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調べものついでにログアウト。
あと連続プレイ時間がどうとかって、赤いシステムメッセージが浮かんだのもあって。
そして俺は知った。
「晩御飯……食べ損ねた?」
自室の時計は午後十一時を過ぎてる。
一階に降りていくと、母さんが起きていた。
俺の為に?
そんな訳はない。
録り溜めていた昼ドラをいっき見しているだけだ。
「母さん、ご飯残ってる?」
「カレー」
「あ、うん」
「また新しい物、買ったのぉ? その手で?」
「いや、あー、うん。今度はVRゲーム」
見ていたドラマを停止させた母さんが振り向き、驚いた顔で俺を見る。
「あんたがゲーム!? え、珍しい。子供の頃に買ってやったRPGだってクリアしたことが無いってのに」
「いや、RPGじゃ……RPGか……でも物を造ったりも出来るんだよ。今は町を作ってる」
正確には壁だ。それも今度ログインしてから取り掛かるという段階。
「町……今時のRPGは町を作るところから始めるのね」
「そうだよ。ところでさ、カレー温めるからラップかけてくれない? 片手じゃ無理だった」
「はいはい。でも遊んでばっかりいないで、病院もちゃんと行くのよ。じゃないと慰謝料がっぽがっぽ出来ないんだから」
がっぽがっぽって……示談とはいえ、がっぽりとは貰えないだろう。
まぁ治療費とバイトに行けない分の給料、それにオマケぐらいあれば文句はない。
働かずしてお金が入るって、素晴らしいじゃん。
カレーライスを食べた後、右手を濡らさないようシャワーを浴びて部屋へと戻る。
パソコンの前に座り公式サイトを開いた。
調べたいのは連続プレイ時間云々や、ドロップアイテムのこと。
出来れば錬金で作れる物の一覧も欲しいな。
が、公式サイトでわかったのは、連続プレイ時間に関することだけ。
連続プレイは八時間が限界なようだ。
これは『FreeStyle Adventure』に限ったことではなく、フルダイブ型のVRゲームは総じて八時間をいう壁が設けられているらしい。
脳への影響を考慮して、こういう法律が作られているとのこと。
「へぇ、全然知らなかった」
この『FreeStyle Adventure』は、ゲーム内の時間の流れが現実と同じなので、連続プレイ以外の制限はないようだ。
ただ連続五時間プレイした状態でログアウトすると、再ログインには一時間以上開けないとダメだと書いてある。
パーティー中にトイレ~なんてなって、ログアウトしたらイン出来なくなった~というのを防ぐためにも、五時間経過する前にトイレ休憩は入れましようね――だってさ。
俺八時間近くぶっ通しでプレイしてたよ……。
尿意を感じるとゲーム内に警告メッセージが出るようだ。あとは事前にアラーム設定も可能だとある。
四時間に設定しておくかな。
それ以外の情報は無い。
検索して――あ、攻略ウィキがあるじゃないか。
ドロップアイテム情報ってどこで見るんだろう?
錬金スキルは……あ、スキル一覧ってのがあるな。ここから錬金に――あー、うん。スキルの使い方が載っているだけで、錬金一覧は無いな。
じゃあドロップ。
モンスター情報から探せるだろうか?
あったあった。更にリンクされてあって――あぁ、収集品と素材、武器防具に分けられるのか。
収集品というのが、NPCに売るしかないアイテムで、素材にもならない物のようだ。
チュチュの尻尾は収集品に該当していた。
まぁ何に使うかって聞かれても、答えるのに困るアイテムだったもんな。
肉はもちろん料理素材。チュチュのもな……コメントにも「これは食いたくない」と書かれていた。わかるよその気持ち。
毛皮は装備素材か。あのまま敷いて玄関マットにも良さそうだけどなぁ。
あ、『分解』スキルで毛と皮に分離できるようだ。こうやって皮装備にするんだな。
ここで気になるコメントを発見した。
素材系のドロップ率の悪さだ。
収集品は高確率でドロップするが、素材に関しては五匹に一匹ぐらい。
ただし『解体』スキルを使えば、ほぼ100%素材を取れるとある。
手間が掛かるが、素材が欲しいなら『解体』しろ――と。
尚、解体と聞いてグロテスクな物を想像するかもしれないが、解体ナイフを当てると数秒後には素材になっているから安心しる――ともあった。
うん、それなら一安心だ。
建築関係のページは無いかなぁ。
……無いな。
というか、昨日から始まったってだけあって、情報が少ない。
俺もウィキの更新に貢献してやりたいが、アイテム名も効果もほとんど覚えてないし。
あ、焚火だ!
焚火の有効範囲を――あ、もうあった。
焚火を中心に、半径三メートル圏内が「明るさレベル」5に該当。
弱い夜行性モンスターは明るさレベル3までは自主的に寄って来ない。
ただし圏外から連れてきたモンスターであれば、明るい範囲内にも入ってくる――と。
もちろん町や村を囲む壁を越えて入ってくることは無い。
「んん~、明るさレベルってのは――」
明るさレベルについて探すと、焚火を例にして書かれている。
焚火を中心に半径3メートル範囲が「明るさレベル5」。そこから50センチごとにレベルが一つずつ下がっていく。
明るさレベル3は、焚火から3.5メートル以上、4メートル以内だな。
つまり最低でも八メートルごとに灯りを用意しなきゃならないってことか。
意外と縛りが厳しいな。
電気なんてものはないだろうし、街灯はランタンとかだろうか。
とりあえず、俺とワオール、それとにゃんごの住む家。それを囲うのに十分な広さから始めよう。
最初からバカでかいものを作ろうとしたら、素材集めに手間取ってしまう。
安全さえ確保できれば、夜だって活動できるんだ。
まずは壁!
