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第11話 最強パパの不在と、家庭教師の「特別授業」
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別れの朝は、重苦しい曇天だった。 公爵邸の正門前には、遠征用の装備を整えた精鋭騎士団が整列し、その中心にアレクセイが立っている。 彼は漆黒の軍用マントを羽織り、腰には魔剣「氷狼(フェンリル)」を佩いていた。 その姿は、私を溺愛する甘い夫ではなく、国を守る「氷の公爵」そのものだった。
「……行ってくる、レティシア」
アレクセイが私に向き直る。 その表情は硬い。 国境付近での帝国軍の不穏な動き。それが単なる演習なのか、あるいは侵攻の前触れなのかを見極め、場合によっては牽制するのが今回の任務だ。 期間は一週間から十日。 私たちにとっては、再会してから初めての長期の別離となる。
「ご武運をお祈りしています、アレクセイ様。……どうか、ご無理だけはなさらないでください」
私が気丈に振る舞うと、彼は苦しげに顔を歪めた。
「本音を言えば、行きたくない。一分一秒でも、君とシオンの側にいたい」
彼は周囲の視線も気にせず、私を強く抱きしめた。 冷たい鎧の感触。でも、その奥にある体温は熱い。
「だが、君たちの平穏な暮らしを守るためには、外の脅威を排除しなければならない。……屋敷の守りは鉄壁にしてある。ヴィクトルもいる。何かあれば、すぐに俺に連絡が届くようになっている」
「はい。私とシオンのことは心配しないでください。留守はしっかりと守ります」
「……いい子だ」
彼は私の額に口づけを落とし、それから私の腕の中にいるシオンに視線を移した。
「シオン。パパがいない間、ママを守ってくれるか?」
「あい! まかせて!(ドンッ)」
シオンは小さな胸を叩いてみせた。 その頼もしい姿に、アレクセイはようやく微かに微笑んだ。
「頼んだぞ、小さな騎士殿」
アレクセイはシオンの頭を撫で、そして最後に、傍らに控えていたヴィクトルへと向き直った。
「ヴィクトル。……家族を頼む。俺が最も信頼する友である、お前にしか頼めない」
アレクセイの言葉には、一点の曇りもない信頼が込められていた。 ヴィクトルは恭しく一礼した。 片眼鏡の奥の瞳を細め、柔和な笑みを浮かべて。
「承知いたしました、公爵閣下。貴方の命に代えても守るべき宝、このヴィクトルが責任を持ってお預かりします。……私の命が尽きようとも、指一本触れさせませんよ」
「ああ。感謝する」
アレクセイはヴィクトルの肩を叩き、そして翻った。 馬上の人となり、騎士団と共に霧の中へと消えていく背中。 私はそれが見えなくなるまで手を振り続けた。
胸の奥に、冷たい石のような不安が残る。 それは、夫の身を案じる気持ちだけではない。 背後に立つ、この「信頼できる友人」から漂う、言いようのない違和感への警鐘だった。
「……さて、奥様」
ヴィクトルの声が、耳元でねっとりと響いた。
「旦那様も発たれました。これからしばらくの間、私が皆様のナイトを務めさせていただきます。……まずは、シオン様の午前の授業を始めましょうか」
彼は優雅に微笑んだ。 しかし、その影が、曇り空の下で一瞬だけ異形に歪んだのを、私は見逃さなかった。
◆
公爵邸の子供部屋。 かつてピンク一色だったこの部屋も、シオンの精神衛生を考慮して(という名目で、シオンが魔法でこっそり改変して)、今は落ち着いたアイボリー基調の部屋になっている。 その部屋で、シオンとヴィクトルのマンツーマン授業が始まった。
