ヶ月かかったほうが精神的に優しいわいっ!そもそも何だ材料は!?永遠と口から臭いがする気がする…。」
「うむ、これは大海に住むキングクラーケンの墨とエンジェルスライムの核を砕いたものである。」
「それをコハクが丁寧に丁寧にこして混ぜて一つにまとめた物を~、オチビちゃんに~、あげたの~!」
ふふんっ!と得意気に胸を反らすコハクだが、そんなもの作らないでほしかった。何とも言えない生臭くてネチャッてる物は薬とは思えぬ毒々しい物になって俺に襲いかかる!あまりの臭いに初めて口に入れられた時、気絶したくらいにはキツイ逸品である。
まぁ、ハクアに教えてもらったんだけどキングクラーケンの墨には魔力を中和させる作用があり、エンジェルスライムの核には再生力を高める効能があるそうだ。それぞれが秘薬を作るのに必要な材料…それを簡単に採ってくるハクアはやはり規格外だなぁ…。
「味は我慢出来るから臭いのだけどうにかしてくれぇ~…。」
「泣くなアル、男ならば簡単に泣いては格好がつかねぇぞ?ほら飲め、直ぐに良くなるからな。」
「もう勘弁してくださいぃぃ!」
「ハーブとかで臭い消せたらいいけど、効能が薄まるといけないから我慢してね?それ飲み終わったらご褒美にケーキ持ってきてあげるから。」
「うえぇぇ~……頑張りますぅ~…。」
ご褒美ないとこんな苦行したくないが、俺は渋々泣きながら鼻を摘んで一気にドロドロを飲み込む。腐った魚の内臓をさらに発酵させたような臭いが喉からせり上がってくるのを必死に耐える。
こうして今日も拷問が終わり、精神的にぐったりしたまま俺は泣きながらケーキを頬張るのだった。毎日が辛いです。
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