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「リ、リヴァ……お前……どこからその娘さんを誘拐してきましたか!?」
「勝手に俺を罪人にしてんじゃねーよ! てめぇーには肉を食わせてやらねえからな!?」
「え、リヴァちゃん、俺様にお肉くれるの?」

 鶏牛からドロップしたのは、念願の肉だった。
 見た感じだと鶏肉のほう。たぶん二キロぐらいある。

 背負い袋に突っ込んで急いでやって来たのは教会だ。

「モンスターからドロップしたんだ」
「十一階で狩りをしたのか。はぁー、やったじゃねえか。あの階層のモンスターから肉をドロップする確率は、結構低いからな」
「やっぱそうなのか。結構長い時間狩りまくってやっとだぜ。はぁ、夜通し狩りをして眠い」
「うぅぅ、ふわあぁあ」

 セシリアも眠いようだ。
 だがせっかくの肉! すぐ料理したい。すぐ食いたい!

「鶏肉なら唐揚げにしたいが……塩しかねえもんなぁ」
「からあげ? なんだそりゃ」
「せめて胡椒でもあればなぁ」
「おい、俺様の話を聞いてくださいお願いします。ちなみに胡椒はねえが……これならあるぜ」

 そう言って神父が白い粉を持って来た。

「それヤベぇ粉か?」
「小麦粉だ、小麦粉! ヤベぇってなんだよ。どこでそんな知識付けてくんのか」

 主に前世だけど、地下街にだってヤバい粉はいくらでも流通してるじゃん。

 塩と小麦粉かぁ。
 水で溶いた小麦粉をうすーくつけて、そこに塩をまぶすか。

「ん、ん」
「なんだセシリア?」
「ん。おしょー」

 和尚?
 しおしおの黒い粒を差し出してきた。
 なんか……見覚えがあるような。

「お、おいそれ。胡椒の実じゃねえか? 俺様も見るのは久しぶりだぜ」
「え、胡椒!? セシリア、これ胡椒なのか?」
「はいっ」
「お前、凄い奴だな。最高かよ」

 頭をわしわしと撫でまわすと、セシリアは真っ赤な顔をして笑みを浮かべた。

 これが胡椒の実なら、中身を出さなきゃならないんだよな。
 ──と思ったら、神父がすり鉢とすり棒を持って待機している。

「セ、セシリア。どのくらい使ってもいい?」
「ん」

 彼女は鞄から小さな巾着を取り出して、そこから黒い粒をすり鉢に注いでいく。
 結局巾着の中身全部出してしまった。大匙一杯分ぐらいかな。

「全部出していいのかよ」
「ん。ん、んんー……ま……まとぁ、とっえうう」

 聞き取りにくいけど、また取ってくる、かな?

「よぉし、パパごりごりしちゃうぞー」
「誰がパパだよ、気色わりぃな生臭坊主。セシリア、言っとくけどこいつと俺は赤の他人だからな」
「ぅ……は、はい」
「やだなぁ、俺様とお前の仲じゃないですかー」

 肉のために必死だな。
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