私は「お茶の用意を」という口実で部屋に入り浸ろうとしたが、ヴィクトルに「集中力の妨げになりますので」と丁重に、しかし断固として追い出されてしまった。 仕方なく、私はドアの隙間に聴診器のような魔道具(自作)を当てて、中の様子を伺うことにした。
部屋の中。 小さなテーブルを挟んで、一歳児と家庭教師が対峙していた。
「さて、シオン様。今日は何をして遊びましょうか」
ヴィクトルは、美しい装丁の絵本を取り出した。 タイトルは『勇者と魔王の伝説』。 子供なら誰もが知っている、お伽話だ。
「……これ、よむ」
シオンは警戒心を隠し、無邪気な幼児を演じて絵本を指差した。
「いいですね。では、読みましょう」
ヴィクトルは流暢な語り口で読み始めた。
『むかしむかし、あるところに、世界を救う宿命を背負った勇者がいました。勇者はとても強くて、優しくて、みんなの人気者でした』
ページをめくる。 勇者が仲間たちと旅をし、魔物を倒していく絵が描かれている。
『でもね、シオン様。……勇者は本当に幸せだったのでしょうか?』
ヴィクトルが、ふと読み聞かせを止めて、シオンに問いかけた。 その声のトーンが、一段低くなる。
『みんなの期待を背負って、戦い続けて。血と泥に塗れて。……仲間たちは彼を称賛しましたが、本当の意味で彼の孤独を理解した者はいませんでした。彼は「勇者」という便利な道具でしかなかったのですから』
シオンの手が、ピクリと止まる。
『愛する者も、守るべき場所も、すべて戦火の中に消えていく。……救ったはずの世界の人々は、平和になった途端、強すぎる力を恐れて勇者を迫害しました。悲しいですねぇ。命を懸けて守ったのに、裏切られるなんて』
それは、絵本には書かれていない内容だ。 しかし、シオンにとっては、前世の記憶を鋭利な刃物でえぐられるような言葉だった。 (……こいつ、知っていやがる)
シオンは心の中で歯ぎしりした。 前世の勇者としての最期。 魔王と相打ちになった後、国はどうなったのか。仲間たちはどうなったのか。 シオンは知らない。 だが、ヴィクトルの口ぶりは、まるでその後の悲劇を見てきたかのように残酷で、リアリティがあった。
「……ゆうしゃ、かわいそう?」
シオンは首を傾げて尋ねた。
「ええ、可哀想ですとも」
ヴィクトルは目を細め、シオンの小さな手を握った。 その手は氷のように冷たく、そして湿っていた。
「だからこそ、今度は間違えてはいけません。……力を持つ者は、その力を他人のために使うのではなく、自分のために使うべきなのです。支配するために。君臨するために」
ヴィクトルの瞳孔が、爬虫類のように縦に裂ける。 彼はシオンの耳元で囁いた。
「ねえ、英雄殿。……その小さな体で、くだらない『おままごと』をしていて楽しいですか? 貴方の本当の力は、こんな狭い部屋に収まるものではないでしょう? 解放しなさい。貴方の内なる闇を」
ドクン。 シオンの心臓が早鐘を打つ。 ヴィクトルの言葉には、精神干渉の魔法(マインド・ハック)が乗せられていた。 甘美で、抗いがたい誘惑の響き。 前世の無念、孤独、怒り……心の奥底に封印していた負の感情が、揺り動かされる。
(くっ……! これは、闇属性の精神汚染……!)
シオンは必死に自我を保とうとした。 赤ちゃんの脳は未発達だ。大人の精神を持っていても、脳の構造的な脆さは否めない。 そこを狙い撃ちにされている。
『パパ……ママ……!』
家族の顔を思い浮かべる。 アレクセイの不器用な笑顔。レティシアの温かい抱擁。 今の自分には、守るべきものがある。愛してくれる人がいる。 前世のような孤独な道具じゃない。
シオンは、ヴィクトルの手を振り払った。 「やー!!」
全力で拒絶の叫びを上げる。 同時に、自身の魔力を爆発させ、ヴィクトルの精神干渉を弾き飛ばした。
バヂィッ!!