あと連続プレイ時間がどうとかって、赤いシステムメッセージが浮かんだのもあって。
そして俺は知った。
「晩御飯……食べ損ねた?」
自室の時計は午後十一時を過ぎてる。
一階に降りていくと、母さんが起きていた。
俺の為に?
そんな訳はない。
録り溜めていた昼ドラをいっき見しているだけだ。
「母さん、ご飯残ってる?」
「カレー」
「あ、うん」
「また新しい物、買ったのぉ? その手で?」
「いや、あー、うん。今度はVRゲーム」
見ていたドラマを停止させた母さんが振り向き、驚いた顔で俺を見る。
「あんたがゲーム!? え、珍しい。子供の頃に買ってやったRPGだってクリアしたことが無いってのに」
「いや、RPGじゃ……RPGか……でも物を造ったりも出来るんだよ。今は町を作ってる」
正確には壁だ。それも今度ログインしてから取り掛かるという段階。
「町……今時のRPGは町を作るところから始めるのね」
「そうだよ。ところでさ、カレー温めるからラップかけてくれない? 片手じゃ無理だった」
「はいはい。でも遊んでばっかりいないで、病院もちゃんと行くのよ。じゃないと慰謝料がっぽがっぽ出来ないんだから」
がっぽがっぽって……示談とはいえ、がっぽりとは貰えないだろう。
まぁ治療費とバイトに行けない分の給料、それにオマケぐらいあれば文句はない。
働かずしてお金が入るって、素晴らしいじゃん。
カレーライスを食べた後、右手を濡らさないようシャワーを浴びて部屋へと戻る。
パソコンの前に座り公式サイトを開いた。
調べたいのは連続プレイ時間云々や、ドロップアイテムのこと。
出来れば錬金で作れる物の一覧も欲しいな。
が、公式サイトでわかったのは、連続プレイ時間に関することだけ。
連続プレイは八時間が限界なようだ。
これは『FreeStyle Adventure』に限ったことではなく、フルダイブ型のVRゲームは総じて八時間をいう壁が設けられているらしい。
脳への影響を考慮して、こういう法律が作られているとのこと。
「へぇ、全然知らなかった」
この『FreeStyle Adventure』は、ゲーム内の時間の流れが現実と同じなので、連続プレイ以外の制限はないようだ。
ただ連続五時間プレイした状態でログアウトすると、再ログインには一時間以上開けないとダメだと書いてある。
パーティー中にトイレ~なんてなって、ログアウトしたらイン出来なくなった~というのを防ぐためにも、五時間経過する前にトイレ休憩は入れましようね――だってさ。
俺八時間近くぶっ通しでプレイしてたよ……。
尿意を感じるとゲーム内に警告メッセージが出るようだ。あとは事前にアラーム設定も可能だとある。
四時間に設定しておくかな。
それ以外の情報は無い。
検索して――あ、攻略ウィキがあるじゃないか。
ドロップアイテム情報ってどこで見るんだろう?
錬金スキルは……あ、スキル一覧ってのがあるな。ここから錬金に――あー、うん。スキルの使い方が載っているだけで、錬金一覧は無いな。
じゃあドロップ。
モンスター情報から探せるだろうか?
あったあった。更にリンクされてあって――あぁ、収集品と素材、武器防具に分けられるのか。
収集品というのが、NPCに売るしかないアイテムで、素材にもならない物のようだ。
チュチュの尻尾は収集品に該当していた。
まぁ何に使うかって聞かれても、答えるのに困るアイテムだったもんな。
肉はもちろん料理素材。チュチュのもな……コメントにも「これは食いたくない」と書かれていた。わかるよその気持ち。
毛皮は装備素材か。あのまま敷いて玄関マットにも良さそうだけどなぁ。
あ、『分解』スキルで毛と皮に分離できるようだ。こうやって皮装備にするんだな。
ここで気になるコメントを発見した。
素材系のドロップ率の悪さだ。
収集品は高確率でドロップするが、素材に関しては五匹に一匹ぐらい。
ただし『解体』スキルを使えば、ほぼ100%素材を取れるとある。
手間が掛かるが、素材が欲しいなら『解体』しろ――と。
尚、解体と聞いてグロテスクな物を想像するかもしれないが、解体ナイフを当てると数秒後には素材になっているから安心しる――ともあった。
うん、それなら一安心だ。
建築関係のページは無いかなぁ。
……無いな。
というか、昨日から始まったってだけあって、情報が少ない。
俺もウィキの更新に貢献してやりたいが、アイテム名も効果もほとんど覚えてないし。
あ、焚火だ!
焚火の有効範囲を――あ、もうあった。
焚火を中心に、半径三メートル圏内が「明るさレベル」5に該当。
弱い夜行性モンスターは明るさレベル3までは自主的に寄って来ない。
ただし圏外から連れてきたモンスターであれば、明るい範囲内にも入ってくる――と。
もちろん町や村を囲む壁を越えて入ってくることは無い。
「んん~、明るさレベルってのは――」
明るさレベルについて探すと、焚火を例にして書かれている。
焚火を中心に半径3メートル範囲が「明るさレベル5」。そこから50センチごとにレベルが一つずつ下がっていく。
明るさレベル3は、焚火から3.5メートル以上、4メートル以内だな。
つまり最低でも八メートルごとに灯りを用意しなきゃならないってことか。
意外と縛りが厳しいな。
電気なんてものはないだろうし、街灯はランタンとかだろうか。
とりあえず、俺とワオール、それとにゃんごの住む家。それを囲うのに十分な広さから始めよう。
最初からバカでかいものを作ろうとしたら、素材集めに手間取ってしまう。
安全さえ確保できれば、夜だって活動できるんだ。
まずは壁!
応援ありがとうございます!
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