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十九話 元の年を知ってるからだよね?……ロから始まる変態さんじゃないよね?

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それからは気が遠くなるくらい忙しかった。
私は毎日が着せ替え人形のように三人の女性に遊ばれた。……衣装合わせなんけども。絶対に遊ばれてる気がする。

そして長いようで短い一週間がすぎた。過ぎてしまった。
そう、今日は婚約式なるものだ。
一族の中の主たるものが集まるらしいの。
この広い屋敷に次々と魔族が集まる。ほとんどが人と変わらない姿だが、稀に角を持つの鬼のようだった。
でも怖くない。心から笑ってるのがわかるから。
怖いのは同じ人である人族だった。
処女か確かめるためだけに……死ぬほどの傷を平気で負わせ笑っていた。
私はママ(本当にママって呼ばされてます)とお姉様(と呼んでくれないと泣くと言われた)とラファさんの三人の作品に今徹しています。
長い髪は複雑に編まれ、ところどころ宝石が煌めく。 
聞いて驚け!
ピンクで統一とかよくわからない理由で髪を飾った宝石はピンクダイヤモンド!
首元にはピンク真珠だよ。ピンクサファイヤやモルガナイトなど、ピンクの宝石で花や蝶を型取りドレスをさらに華やかに。
上から下にかけてピンクのグラデーションのようにオーガンジーやシフォン生地で飾られる。ふんわりと軽く妖精さながらなドレスであります。
ドレスはミニでニーハイソックスは白のフリルの薄ピンクだ。
靴は濃いピンク。

「できましたわ。」
「可愛らしい。」
「気をつけないと攫われてしまうわ。」
「アキラは、用意できたか?」
「ええ。……兄様どう?」
「こ、これは。危険じゃないか?」
「バルさん、変?」
「いや、綺麗で可愛らしい。誰にも見せたくない。」
「ダメよ?もう。お披露目して貴方のだと表明しなければ。」
「……そうだな。私からアキラを奪うものは許さない。」

キラッと四人の目が怖く光る。
これをみると魔族って言うのを納得してしまう。でも、やっぱり、怖いとは感じない。
私はバルさんにエスコートされて広間へ。
ほーっという吐息がそこかしこで聞こえました。
うん。わかるよ!
バルさん、超カッコいい。
ほんと、わかるよ!皆さん。
うんうん、溜息でるよね。
でもね、誰にもあげません。
あげなくていいよね?あれ?魔族は一夫一妻?
違ったらどうしよう。
私はバルさん以外は、もう絶対に嫌だし。
私以外がバルさんにくっつくのすごく嫌!
ああ、もう私完全に惚れてるじゃん。バルさんのこと大好き過ぎじゃん。

婚姻式っていうからなんか誓ったりあるのかなって思ったけど。
本当にただのお披露目だけだった。
挨拶して、挨拶して、挨拶して……の繰り返し。
でも比較的皆んな好意的だった。
稀に綺麗な女性に睨まれるくらいだ。
でもその女性にも、精一杯にこやかに挨拶をすると表情が一変する。

「……可愛いい。」

と言われるようになる。
魔族は小さくて綺麗でかわいいものに目がないんだとか……。ってことは、保育園や幼稚園に連れて行ったらやばいってことだね!
終始にこやかにと宴はまわる。
夜もだんだん更けて、宴は深夜近くまで続いた。
私は限界でふとすると意識が飛びそうになる。それに気づいたバルさんが抱き上げて部屋に戻ることができた。
私は、とりあえずバルさんの婚約者として認めてもらえたのだろうか……?そんなことを考えながらベッドに降ろされた。
靴を脱がされ、靴下を脱がされたところで足に暖かく柔らかいものを感じた。バルさんが私の足にキスを……そ、それは。
私の愛読書のロマンス本「王子様に愛されすぎて」に書かれていた一説にあった。
うわあ生で体験!
やばすぎるよー。バルさん。
ほんとうにそのまま王子様なんだから。
話だとね……そのまま処女を王子に奪われるのだ。
『リチャード王子は私の足にキスをした。そのキスは次第に上に上がり始める。
「リチャード、やめて」
「でもあなたのここは私を求めているではありませんか?」
リチャード王子はそのまま大事な場所にまでキスを落とし、その行為はだんだんと淫らに激しさをます。私は甘くとろけさせられて……」

「アキラはなんで赤くなってるのかな?」

やば、飛んでました。……妄想してましたとは言えない。
それも小説のいけないシーンを思い出していたなんて。

「ふふ、今日は少しだけ大人のレッスンを進めようか?」

そう、忙しい中……昼間はレッスンとして魔族に関して勉強したり、字は読めないので字を絵本で教えてもらったり(ママに読んでもらっちゃった)。
あと、魔族の長?としてのマナーを教えてもらったりした。
夜は、バルさんの大人へのレッスン……。
要は、ラブラブエッチのためのレッスンだ。
私が怯えないように少しずつ少しずつ……トラウマを解していった。
バルさんのキスが上に上がって……ドレスはいつのまにか、脱がされていた。
どれだけ妄想に浸っていたんやー!
それともバルさんの手際がいいの?

「アキラ、バルと呼んで?さんはいらない。今日からは本当に婚約者として扱うよ?
ふふ、魔族の婚約は結婚と変わらない。今日、血を交換しただろ?」
「ん、うん。」

足の付け根にキスをしながらバルさ……バルがしゃべる。……だめ、そこで喋らないでほしい。
誓いはなかったけど……キスを皆に披露した。
恥ずかしいけど、それは絶対って。
バルの尖った歯で私の唇と自分の唇を傷つけ血を出した。キスの間、血を舐め合う。随分と獣的な儀式。でもバルの血は甘くて……。

「あれでね、ゆっくりとアキラの体が変わる。」
「か、かわっ、んん。る?」
「そうだ。大人までの体の成長が早まり成熟した途端にゆっくりになる。そして、夫である私と同じ寿命……。」
「ば、バルと?」
「そう。だからもう……アキラは私から逃げられない。」
「に、逃げないよう。だ、だって。大好きなんだもん。」

えっ?バルが真っ赤!うわっ。バルでも赤くなるの?いやん。ギャップ萌えってこれ?コレね!
すごく大人でかっこよくて頼り甲斐があるバルが真っ赤。
あ、顔隠してる。
見たいのに!

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