空中で火花が散る。 ヴィクトルは驚いたように手を引っ込め、少しだけ顔をしかめた。
「……おや。予想以上に頑固ですね」
彼は指先を焦がした魔力の残滓を見つめ、ニヤリと笑った。
「ですが、焦る必要はありません。種は蒔きました。……貴方の心の闇が育つのを、ゆっくりと待つとしましょう」
その時、ドアが勢いよく開いた。
「失礼します! おやつの時間です!」
私がトレイを持って飛び込んだ。 聴診器越しに聞こえたシオンの叫び声に、居ても立ってもいられなくなったのだ。
部屋の中の空気は、一瞬で変わった。 ヴィクトルは瞬時に柔和な家庭教師の仮面を被り、立ち上がった。
「おや、奥様。タイミングが良いですね。ちょうど絵本を読み終えたところです」
「……シオン、大丈夫?」
私はシオンに駆け寄った。 シオンは私のエプロンにしがみつき、ブルブルと震えている。 その顔色は悪い。
「怖い絵本だったみたいで……少し刺激が強かったかもしれません」
ヴィクトルは悪びれずに言った。 私は彼を睨みつけた。
「ヴィクトル先生。一歳児にトラウマを植え付けるような教育は、当家の方針には合いません。以後は控えてください」
「承知しました。……シオン様の感受性がこれほど豊かだとは、私の計算違いでした。申し訳ありません」
彼は深々と頭を下げたが、その背中からは微塵も反省の色が感じられなかった。 むしろ、楽しんでいる。 この男は、危険だ。
◆
その日の夜。 シオンを寝かしつけた後、私は自室の薬調合スペースに篭っていた。 机の上には、様々な薬草や鉱石が並べられている。
(普通の人間じゃない)
薬師としての直感が告げている。 ヴィクトルから漂う気配は、人間特有の生体エネルギーとは異質だ。 もっと冷たく、澱んでいて、それでいて底知れない。 まるで、かつて森の奥で遭遇した「腐敗した沼」のような……いや、もっと悪意のある何か。
彼がシオンに何をしようとしているのかはわからない。 でも、守らなければならない。 アレクセイがいない今、シオンを守れるのは私だけだ。
私は一つの小瓶を手に取った。 中に入っているのは、透明な液体。 『聖水の濃縮液』に、『破魔の香草』のエキスを混ぜたものだ。 村では「悪霊退散スプレー」として売っていたが、これをもっと強化する必要がある。
「……相手が魔物や悪魔なら、これが効くはず」
私はさらに、自分の血を一滴垂らした。 レティシアの体には、微弱だが浄化の魔力が宿っている。 母の愛と執念を込めた、対ヴィクトル用特製ポーションの完成だ。
その時、廊下から微かな物音がした。 シオンの部屋の方だ。 私は小瓶を握りしめ、音を立てずに部屋を出た。
廊下は静まり返っている。 月明かりだけが頼りだ。 シオンの部屋の前まで来ると、ドアの隙間から、紫色の淡い光が漏れているのが見えた。
(まさか!)
私はドアを蹴破る勢いで開けた。
「シオン!」
部屋の中には、シオンがベッドの上に立ち上がり、小さな両手を前に突き出していた。 その周囲には、無数の魔法陣が展開されている。 そして、窓際の闇の中に、ヴィクトルが立っていた。 いや、立っていたのはヴィクトルだが、その影は部屋全体を覆うほど巨大に膨れ上がり、無数の触手を伸ばしていた。
「……おや。夜更かしはお肌に悪いですよ、奥様」
ヴィクトルが振り返る。 その顔は笑っていたが、目は完全に人間のものではなかった。 赤く発光するその瞳は、見るだけで精神を蝕むような恐怖を放っていた。
「貴様……! 正体を現したわね!」
私は恐怖を押し殺し、一歩踏み出した。
「シオンから離れなさい!」
「離れる? ふふ、私はただ、夜泣きをするシオン様をあやしに来ただけですよ。……少し、彼の中身(魂)をいただこうかと思いましてね」
ヴィクトルの影から伸びた触手が、シオンに襲いかかる。 シオンは結界で防いでいるが、徐々に押されている。 大人の魔術師(しかも化け物クラス)と、赤ちゃんの魔力容量では、持久戦になれば不利だ。
「させるかッ!」
私は握りしめていた小瓶を、ヴィクトルに向けて全力で投擲した。 かつて、村の子供たちとの雪合戦で鍛えたコントロールは伊達じゃない。 小瓶は美しい放物線を描き、ヴィクトルの顔面に直撃した。
パリンッ!
「ぐあッ!?」
液体がかかった瞬間、ヴィクトルの顔から白煙が上がった。 『聖水濃縮液』の効果だ。 彼の皮膚がジュワジュワと焼けただれるような音を立てる。
「こ、これは……聖水!? ただの人間ごときが、なぜ高純度の聖水を……!」
ヴィクトルが苦悶の声を上げて顔を覆う。 影の触手が霧散する。
「ただの人間じゃないわ! 私は『母親』よ!」
私はその隙にシオンのもとへ駆け寄り、彼を抱き上げた。
「シオン、大丈夫!?」
「ママ……!」
シオンは私の首にしがみついた。 全身が汗でびっしょりだ。 一人で戦っていたのだ。こんな化け物を相手に。
「おのれ……!」
ヴィクトルが顔を上げた。 火傷の痕は、見る間に再生していく。 やはり人間ではない。 彼は怒りに歪んだ形相で私を睨んだ。
「興が削がれましたね。……ですが、私の正体を知った以上、生かしておくわけにはいきません」
彼の手から、漆黒の雷が放たれようとした、その時。
『警告。屋敷内の魔力濃度が規定値を超過。自動防衛システム、起動』
無機質なアナウンスが響いた。 アレクセイが設置していった『害意感知式自動迎撃結界』だ。 ヴィクトルの殺気がトリガーとなり、屋敷全体の防衛機能が作動したのだ。
廊下の天井から、無数の氷柱(つらら)が出現し、ヴィクトルに照準を合わせる。
「チッ……。アレクセイめ、面倒な仕掛けを残していったな」
ヴィクトルは舌打ちをした。 このまま戦闘を続ければ、屋敷ごと吹き飛びかねない。 そして、アレクセイがすぐに転移して戻ってくる可能性もある。
「……いいでしょう。今夜は引きます」
彼はスッと殺気を消した。 すると、防衛システムの氷柱も消滅した。
「ですが、覚えておいてください。この屋敷はすでに私の『巣』です。逃げ場はありませんよ」
彼は闇に溶けるようにして姿を消した。 残されたのは、私とシオンだけ。
私はへたり込みそうになる足を踏ん張り、シオンを強く抱きしめた。
「……怖かったね。ごめんね、気づくのが遅くて」
「ママ……たすけてくれて、ありがとう」
シオンの小さな手が、私の頬を撫でる。
『ママ、すごかったよ。あの聖水ビンタ、クリティカルヒットだった』
シオンの心の声が聞こえる。 少しだけ震えているが、いつもの調子だ。
『でも、あいつはまだ本気じゃない。僕を精神的に追い詰めて、自滅させるのが狙いみたいだ』
『自滅なんてさせない。私が絶対に守るわ』
『うん。……僕たち二人で、パパが帰ってくるまで持ちこたえよう』
私たちは暗い部屋で、固く誓い合った。 敵は家の中にいる。 最強のパパはいない。 頼れるのは、お互いの知恵と勇気、そして母の愛と息子の前世スキルだけ。
窓の外では、月が黒い雲に覆われようとしていた。 長い、長い夜が始まったばかりだった。
◆
翌朝。 食卓には、何事もなかったかのようにヴィクトルが座っていた。 顔の火傷は跡形もなく消え、いつもの涼しい笑顔で紅茶を飲んでいる。
「おはようございます、奥様、シオン様。昨夜はよく眠れましたか?」
白々しい。 私は彼を無視して席に着きたい衝動を抑え、にっこりと微笑み返した。
「ええ、おかげさまで。……ただ、部屋に大きな『害虫』が出たので、駆除するのに少し手間取りましたわ」
「それは災難でしたね。……次からは、もっと強力な殺虫剤が必要かもしれませんよ?」
「ご心配なく。とっておきの『劇薬』を用意しておきますから」
火花散る朝の挨拶。 給仕をするメイドたちは、なぜか室温が下がっていることに首を傾げていた。
シオンは黙々とパンケーキを食べているが、その足元では、影魔法による罠をテーブルの下に張り巡らせている最中だった。 ヴィクトルの靴紐を影で結んで転ばせるという、地味だが精神的ダメージを与える作戦である。
(負けないわよ、化け物家庭教師) (首を洗って待ってな、魔王もどき)
レティシアとシオンの、仁義なき家庭内戦争が幕を開けた。
「……行ってくる、レティシア」
アレクセイが私に向き直る。 その表情は硬い。 国境付近での帝国軍の不穏な動き。それが単なる演習なのか、あるいは侵攻の前触れなのかを見極め、場合によっては牽制するのが今回の任務だ。 期間は一週間から十日。 私たちにとっては、再会してから初めての長期の別離となる。
「ご武運をお祈りしています、アレクセイ様。……どうか、ご無理だけはなさらないでください」
私が気丈に振る舞うと、彼は苦しげに顔を歪めた。
「本音を言えば、行きたくない。一分一秒でも、君とシオンの側にいたい」
彼は周囲の視線も気にせず、私を強く抱きしめた。 冷たい鎧の感触。でも、その奥にある体温は熱い。
「だが、君たちの平穏な暮らしを守るためには、外の脅威を排除しなければならない。……屋敷の守りは鉄壁にしてある。ヴィクトルもいる。何かあれば、すぐに俺に連絡が届くようになっている」
「はい。私とシオンのことは心配しないでください。留守はしっかりと守ります」
「……いい子だ」
彼は私の額に口づけを落とし、それから私の腕の中にいるシオンに視線を移した。
「シオン。パパがいない間、ママを守ってくれるか?」
「あい! まかせて!(ドンッ)」
シオンは小さな胸を叩いてみせた。 その頼もしい姿に、アレクセイはようやく微かに微笑んだ。
「頼んだぞ、小さな騎士殿」
アレクセイはシオンの頭を撫で、そして最後に、傍らに控えていたヴィクトルへと向き直った。
「ヴィクトル。……家族を頼む。俺が最も信頼する友である、お前にしか頼めない」
アレクセイの言葉には、一点の曇りもない信頼が込められていた。 ヴィクトルは恭しく一礼した。 片眼鏡の奥の瞳を細め、柔和な笑みを浮かべて。
「承知いたしました、公爵閣下。貴方の命に代えても守るべき宝、このヴィクトルが責任を持ってお預かりします。……私の命が尽きようとも、指一本触れさせませんよ」
「ああ。感謝する」
アレクセイはヴィクトルの肩を叩き、そして翻った。 馬上の人となり、騎士団と共に霧の中へと消えていく背中。 私はそれが見えなくなるまで手を振り続けた。
胸の奥に、冷たい石のような不安が残る。 それは、夫の身を案じる気持ちだけではない。 背後に立つ、この「信頼できる友人」から漂う、言いようのない違和感への警鐘だった。
「……さて、奥様」
ヴィクトルの声が、耳元でねっとりと響いた。
「旦那様も発たれました。これからしばらくの間、私が皆様のナイトを務めさせていただきます。……まずは、シオン様の午前の授業を始めましょうか」
彼は優雅に微笑んだ。 しかし、その影が、曇り空の下で一瞬だけ異形に歪んだのを、私は見逃さなかった。
◆
公爵邸の子供部屋。 かつてピンク一色だったこの部屋も、シオンの精神衛生を考慮して(という名目で、シオンが魔法でこっそり改変して)、今は落ち着いたアイボリー基調の部屋になっている。 その部屋で、シオンとヴィクトルのマンツーマン授業が始まった。
私は「お茶の用意を」という口実で部屋に入り浸ろうとしたが、ヴィクトルに「集中力の妨げになりますので」と丁重に、しかし断固として追い出されてしまった。 仕方なく、私はドアの隙間に聴診器のような魔道具(自作)を当てて、中の様子を伺うことにした。
部屋の中。 小さなテーブルを挟んで、一歳児と家庭教師が対峙していた。
「さて、シオン様。今日は何をして遊びましょうか」
ヴィクトルは、美しい装丁の絵本を取り出した。 タイトルは『勇者と魔王の伝説』。 子供なら誰もが知っている、お伽話だ。
「……これ、よむ」
シオンは警戒心を隠し、無邪気な幼児を演じて絵本を指差した。
「いいですね。では、読みましょう」
ヴィクトルは流暢な語り口で読み始めた。
『むかしむかし、あるところに、世界を救う宿命を背負った勇者がいました。勇者はとても強くて、優しくて、みんなの人気者でした』
ページをめくる。 勇者が仲間たちと旅をし、魔物を倒していく絵が描かれている。
『でもね、シオン様。……勇者は本当に幸せだったのでしょうか?』
ヴィクトルが、ふと読み聞かせを止めて、シオンに問いかけた。 その声のトーンが、一段低くなる。
『みんなの期待を背負って、戦い続けて。血と泥に塗れて。……仲間たちは彼を称賛しましたが、本当の意味で彼の孤独を理解した者はいませんでした。彼は「勇者」という便利な道具でしかなかったのですから』
シオンの手が、ピクリと止まる。
『愛する者も、守るべき場所も、すべて戦火の中に消えていく。……救ったはずの世界の人々は、平和になった途端、強すぎる力を恐れて勇者を迫害しました。悲しいですねぇ。命を懸けて守ったのに、裏切られるなんて』
それは、絵本には書かれていない内容だ。 しかし、シオンにとっては、前世の記憶を鋭利な刃物でえぐられるような言葉だった。 (……こいつ、知っていやがる)
シオンは心の中で歯ぎしりした。 前世の勇者としての最期。 魔王と相打ちになった後、国はどうなったのか。仲間たちはどうなったのか。 シオンは知らない。 だが、ヴィクトルの口ぶりは、まるでその後の悲劇を見てきたかのように残酷で、リアリティがあった。
「……ゆうしゃ、かわいそう?」
シオンは首を傾げて尋ねた。
「ええ、可哀想ですとも」
ヴィクトルは目を細め、シオンの小さな手を握った。 その手は氷のように冷たく、そして湿っていた。
「だからこそ、今度は間違えてはいけません。……力を持つ者は、その力を他人のために使うのではなく、自分のために使うべきなのです。支配するために。君臨するために」
ヴィクトルの瞳孔が、爬虫類のように縦に裂ける。 彼はシオンの耳元で囁いた。
「ねえ、英雄殿。……その小さな体で、くだらない『おままごと』をしていて楽しいですか? 貴方の本当の力は、こんな狭い部屋に収まるものではないでしょう? 解放しなさい。貴方の内なる闇を」
ドクン。 シオンの心臓が早鐘を打つ。 ヴィクトルの言葉には、精神干渉の魔法(マインド・ハック)が乗せられていた。 甘美で、抗いがたい誘惑の響き。 前世の無念、孤独、怒り……心の奥底に封印していた負の感情が、揺り動かされる。
(くっ……! これは、闇属性の精神汚染……!)
シオンは必死に自我を保とうとした。 赤ちゃんの脳は未発達だ。大人の精神を持っていても、脳の構造的な脆さは否めない。 そこを狙い撃ちにされている。
『パパ……ママ……!』
家族の顔を思い浮かべる。 アレクセイの不器用な笑顔。レティシアの温かい抱擁。 今の自分には、守るべきものがある。愛してくれる人がいる。 前世のような孤独な道具じゃない。
シオンは、ヴィクトルの手を振り払った。 「やー!!」
全力で拒絶の叫びを上げる。 同時に、自身の魔力を爆発させ、ヴィクトルの精神干渉を弾き飛ばした。
バヂィッ!!
空中で火花が散る。 ヴィクトルは驚いたように手を引っ込め、少しだけ顔をしかめた。
「……おや。予想以上に頑固ですね」
彼は指先を焦がした魔力の残滓を見つめ、ニヤリと笑った。
「ですが、焦る必要はありません。種は蒔きました。……貴方の心の闇が育つのを、ゆっくりと待つとしましょう」
その時、ドアが勢いよく開いた。
「失礼します! おやつの時間です!」
私がトレイを持って飛び込んだ。 聴診器越しに聞こえたシオンの叫び声に、居ても立ってもいられなくなったのだ。
部屋の中の空気は、一瞬で変わった。 ヴィクトルは瞬時に柔和な家庭教師の仮面を被り、立ち上がった。
「おや、奥様。タイミングが良いですね。ちょうど絵本を読み終えたところです」
「……シオン、大丈夫?」
私はシオンに駆け寄った。 シオンは私のエプロンにしがみつき、ブルブルと震えている。 その顔色は悪い。
「怖い絵本だったみたいで……少し刺激が強かったかもしれません」
ヴィクトルは悪びれずに言った。 私は彼を睨みつけた。
「ヴィクトル先生。一歳児にトラウマを植え付けるような教育は、当家の方針には合いません。以後は控えてください」
「承知しました。……シオン様の感受性がこれほど豊かだとは、私の計算違いでした。申し訳ありません」
彼は深々と頭を下げたが、その背中からは微塵も反省の色が感じられなかった。 むしろ、楽しんでいる。 この男は、危険だ。
◆
その日の夜。 シオンを寝かしつけた後、私は自室の薬調合スペースに篭っていた。 机の上には、様々な薬草や鉱石が並べられている。
(普通の人間じゃない)
薬師としての直感が告げている。 ヴィクトルから漂う気配は、人間特有の生体エネルギーとは異質だ。 もっと冷たく、澱んでいて、それでいて底知れない。 まるで、かつて森の奥で遭遇した「腐敗した沼」のような……いや、もっと悪意のある何か。
彼がシオンに何をしようとしているのかはわからない。 でも、守らなければならない。 アレクセイがいない今、シオンを守れるのは私だけだ。
私は一つの小瓶を手に取った。 中に入っているのは、透明な液体。 『聖水の濃縮液』に、『破魔の香草』のエキスを混ぜたものだ。 村では「悪霊退散スプレー」として売っていたが、これをもっと強化する必要がある。
「……相手が魔物や悪魔なら、これが効くはず」
私はさらに、自分の血を一滴垂らした。 レティシアの体には、微弱だが浄化の魔力が宿っている。 母の愛と執念を込めた、対ヴィクトル用特製ポーションの完成だ。
その時、廊下から微かな物音がした。 シオンの部屋の方だ。 私は小瓶を握りしめ、音を立てずに部屋を出た。
廊下は静まり返っている。 月明かりだけが頼りだ。 シオンの部屋の前まで来ると、ドアの隙間から、紫色の淡い光が漏れているのが見えた。
(まさか!)
私はドアを蹴破る勢いで開けた。
「シオン!」
部屋の中には、シオンがベッドの上に立ち上がり、小さな両手を前に突き出していた。 その周囲には、無数の魔法陣が展開されている。 そして、窓際の闇の中に、ヴィクトルが立っていた。 いや、立っていたのはヴィクトルだが、その影は部屋全体を覆うほど巨大に膨れ上がり、無数の触手を伸ばしていた。
「……おや。夜更かしはお肌に悪いですよ、奥様」
ヴィクトルが振り返る。 その顔は笑っていたが、目は完全に人間のものではなかった。 赤く発光するその瞳は、見るだけで精神を蝕むような恐怖を放っていた。
「貴様……! 正体を現したわね!」
私は恐怖を押し殺し、一歩踏み出した。
「シオンから離れなさい!」
「離れる? ふふ、私はただ、夜泣きをするシオン様をあやしに来ただけですよ。……少し、彼の中身(魂)をいただこうかと思いましてね」
ヴィクトルの影から伸びた触手が、シオンに襲いかかる。 シオンは結界で防いでいるが、徐々に押されている。 大人の魔術師(しかも化け物クラス)と、赤ちゃんの魔力容量では、持久戦になれば不利だ。
「させるかッ!」
私は握りしめていた小瓶を、ヴィクトルに向けて全力で投擲した。 かつて、村の子供たちとの雪合戦で鍛えたコントロールは伊達じゃない。 小瓶は美しい放物線を描き、ヴィクトルの顔面に直撃した。
パリンッ!
「ぐあッ!?」
液体がかかった瞬間、ヴィクトルの顔から白煙が上がった。 『聖水濃縮液』の効果だ。 彼の皮膚がジュワジュワと焼けただれるような音を立てる。
「こ、これは……聖水!? ただの人間ごときが、なぜ高純度の聖水を……!」
ヴィクトルが苦悶の声を上げて顔を覆う。 影の触手が霧散する。
「ただの人間じゃないわ! 私は『母親』よ!」
私はその隙にシオンのもとへ駆け寄り、彼を抱き上げた。
「シオン、大丈夫!?」
「ママ……!」
シオンは私の首にしがみついた。 全身が汗でびっしょりだ。 一人で戦っていたのだ。こんな化け物を相手に。
「おのれ……!」
ヴィクトルが顔を上げた。 火傷の痕は、見る間に再生していく。 やはり人間ではない。 彼は怒りに歪んだ形相で私を睨んだ。
「興が削がれましたね。……ですが、私の正体を知った以上、生かしておくわけにはいきません」
彼の手から、漆黒の雷が放たれようとした、その時。
『警告。屋敷内の魔力濃度が規定値を超過。自動防衛システム、起動』
無機質なアナウンスが響いた。 アレクセイが設置していった『害意感知式自動迎撃結界』だ。 ヴィクトルの殺気がトリガーとなり、屋敷全体の防衛機能が作動したのだ。
廊下の天井から、無数の氷柱(つらら)が出現し、ヴィクトルに照準を合わせる。
「チッ……。アレクセイめ、面倒な仕掛けを残していったな」
ヴィクトルは舌打ちをした。 このまま戦闘を続ければ、屋敷ごと吹き飛びかねない。 そして、アレクセイがすぐに転移して戻ってくる可能性もある。
「……いいでしょう。今夜は引きます」
彼はスッと殺気を消した。 すると、防衛システムの氷柱も消滅した。
「ですが、覚えておいてください。この屋敷はすでに私の『巣』です。逃げ場はありませんよ」
彼は闇に溶けるようにして姿を消した。 残されたのは、私とシオンだけ。
私はへたり込みそうになる足を踏ん張り、シオンを強く抱きしめた。
「……怖かったね。ごめんね、気づくのが遅くて」
「ママ……たすけてくれて、ありがとう」
シオンの小さな手が、私の頬を撫でる。
『ママ、すごかったよ。あの聖水ビンタ、クリティカルヒットだった』
シオンの心の声が聞こえる。 少しだけ震えているが、いつもの調子だ。
『でも、あいつはまだ本気じゃない。僕を精神的に追い詰めて、自滅させるのが狙いみたいだ』
『自滅なんてさせない。私が絶対に守るわ』
『うん。……僕たち二人で、パパが帰ってくるまで持ちこたえよう』
私たちは暗い部屋で、固く誓い合った。 敵は家の中にいる。 最強のパパはいない。 頼れるのは、お互いの知恵と勇気、そして母の愛と息子の前世スキルだけ。
窓の外では、月が黒い雲に覆われようとしていた。 長い、長い夜が始まったばかりだった。
◆
翌朝。 食卓には、何事もなかったかのようにヴィクトルが座っていた。 顔の火傷は跡形もなく消え、いつもの涼しい笑顔で紅茶を飲んでいる。
「おはようございます、奥様、シオン様。昨夜はよく眠れましたか?」
白々しい。 私は彼を無視して席に着きたい衝動を抑え、にっこりと微笑み返した。
「ええ、おかげさまで。……ただ、部屋に大きな『害虫』が出たので、駆除するのに少し手間取りましたわ」
「それは災難でしたね。……次からは、もっと強力な殺虫剤が必要かもしれませんよ?」
「ご心配なく。とっておきの『劇薬』を用意しておきますから」
火花散る朝の挨拶。 給仕をするメイドたちは、なぜか室温が下がっていることに首を傾げていた。
シオンは黙々とパンケーキを食べているが、その足元では、影魔法による罠をテーブルの下に張り巡らせている最中だった。 ヴィクトルの靴紐を影で結んで転ばせるという、地味だが精神的ダメージを与える作戦である。
(負けないわよ、化け物家庭教師) (首を洗って待ってな、魔王もどき)
レティシアとシオンの、仁義なき家庭内戦争が幕を開けた。
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